旧:短編まとめ
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《とある大会にて》ギャグ調 2015/08/25
『ジン!都大会予選勝ち残ったよ!』
「………」
『え、誉めてくれないの?』
「…頑張ったな」
『でしょ?同じ高校の女の子がもう一人本戦行くんだ♪その子には勝ったことないけど…3位くらいは狙うよ!』
「どうせなら1位狙っとけ。言うだけならタダだ」
『優勝したらトロピカルランドでデートしてくれる?』
「優勝したらな」
『よし、がんばる!』
跳び跳ねんばかりの勢いで嬉しそうに報告しているのは、高校生の雨月。
ジン、と呼ばれて話を聞いているのは一回り以上歳上の長身痩躯な目付きの悪い長髪な男。
端から見ると、若い親子、年の離れた兄弟。の方が近いかもしれない。
しかし実際は、黒の組織ボスの孫娘とその護衛、そして恋人同士である。
ボスの寵愛もあり、見た目も可愛い雨月は幼い頃から護身術として空手をやっていた。
負けず嫌いで好戦的な性格のお陰かメキメキと上達し、予選は全勝だったようだ。
ボスの孫娘というだけでも地位が確立されているのに、寵愛故に護衛につけられていた上層幹部であるジンの恋人である。
下っ端どころかコードネームを持っている人間、幹部も迂闊に手を出せない。
それ以前に、彼女の攻撃力の高さから逆らおうという者はまずいないし、雨月も地位を利用するような無茶な我が儘は言わなかった。
『ねえ、応援きてくれる?』
「…もとよりボスから護衛しろと命令がきている」
『来るのは命令かもしんないけどさ、"応援"してくれる?』
「……いつもしてる」
『たまには解るようにやってよー。あと、その黒いコートで来ないでね、目立つから』
「…」
『帽子も駄目。室内だから怪しすぎ』
「……」
『お願い。ね?』
「…仕方ねぇな」
これが、雨月の我が儘でジンが付き合っているわけでわない。
"ボスの孫娘の護衛"という肩書きが疎ましく感じる程度には、ジンも溺愛している。
たとえば。
「…珍しいこともあるものね」
好いていない筈のベルモットを訪ね、黒いコートと帽子を被らないコーディネートを頼むあたりとか。
「本気でこれ作るの?」
「兄貴…」
「必勝・雨月☆目指せ全国…誰のセンスだい、これ」
「ジン、ペンのインクが切れた」
応援用の弾幕を組織で手作りしちゃうあたりとか。
そうは言っても楽しそうに服を選ぶベルモットをはじめ。
せっせと弾幕をつくるキール、ウォッカ、キャンティ、コルン。
任務で参加できないからとスポドリを箱で送ってくるバーボン。
組織の皆に愛されているのが雨月だった。
ただ、ボスの愛は若干いきすぎていて、道場を作ったりコーチを拐ってしまうのは雨月も苦笑いだった。
そして当日。
「雨月、お互い頑張ろうね!」
『うん!決勝で会いたいね!』
「あんた達で決勝行っちゃったら、全国大会出場枠、帝丹高で独占ね」
「あのさぁ、雨月姉ちゃん、さっき姉ちゃんを送ってきたのは…」
「なぁに、マセガキ。一丁前に雨月の彼氏に焼き餅やいてんの?」
「えっ、恋人なの!?」
『もう、園子ちゃん、バラさないって約束したのにぃ』
「ガキンチョくらいいいじゃない」
そう、心配だからと会場入口までポルシェで送ってくれたジン。
組織の自覚をもうちょっと持った方がいい。
「外車で送ってくれるなんていい彼氏じゃん。今度紹介してよ」
『うーん、恥ずかしがりだから無理かもなー』
「写真も写ってくれないんだもんね」
『まあね。蘭ちゃんは?彼氏さん応援来ないの?』
「応援メールはくれたけど…やっぱりこれないって。あと、彼氏じゃないからっ」
「旦那だもんね」
「園子っ!」
なんとか話はそれていった。
蘭ちゃんの連れてきた、コナン君とかいう小学生は、なんか疑ったような目をしてるけど。
「よし、じゃあ私とガキンチョは客席から応援するよ」
『うん、ありがとう』
それから園子ちゃん達と別れて、選手控え室に向かう。バーボンがくれたスポドリは多すぎたので、同室の選手に分けた。
「うわ、雨月の親戚かなぁ?弾幕作ってる」
「え、どこ?」
「ほら、」
正面の客席を指差す園子。
コナンがその指先を追い、気づいた瞬間ぎょっとした。
いつもの黒い服装ではないからパッとみたとこわからないが、組織のメンバーが最後部席で弾幕を掲げている。
長い銀髪にワイシャツとスラックス姿のジン。
サングラスでポロシャツなのがウォッカ。
背が高くてTシャツなのがコルン。
タオルを振り回して応援してるのが多分キャンティ。
帽子を目深に被った、やけに色っぽい女性がベルモット。
(キールは生放送あるって言ってたもんなぁ)
雨月も気づいて手を振れば、組織のメンバーには見えないよう、小さく手を振り返すジン。
「彼氏さん?」
『うん。せっかく応援にてくれたんだし、頑張らなきゃ』
束の間の恋バナを交わす蘭と雨月。
一方、開いた口が塞がらないコナン。
「ちょっと、蘭の試合始まるよ!しっかり応援しなさい!」
「あ、うん」
(捕まえる気にもなんねぇな、こりゃ)
蘭の試合も、雨月の試合も順調。
雨月の試合に関しては、遠目でも解る組織の緊迫感と迫力。
「いけぇっ!」
「目、狙えばいい」
「そんなことしたら失格よ」
「もう少しですぜ!」
「いや、これは勝ちだ」
わいのわいのと準決勝。
蘭は圧勝、瞬殺で。
雨月は苦戦していた。
「雨月…」
「なんか、様子おかしくない?」
「足、捻ったんだろ、さっきの試合で」
ジンは、その様子をよくみていた。
ハンデを背負って勝てる相手ではないことも。
「あ…」
推察通り、決勝進出ならず。3位決定戦にとどまる。
「どこいくの、ジン」
「ちょっとな」
ノックもなく控え室に乗り込むジン。
『…!ジン!』
「試合、どうすんだ」
『………出たい』
「そう言うと思ったぜ。ほら、足」
『ん?』
差し出した足に、手早く、確実なテーピングをされる。しかも、どこから持ってきたか解らない氷でアイシングまでしてくれた。
「3位、狙うんだろ?」
『っ、勿論!』
ありがとう、と小さく呟いて雨月は会場に戻り、ジンも客席に戻る。
(盗聴器、今日はやめとくか)
ジンをこっそりつけていたコナンも客席に戻った。
「あっ、雨月足怪我してるじゃん!」
「頑張れ、雨月姉ちゃん!」
「蘭も、いっけぇっ!」
蘭は見事優勝、雨月も全国は逃したものの3位入賞という結果を残した。
「雨月ちゃん、足大丈夫?」
『うん、多分。でも一応これから病院いってくる』
「送る?」
『ううん、大丈夫、彼が連れて…うわっ』
「「「!!!」」」
会場の廊下を歩いていれば、後ろから来た男が雨月を抱えあげる。
「控え室でじっとしてろといったよな」
『…ごめんなさい』
「ったく。病院いくぞ」
『え、このまま?ちょ、蘭ちゃん、園子ちゃん、コナン君、またね!』
そのままスタスタと歩いていってしまうものだから。
3人ともぽかんと取り残される。
「雨月ちゃん、愛されているね」
「…そうね」
「はは…」
『もう!超恥ずかしかったじゃん!』
「解るように応援しろっつったのは雨月だろうが」
『だからって皆で弾幕持つことないじゃん!誰なのかって凄く質問されちゃったじゃない!あと、それ以外も!』
「あ?」
『友達の前でお姫さま抱っこすることないじゃん!あー…もう絶対からかわれる…』
「部屋にいなかったお前が悪い。なんだ?されたくないなら今も膝から降ろしてやるぞ?」
『論点そこじゃないって解ってるよね?』
「…ギブ、やめろ」
病院から帰り、ソファに座るジンに横抱きされたまま話していた雨月は、飄飄と交わすジンの首を落としにかかる。
足が関係ない今、全国レベルに近い技をかけられるジンはギブアップ宣言。
『トロピカルランドもなしかぁ』
「いいじゃねぇか。あそこにカップルでいくと行方不明になるとか背が縮むとか、事件に巻き込まれるとか、変なジンクスあるらしいからな」
『そうなんだぁ』
でも、3位でもごほうびもらったってよくない?
いいよね?
何をねだろうかな?
なんて考えてたら、足元がくすぐったくなった。
『っ!?』
「ごほうびは、まあ、足が直ってからだな」
『……うん』
「安静にしてる間に選んどけよ?ボスからのご褒美は俺と同時の3連休だからな」
足首に巻かれた包帯に、"good job"と文字が走って。手渡されたのは短期旅行のパンフ。
『!!ありがとう!ジン大好き!』
「ゴフッ!…少しは大人しく、しろ」
『あっっ、ごめんっ!』
勢い余って抱きつかれた彼の首は、彼女によって落とされました。
(ごめんね…)
(加減しろよ)
(あ、じゃあ手を繋ご!)
(ボキリ)
(あああごめんっ)
((((ジン(兄貴…乙)))))
Fin.