花と蝶 番外
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《ハナミズキ:2019まこたん①》
私を救ってくれたのは、真君だ。
誰かに必要とされたい。
誰かに認めてほしい。
誰かに見つけてほしい。
誰かに愛されたい。
溢れ出そうな欲求を「イイコ」の中に閉じ込めて、一生懸命笑っていたあの時。
「馬鹿じゃねぇの?」
酷い言葉で、私を貶した真君は。
「お前の努力は誰に踏みにじられたんだよ!」
私をよく見ていてくれる人だった。
「………どうした?」
『好きだなぁって』
「…は?」
『真君のこと、大好きだなぁって』
夕飯を向かい合って食べるこの時間が、とても幸せ。
……今までの私には無かった時間。
自分が作った料理を、食べてくれる人がいる喜び。
……今までの私にはいなかった存在。
「…知ってる」
正面から見つめられた真君は、ふと顔を上げたけれど。
理由が解ると、ふいと視線を反らして咀嚼に戻った。
『うん。知ってて。それからね、ありがとう』
「……なんで」
『私の料理を食べてくれて、私とご飯を食べてくれて。ありがとう』
空になった皿を受け取って、おかわりをよそって、また彼の元へ戻す。
「………そのまま返すわ」
『え?』
皿は受け取られたのに、言葉はそのまま返ってくるらしい。
「……………………飯、ありがとな」
今日の夕飯であるハヤシライスは。
それ以上言わない為か、矢継ぎ早にスプーンで掬われては口に入れられ、咀嚼する…を繰り返される。
この人が、全部くれた。
必要としてくれた、認めてくれた、見つけてくれた、愛してくれた。
ねぎらいも、いたわりも、やさしさも。
欲しかったものは全部くれた。
『……私、一生真君のご飯つくる』
「……そうかよ」
私は、料理しかできないから
その一皿に、一匙に
『ありがとう』と『愛してる』を詰めて。
~私の想いを受け取ってください~
「……ん」
『はい。普通に盛っていい?少し少なくする?』
「普通でいい。ルゥ多めで」
『今日は練習多かったの?いつもよりいっぱい食べるね』
「……………」
『え?なに』
「なんでもねぇ、腹減ってるだけだ」
『そっか。どうぞいっぱい召し上がれ』
(だって、単純に旨いから)
(……おかわりすると、嬉しそうにするし)
(一生作ってくれんのか、そりゃ……)
(愛されてんな、俺)
fin
花:ハナミズキ
~私の想いを受け取ってください~
食:ハヤシライス