花と蝶 番外
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《檀 ─マユミ─:2020まこたん⑤》
彼はやはり、バスケットボールが似合う。
『はぁぁぁ、カッコよかったぁぁ』
「お前、さっきからそればっかだな」
『だってさ、ね、レイアップの時の踏み切りとね、フローターショットの手首から指先の流れがもう本当…惚れ惚れする。かっこよすぎて泣きそう』
「やめろやめろ、マジで泣くな」
今日は、試合だった。
まだリーグ戦の予選だから、優勝とかではないけど、予選自体はトップ通過。
大学バスケでも光る真君に、私は心底惚れている。
予選から本選までは時間があくので、今日は軽く祝杯。
手作りの果実酒を開封して、レモン酒で乾杯した。
そしたら、だ。
「俺はまだ本選始まってないから、一杯だけな」
と真君が言い出して。
じゃあ私も…と言ったら
「お前は旨そうに飲むから、それで飲んだ気になれる」
なんて、次々にグラスが満たされた。
少ししか作らなかったから、レモン酒はもう終わってしまって。
「苺酒も旨そう」と、自分は飲まない癖に、真君は私のグラスへ苺酒を注いだ。
これ、牛乳で割って飲もうと思ってたのに…サイダーでも美味しいけど。
それから冒頭。
今日、何度言ったか解らない『カッコいい』をまだ繰り返す。
だって、焼き付いて離れないんだもの。
「…そんなに?」
『そんなに。言葉じゃ全然足りないよ。あの瞬間は、真君よりカッコいいものなんて世界から無くなる』
「大袈裟だ、ばか」
『そう?そもそも、真君より好きなものがないんだから、当然だよね。そうやってグラス傾けてる真君も、素敵』
次から次へと、言葉は留まらない。
もう、おつまみも要らない、私は真君を肴にお酒が飲める。
そのキョトンとした顔も好き、可愛い。
「ふはっ、お前は、俺なら何でもいいのな」
『それは違うよ』
「…?」
その訝しんだ、ちょっと恐い顔も好き。
『私と一緒に生きてくれた真君が、目の前にいる貴方が、大好きなの。何でも良いわけじゃないんだから』
「……」
『花宮真が二人いても、私はきっと貴方を選ぶ。どんな真君も大好きだけど、私の真君は貴方だけ』
言ってることが、結構滅茶苦茶なのは、なんとなくわかってる。
でも、言葉を整頓出来るほど、私の頭は素面じゃない。
『真君、大好き。今日の試合、かっこよかった。昨日も一昨日も先週も先月も、真君はずっとかっこいい』
~貴方の魅力を心に刻む~
『わかった?』
「…おう」
(ああ、俺はただ、酒に酔わせて)
~心に潜んだ~
(お前の本音を聞こうとしただけなのに)
(結局俺が好きってだけじゃねぇかバカ!)
(そんなのとっくに知ってんだよ!)
「………お前は、俺に不満はないの?この生活に、不満はないの?」
『ない』
「…」
『…強いて言うなら、真君が不満に思ってるのは、嫌。けど、私は今以上は望んでないよ。真君と笑ってご飯食べて寝て起きて…そんな毎日が続けばいい』
「………降参」
『え?なんの勝負?』
「俺も雨月が好きだって話」
~真心~
(真の、心)
fin