旧:短編まとめ
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《霧雨@屋上》
『飽きた』
「飽きてもいいから遂行しろ」
ライフル担いで屋上なんて、もう飽きた。
知らない人の死に様も見飽きてしまった。
そういう刺激に、慣れてしまった。
『全然違うことがしたい。メリハリが無いよ、休みだってあって無いようなもんだし』
「なら死ね」
『冷たい』
「そろそろ黙れ、ターゲットが来る」
何時も同じ仕事。ライフル担いで屋上、サイレンサーを着けて前方のホテルを狙う。
強いて言えば今日は霧雨が降っていて。雨天決行は珍しいけれど、その程度では晴れない程見慣れた光景だ。
ごめんね、名前も知らない人。
なんかジンが殺せって言うからさ。
理不尽かな?それとも自業自得?
私は…しょうがないかな。これしか腕が無いんだもの。生きてくには、これしかなくて。
『私、この仕事終わったら、ここから飛び降りる』
「………は?」
『飽きたんだって。ああ、疲れたとも言うかも。とにかく、今を変えるには死ぬしかないんでしょ?なら、来世に期待する。最期の仕事だよ、どうぞよろしく』
ターゲットがカーテンを開けるのを待つ間。視線はホテルの窓に向けたまま、そう告げた。
今いる屋上は、飛べば120%死ねる高さ。
ろくな生き方してこなかったんだから、どうせろくな死に方はしない。
だったら、この霧雨と都会の喧騒に溶けるのもいい。
どこで死ぬかは私が決めてもいいでしょ、先伸ばしたって意味ないし。
「…何もよろしくねぇよ馬鹿が」
そう思ってたのに。
急にライフルをふんだくられて。
スコープを覗いた彼が引き金を引いていた。
「行くぞ。そんなに飽きたんなら休みくれてやる」
『なにそれ。死ねとか言ったくせに』
「ここで死ねとは言ってねぇだろ。このまま車出してやるから、好きなだけメリハリ付けるんだな」
ジンは淡々とライフルを片付けて、スタスタと私の前を歩く。
『…どこ連れてってくれるの?』
「どっか行きてぇのか?」
『………ビルと死体のないとこ』
「いいぜ」
それから、ポルシェの助手席に私を乗せると、霧雨の中を走り出した。
「だから、死ぬとか言うな」
─霧雨─
死なれるくらいなら、ちゃんと愛する