夕神詰め合わせ
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《片恋》
彼が消えてしまうなんて、絶対に嫌だった。
『夕神さん、なんで嘘をつくんですか』
「嘘じゃねェ。俺が希月教授を殺したんだ」
涙を堪えて叫ぶ私に、彼は静かに答えた。
『嘘じゃないなら私の目を見て言ってください』
「見てるだろうが」
見てる、だろうか。私を通り越して、その目はもっと遠くを見てはしないか。
その目を見るに度に私の胸は早鐘をうち、軋むような痛みを覚えるというのに。
そんなものは見て見ぬふりで、もっともっと、違うものを見てやしないか。
『いいです、解りました。私では駄目なんですね』
泣くな、最後ぐらい、綺麗な笑顔を作れ。
でも、涙を堪えようとしたら、吐息が漏れて。うまく笑えなかった。
今の彼には、あの子を守ることしか考えられないんだ。
とてもとても、優しい人。だから好きになった。
これ以上ここにいて、嫌われるくらいなら――
「…」
押し黙る彼を背に、留置所を飛び出した。
『私じゃ駄目なんですね』
その答えは聞きたくない。
言わないで、どうか…いつまでも。
~片恋~
私は宇宙センターで、開発チームの助手として働いていた。
夕神さんと出会ったのは、そこに彼の姉であるカグヤさんが働いていたからであり、一目惚れしてから長いこと片想いをしている。
…が、一向に実る気配はないし、彼は逮捕されてしまうし、冤罪のまま死刑すら受け入れようとしているなんて。
気持ちの整理がつかず、彼を訪れたのが冒頭のできごとである。
宇宙センターに戻ると、かぐやさんが何かに没頭していた。遠目に、ロボットを作っているのが解り、声をかけようとして止めた。
「真理も、迅も奪われて…どうしろっていうのよ…あの子がやったに決まってるじゃない!なんで…迅が…どうして真理が…」
傷ついているのは私だけじゃない。かぐやさんも、夕神さんも。
"あの人は犯人じゃない、心がそう言ってる!"
法廷でそう叫んだあの子もきっと。
…誰も傷つかない答えがあればいいのに。
でも多分。そんな未来があったら、私は"誰も"に含まれないんだろう。
たった1枚のガラスに阻まれた夕神さんは、あの子とハッピーエンドを迎える。
それは、私からすればバッドエンドであって。
指が届きそうなこの距離で、想いは届かないことを痛感しなければならない。
そんな未来を叩きつけられるくらいなら…なんて一瞬よぎったけれど。
それでもやっぱり、諦められなかった。…私のハッピーエンド、彼と幸せになりたい。
願っていても叶わないなら、自分が動くしかない。
あの子も、かぐやさんも、夕神さんも、自分の意思で進んでいる。
だったら私も、歩きださなければ。
誰も傷つかない真実があると信じて。
亡霊の存在を暴けると信じて。…いや、暴くんだ。
「まさか、お前さんが亡霊に辿り着くとは思わなかったぜ」
『成歩堂さん達とほぼ同着でしたが…間に合ってよかったです、夕神さん』
カグヤさんが掴みとってくれた再審で、夕神さんの無罪は証明され、亡霊という真犯人が捕まった。
私は探偵紛いのことをしながら独自に調べていて、真犯人にたどり着いた時には裁判もなから。
裏付けくらいにはなれたと思う。
そんな会話をしていれば、走り寄ってくる明るい声が響いた。
「夕神さん!」
「…ココネ」
ああ、やっぱり駄目なのか。
ガラス1枚無くなった所で、届きそうな指は"届きそう"のままだ。
この想いは届きやしないし、伝えることすらできない。
駆け寄ってきたあの子と、談笑を交わす彼を見て。
せめて握手を、と伸ばした腕を引っ込めた。
そして、背を向けてこっそり立ち去ろうとした時だ。
「…ありがとな、雨月。ずっと信じてくれて」
あの子との話が一息ついた彼が急に振り返って。
その、引っ込めた腕を無理矢理捕み、手を握られた。
(指が…届いた)
その瞬間、欲望が溢れた。
この距離を手放したくない、明日もまだ、笑いあっていたい。
見つめているだけではもの足りない。
この距離を壊すのは震える程怖い、けど
『当たり前じゃないですか…好きだったんですから』
諦めたくない、いつまでも。
Fin