旧:短編まとめ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《ジン×バーテンダー》
最初は、なんかヤバい客が来たと思った。
上から下まで真っ黒な服に、長い銀髪。
目付きは鋭いし、背もすっごく高かったから。
『いらっしゃいませ、お好きなお席へどうぞ』
それが、他の客もいないときに。ボーイも帰して締まった閉店間際に来たのだ。
バーなんて構えてる手前、訳有りの人だって来るのは解ってる。でも、今回はヘマしたら消されるだろうと思うくらい、オーラのある人だったのだ。
「………ドライジン。ストレート」
『かしこまりました』
私の正面よりひとつ左の席に座って。呟くようにオーダーされる。
ストレートだなんて、グラスに注ぐだけのようなものだから。直ぐに作れてしまった。
『どうぞ』
差し出したそれはショートドリンクなのに、彼はゆっくり飲んでいた。
飲んでは考え、纏まっては飲み、悩んでは一口。そんなペース。
私は、閉店間際だったのもあってすることもなく、ただグラスを磨いていた。
「……」
ふと、グラスに注意を向けすぎた一瞬、彼は席を立っていて。あれだけのオーラを持ちながら、気配もなく帰っていった。
カランカランと、ドアのベルが、彼が存在したと告げている。
まして、コースターに挟まれた紙幣。ジン一杯ではお釣りの方が多い額。
『…不思議な人』
ヤバい客……なんだろうけど、また来てほしい。と、どこかで思ってしまった。
それから一月。閉店間際なこの時間。
『いらっしゃいませ』
彼はまた、同じ席に座って
「……ドライジン」
同じ注文をする。
『どうぞ。今回はお代はいりません、前回貰いすぎてしまいましたから』
「はっ、律儀な女だ」
それが2回目。
これを期に、彼は月に2回くらい、決まって人のいない閉店間際にやってくるようになって。
一言二言交わすようになった。
『いらっしゃいませ』
「…ドライジン」
変わらないそのやり取りをして、グラスを差し出した後。
「前回の釣りで、お前も一杯呑め」
『あら、気前のいい方。私、遠慮しませんよ?』
「ああ」
初めて彼が私を誘った。
まだ仕舞ってなかったジンと、使いかけの生クリーム、それからカカオをシェイクする。
「決めた」
『…何を?』
「お前の呼び方。メアリーな」
『プリンセスとは呼んでくれないの?』
「メアリーなら血まみれにもなれるだろ?」
『まあひどい。じゃあ貴方はジンね。お客様に名前を聞くのは無粋だと思ってたから、丁度よかった』
「ククッ、全くだ」
ここ、バー・エボニーが。
彼が"ジン"になったきっかけだなんて。
fin
プリンセス・メアリー
(ジン+生クリーム+クレームド・カカオ)
メアリーの結婚式に使われた甘いデザートカクテル。
ブラッディ・メアリー
(ウォッカ+トマトジュース)
大処刑を行った血まみれメアリーのカクテル。
エボニー
黒檀の英訳。特に意味なし