旧:短編まとめ
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《桜》
2016 拍手 [ジン×花]
『やっぱり夜桜っていいよね!』
「…まだ咲き始めじゃねぇか、せっかちが」
『だって、このあとの任務長引きそうなんだもん。見れる時に見ておかないとさ』
「そんなにいいもんか?花見ってのは」
気怠い様子で半歩先を歩くのジンは、桜を適当に流し見ている。
私は、そんな彼の髪色と濃い夜の帳のコントラストに、淡く映える桜を忘れまいと目に焼き付けていく。
『いいものだよ。好きな人と見る桜っていうのは』
振り返った緑色の目に、この色も綺麗だな、なんて思った。
「死体が埋まってるかもしれない樹の花がか」
『どうしてそういうこというかなー…あ、ねえジン。私が死んだら桜の下に埋めてよ』
「突拍子もねえな」
『ジンに言われたくない。あのね、それで、その桜を私、真っ赤になるくらい綺麗に染めるからさ、毎年会いに来てよ』
確かに、思いつきだった。
本当にそうして欲しいとかじゃなくて。
ただ桜の綺麗さと、これからある任務による死への恐怖と、彼への愛しさがそんなことを言わせたんだ。
「…は、冗談じゃねえ」
『えー、可愛い彼女のお願いじゃない』
「俺だけ逢いに行くなんざ、フェアじゃねぇだろ。勝手に死なれるくらいなら離れられねぇように縛りつけてやる」
それは彼も同じだったのかもしれない。
黒の組織がフェアかどうかなんて、気にするわけないのに。
『じゃあ、来年も桜、見にこれるね』
「…」
返事の代わりなのか、私に歩幅を合わせた彼が手を握った。
花:桜