旧:短編まとめ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《雪@こたつ》
『ジーン、雪止んだよ』
「そうか」
窓の外にはこんこんと積もった雪。
私とジンは炬燵の同じ辺に入って眺めていたそれが、体積を増していないことにきづいた。
私たちは今日、デートをするつもりだったのだけど。
雪が積もるなら止めようか、ポルシェで事故るのも嫌だし。となった。
『…デート、今からどう?』
「………。デートなら、今もしてるだろ」
『ふふ、こたつデート?』
最初こそ、早く止めと灰色の空を睨んでいた。
でも、狭い炬燵の一辺に、二人で並んで座っているのが心地よくなってしまったのだ。
今や、暖かなこの空間から出るのは、至難の選択だと思う。
(まあ、ジンが寒がりなのもあるけどさ)
「運転中は構ってやれねぇからな、ここなら幾らでも甘やかしてやれるが?」
『そう言われたら、炬燵デート魅力的だね』
(随分と甘い台詞をくれるんだもんなぁ)
普段素っ気ない癖に。
暖気で機嫌の良くなった彼は、チョコレートも一瞬で溶けるような雰囲気で私を言いくるめる。
片腕で私の腰を抱き寄せて、もう片方の手で頬を撫でて。
だろ?なんて、目を細めて優しく笑って見せた。
私しか見たことのない、毒気のない微笑。私はこれにとても、とても弱い。
『…そうだなぁ、じゃあ、このままデート続行で』
「クク、ちょろいな、お前」
『うん。だって、甘やかしてくれるって言うから』
「…フン。何をご所望だ?」
それに、その後見せる、呆れたような笑顔も好きだった。
いたずらが成功した子供みたいな、そんな、屈託ない笑み。
『冷凍庫にカップアイスがあるの。それを、あっついコーヒーと一緒に食べたいなー』
「…」
『デートに出掛けたら、新しくできたカフェ行きたかったの』
「…………キッチン、寒いんだよな」
けど、この暖かいリビングを出るのは、その笑顔が一瞬でしかめっ面になるほど嫌みたいだ。
『じゃあ、私がサイフォンとアイス持ってくるからさ。ジンはマグカップ2つ棚から出しといてよ』
余りに苦い顔だったから、私が炬燵からサクッと立ち上がることにした。
キッチンは確かに寒く、トレイに乗せるサイフォン、コーヒー豆、アイスとスプーンを急いで集める。
『…!?わ、ジン?どしたの』
スプーンを探して屈む私の背中に、ぐっと体重がかかって。
嗅ぎ慣れた煙草の匂いで、ジンが抱き付いて来たのだとわかった。
「………デートだっつってんのに、一人で行くんじゃねぇよ」
(キッチンが寒いなんてこと)
(一瞬で忘れるほど熱くなった)
fin