旧:短編まとめ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《green birthday》
「happy birthday!!」
仕事終わり、急にオフィスが暗くなって。
停電?なんて一瞬慌てたあと、クラッカーの音と共に聞こえた声。
ああ、私誕生日だっけ。
「オメデトウ、今年も素敵な一年であることを願って」
FBIにいる以上、欧米文化的に、パーティーチックで派手なお祝いをされている。
ケーキとか、クラッカーとか、なんかオードブル。
まあ、元々はケリがついた事件の打ち上げなんだろう。
そこかしこで「for good works!」とか、お疲れ様的な言葉が飛び交っていて。
私の誕生日はオマケみたいな感じ。
いや、いいんだよ、私も忘れてたし。
なにより
「貴女に似合いそうだったから買っちゃった!」
テンション高々に渡されるプレゼントに、相応のテンションで喜べないのがいつも心苦しいから。
「ありがとうジョディ、大切に着るね」
派手なTシャツも、花束も、イチゴのケーキにも。
私は気の利いた返事をできない。
勿論、嬉しくないわけじゃない。
ちゃんと嬉しいけど、ただ、嬉しそうに見えないんだろう。
「あら、好みじゃなかった?」
『そんなことないよ、嬉しい』
いつもちょっと困った顔をさせるのが申し訳ない。
「…ホォ、誕生日だったのか」
『…みたいですね、すっかり忘れてました』
「自分の誕生日を?」
『生年月日としては覚えてましたよ。…祝われるものだと認識してなかっただけです』
完全に慰労会へと移行したオフィスを抜け、自動販売機のあるロビーで休んでいたら、彼に出会した。
赤井秀一。
綺麗な緑色の目をした、私の恋人。
「…祝われたく無いわけではないだろ?」
『まあ…。でも、祝う程のことでもないでしょう。プレゼントを貰う口実、美味しい物を食べる言い訳です』
「つくづくネガティブだな」
『なんとでも』
横並びの簡素な椅子に座る私、隣に腰を下ろす彼。
「さて、誕生日は口実になるんだろ?たまには素直にねだったらどうだ?」
『私が、貴方が望むようなものを欲してるとでも?』
「お前は天の邪鬼だからな。言えと言ったら言わないが……好きなものくらいはわかってるつもりだ。…君に惚れた男として」
彼はポーカーフェイスのままそんな台詞を吐いて、おもむろにポケットから何かを取り出した。
そして、その何かを私の腕につける。
『…ブレスレット?』
「ああ。イヤリングもある」
続けて耳にもつけられるそれ。
『…!』
「綺麗な色だろ?君が好きそうだと思ったんだ」
ロビーの窓に写る私の耳には、緑色の綺麗な石。手首にも、同じデザインのブレスレット。
『…緑色が好きなの、覚えててくれたんですか』
「忘れないさ、君からの告白だからな」
『…告白では無いです』
「ホォ?」
私は、緑色が好きで。
『貴方の目の色が大好きです』
といって彼に近づいたのだ。
もっと近くで見たかっただけだったのに、心の距離まで縮まるなんて。
『………好きなのは、本当ですけど』
「それは俺が?色が?」
『…っ、誕生日を口実にしていいんでしょ?察してください!』
「ククッ、それは答えみたいなものだな」
イヤリングを指先で揺らして、頬を撫でながら遠退く手のひら。
相変わらずのポーカーフェイスを見つめれば、少しだけ笑みを浮かべた。
「どうしてもこの色を見ると君に見せたくなってな…今家には緑色のランチョンマットとカトラリーがあって、抹茶のケーキとペパーミントリキュールを用意してるんだが、どうだろう?」
『……行きます』
そして、ホイホイと釣られる私がいる。
彼の家で振る舞われたのは、グリーンサラダ、ブロッコリーのポタージュ、ジェノベーゼスパ、抹茶のケーキにグラスホッパー。緑尽くしだった。
……私は大いに喜んだけど。
『…赤井さん』
「ん?」
『……ねだっていいんですよね?』
それらの緑を堪能しきると、天の邪鬼の私の口も軽くなる。
そんなのも作戦のうちだって、わかってるけど……誕生日は言い訳になるらしいから。
移動したベッドの上、シャワーを浴びた私は、彼の首に腕を回して縋る。
『私が一番好きな緑は、貴方の瞳です。私は、そこに写るのが何より幸せなんですよ』
「…」
『素敵なプレゼント、ありがとうございます』
ベッドの上で言うことじゃ、ないのかも知れないけど。
こんなに近くで、私だけを見ている緑が、愛しくて幸せで。
『ね、今年はその緑色に、私だけを映してください』
「……君が望むなら」
君の方がよっぽどgreen eyeだな。
なんて笑われた誕生日。
(緑の瞳、それはそれは嫉妬深い色)
Fin