花と蝶 番外
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《zero:2018はなたん④》
目覚めたら、なんだか凄く温かくて、少し動きにくかった。
(これは…真君の腕だ)
ぼんやり瞼を持ち上げて、こちらを見つめる彼に「おはよう」と言おうとした瞬間。唇に人差し指を押し付けられる。
『?』
「誕生日、おめでとう」
それから、すこし掠れた寝起きの声で彼はそう囁いた。
そっか、今日…。
『…ありがとう』
だから、腕枕してくれてるうえに、脚まで絡むようにホールドされてるんだ。
「…これでもう帰るだけだが、寄りたい所はあるか?」
『ううん、十分楽しんだ』
「そうか」
もうちょっとだけ、こうしてたい。
そう思って彼にすり寄れば、その胸に抱き寄せてくれた。
「…ゆっくりしたいが、ここの朝食バイキングは種類が多いので有名だぜ?お前、悩むんじゃねぇの?」
『……悩む』
「なら、早めに行くか。ほら、」
抱き締めたまま起こされて。渋々身支度をする。
『…!すごい!』
しかし、朝食バイキングの会場を見るや、私のテンションは急上昇。
和食洋食は勿論、九州名物がたくさん置いてあった。
「陣太鼓とか、熊本じゃねえか……本当に種類豊富だな」
『全部食べたい…』
「それは無理だろ…まあ、好きなもの選んでこいよ」
もともと朝ごはんを食べない真君は、シリアルにドライフルーツを足してヨーグルトをかけたものを選んだ。
…他にも博多の明太子とか置いてあるのに、一切目もくれず。
私は悩み悩んで和食。それから角煮まんじゅう。
この角煮まんじゅうが凄く美味しくて、お土産として買えるのか調べたところ、長崎空港でも買えるらしい。よかった。
『ねえ、運転代わる?』
「大丈夫だ。それにお前、マニュアル免許持ってないだろ」
『……代わらせないつもりでMT車借りたでしょ』
「勿論」
チェックアウトして、すぐ長崎空港へ向けて車を出した私達。
空港までは1時間、昨日も運転してもらったし…と交代を願い出たけれど、あえなく断念。
こういう配慮というか計画というか…益々惚れる。
「…昨日から見すぎ」
『あれ、バレてた?』
「お前の視線は熱すぎるんだよ、マジで穴あきそうだ」
『だってかっこいいんだもん』
「……そ」
助手席というのは特等席だ。
風景眺めて、運転手を見詰めて、こんな素敵なことない。
『これで長崎ともお別れだね』
「また来たいな」
『うん!』
車をレンタルショップへ返し、空港のお土産を見て、あっという間に空だ。
羽田までの片道2時間、私は寝てしまって。起きたらもう着陸準備中。
『景色…見損ねちゃった』
「曇っててそんなに綺麗でもなかったぞ」
『それでも。勿体なかったな』
「……また今度見れば」
しれっと。今度、があることを示唆されて。
私はただはにかむしかなかった。
『ただいまぁー』
「お帰り。ただいま」
『おかえり』
二日ぶりの我が家、荷物を運び込んでそのままソファーに座り込む。
楽しかった分、遊び疲れてしまった。
日が暮れる前に帰れるように計画した真君は流石としかいえない。
夜帰ってきたら、明日の仕事きついと思う。
『なんか、夢みたいだったなぁ。凄くあっという間で魔法みたいに素敵な時間だった』
「まあ、夢はいつか覚めるもんだからな」
『そうだね、魔法だって、とけちゃうし』
楽しかったなぁ。と、2日間を思い返す。
そんな中
ピンポーン
なんて。玄関のチャイム。
『あれ、お土産今日届くっけ?』
「…見てくる、座ってていいぞ」
『ありがと』
立ち上がった真君と、玄関でガサガサと紙みたいな音。
なんだろうと、買ったものを思い浮かべるけど、紙袋で届くようなものはない。
『なんだった?』
疑問に思いながら振り向けば、目の前に真っ白なバラの花束。
『-っ!』
その花束を私に差し出すのは、勿論、真君で。
「夢でも魔法でもねえよ。現実の、俺から……受け取ってくれるだろ?」
おずおずと、その花束を受け取り、思わず、いいの?と呟いた。
「当たり前だ。ちゃんと年の数だけあるんだぜ?」
『24本……』
「その顔は、意味知ってるな?」
24本のバラの花言葉 「一日中、あなたを想う」
『知ってる……ふふ、ありがとう』
じっと見つめれば、答えるように、屈んで唇を寄せてくれた。
こういうとこ、本当好き。
「…誕生日おめでとう。お前が生まれてきて、今を生きてくれてることが、嬉しいよ」
『…!』
「これからも、隣に居させてくれ」
『…っ、居て、ください…!』
もう一度、唇を重ねて。
真君はバラごと私を抱き締めた。
「…愛してる」
today!!
(夕飯は勿論、真君の作るグラタンで)
(ハート型の人参を見つけては写真をとった)
(よく見たら飲み物の氷もハート型で)
(愛され過ぎて幸せ)
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