花と蝶 番外
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《strky-r+k》
※strkyを都合よく変換しています
メンバー等は個人の好みです
※ポジションとか何も考えてません
「つー訳で連れてきたで、花宮真。それから水戸部凛之助」
「…どうも」
「…(ぺこり)」
「それからマネージャーしてくれる、花宮雨月ちゃん」
『よろしくお願いします』
今吉さんに紹介された私達は体育館で、見たことのある人達と対面していた。
笠松幸男さん、宮地清さん、岡田建一さん。そして今吉さんが今のメインメンバー。
「花宮二人かよ、呼びにくいな」
「それな、マネの方は花ちゃんて呼んでくれ」
「…誰のセンスだよ」
「水戸部」
「……」
「……」
「わかった、わかった!花ちゃんな!」
簡単な紹介の後すぐに声をかけてくれたのが宮地さん。
水戸部君の無言の穏やかな頷きに押し負けて"よろしく"と握手してくれた人。
水戸部君も真君もそれに続く。
…私選手より先に握手してよかったのかな?
「ワシも宜しくな、花ちゃん」
『はい、宜しくお願いします』
今度は真君達と挨拶を済ませた岡村さんと握手。
とっても大きい人。水戸部君だって、真君より一回り大きいかなと思ってたのに、それ以上。背も高いし体格もいい。
握手した手も大きいし力強かった。
「そいつゴリラやけど優しいからあんま怖がらんといてやってな」
「ゴリラとはなんじゃ!」
「ゴリラだろ。プリンが好きな」
「プリンは悪くないじゃろ!」
今吉さんと宮地さんが岡村さんを弄って遊ぶ。それを見て真君は溜め息ついてるし、水戸部君は苦笑いしてる。…私は、なんか面白くて普通に笑ってた。
「…?」
『最初から怖いとか思ってないんで大丈夫ですよ。むしろ、プリン好きとか…可愛いですね』
「…ううっ…天使がおる」
泣き出した岡村さんにさすがに困惑すれば、彼はモテるどころか怖がられてばかりで女性と無縁だったのだ、と宮地さんが説明してくれた。
その気が無いなら適当にあしらうのも優しさだと続けて笑われて。
非常に困っている。
「遅れましたー、森山でーす」
「同じく道に迷いました、氷室です」
「おせーよお前ら!轢くぞ!!」
そこへ、二人登場して。
森山由孝さんは、一つ上…今吉さん達と同い年で笠松さんと同じ高校。
元々strky候補だったけど、丁度その時怪我してて出れなかったらしい。
氷室辰也君は私達と同い年で、岡村さんと同じ高校出身。
帰国子女で英語もペラペラだそうだ。
「はっ!?君がマネージャーをしてくれるという…?」
『花宮雨月です。…えっと、愛称は花ちゃんです。よろしくお願いします、森山さん』
「ああ、よろしく花ちゃん!君と出会うのは運命だったに違いない、良ければ連絡先を…」
「初めまして、アメリカでの暮らしが長くて名前で呼ぶ方がしっくりくるんだけど、駄目かな?」
「氷室!俺に被せるなよ!」
『あー…すみません、折角水戸部君が考えてくれたニックネームなんで…できれば、その…』
「OK、ハナちゃん。そうだね、可愛いニックネームだもんな」
遅れて来た彼らと挨拶を交わし、周りを見渡す。
『…あと、笠松さん』
このチームのキャプテンである彼と挨拶していない。探せば、喧騒の外に立って俯いていた。
『真君、笠松さんと挨拶した?』
「ああ、一番にな」
『そっか、じゃあちょっと行ってくる』
真君と言葉を交わしてから笠松さんのところまで行こうとして。森山さんに止められた。
「あー…笠松な。女苦手なんだよ、写真すら直視できない奴だから」
「せやな。話せる異性がおかんしかおらん言うてたし」
今吉さんからも止められたけど、お世話になるチームのキャプテンに挨拶しないのは駄目でしょ。
マネージャーとしても、真君の妻としても。
『笠松さん、背中のままでいいので聞いてください。…このチームでお世話になります。未熟で至らないことも多いでしょうが、皆さんとバスケができるのを楽しみにしてます。宜しくお願いします』
ぺこりと頭を下げて、それから彼の背中を見れば。
意を決したように握りこぶしを作って振り返られた。
…目は固く閉じていたけど。
『あの、苦手だとお伺いしました、無理に…』
「いや、こんなに丁寧に挨拶してくれたんだ、返せないとかキャプテンとして失格だ。…よろしくな」
目を閉じたまま、怖ず怖ず伸ばされた手と、きつく握手した。
海常を、strkyをまとめていたキャプテンシーは伊達じゃない。
感動していれば、ふいに笠松さんの目が開く。
「…なんか、お前、すごいな。こうして見ると、緊張しない」
『え?』
「こう…親しみ?安定感?母ちゃんみたいな」
その言葉に、今吉さんが笑いだす。
「確かにおかんかもな、人妻の風格でも感じたん?」
「は?人妻?」
「なんや気づかなかったん?花ちゃんは花宮の嫁やで」
その後に続いた各々の悲鳴は敢えて表現しない。
本当にもう、阿鼻叫喚だったのだ。
特に森山さんと岡村さん。
「マジ?え、学生婚?」
「花宮なんて珍しい苗字そういるわけないやん、なあ?」
「……アンタ、本当にいつも勝手に!」
「どうせ隠し通せへんのやし、ええやろ。こいつらの希望の芽も早いとこ摘んどかんと可哀想やしな」
「…はぁ…もういいですよ。改めて、妻の雨月です、夫婦共々お世話になります」
私を引き寄せて皆に向き直った真君は、何故か誇らしげ、というか自慢気で。
水戸部君は相変わらず苦笑い。
今吉さんと宮地さんは薄ら笑い。
笠松さんはなんか感心した、納得したみたいな顔してるし。氷室さんはヒューなんて本当アメリカン。
…岡村さんと森山さんに至っては泣いていた。
ひとまず交流も兼ねて3on3をしている最中。今は
花宮/森山/岡村vs笠松/氷室/水戸部
「単刀直入に聞くけど、何故花宮?」
『何故、とは?』
手の空いている宮地さんが得点板を弄りながら話しかけてきた。
「いや、悪童だろ?俺が予選で当たった時も他の試合でも、誠実さの欠片も見えなくてな。好きになる理由も解らねぇしなんで結婚まで…と思って」
『…何で、と言われると難しいですね』
「なに、同じ穴の狢?裏表あるようには見えないけど」
『あはは…彼のプレイに問題があったのは承知してますし、許されないことだとも思ってます。…ただ、それを差し引いてもずっと好きでした』
水戸部君のフックシュートが決まるのを見ながら返事をする。
なぜ、真君を選んだのか。
何故、真君が好きなのか。
人に答えるのは初めてかもしれない。
『感情が先だったのか関係が先だったのか、思い返してもわからないですけど…私は彼に支えて貰って今まで生きてきました。ひとりぼっちだった私に、居場所をくれるのはいつだって彼です。…今みたいに』
「……」
『だから結婚も、そういう形で私を家族にしてくれた…それだけのことですよ』
「…、なんか込み入った事情があったのは察したわ」
『はは…まあ、色々ありました』
追撃しようとする氷室君からボールを奪って真君がフローターシュートを放つ。
相変わらず格好いいな。
「花ちゃんが宮地と仲良うしとるから、花宮やけに張り切っとるやん」
「あ?あの積極性はそういうことかよ」
…なんか、霧崎に入る時もこんなやり取りした気がする。
(そっか、私が見てたからだったの)
(ちょっと、嬉しい)
「ほな、そこまでー」
その辺りでブザーが鳴って。今吉さんが号令をかける。
「花ちゃん!どうだった?俺の3Pシュート!運命感じた!?」
「いやいやワシのブロックじゃろ!」
「え?そこは俺のシュートじゃないの?」
とたん、森山さん岡村さん氷室君がガヤガヤと詰めよってきて。
「おいマネージャーを困らせるな。悪いな、コイツら馬鹿で」
端から順に笠松さんに軽くシバかれている。
『いえ、大丈夫です。…月並みですが、皆さんすっごくカッコ良かったです!』
それを眺めながらつい、本音と笑みを溢せば。
氷室君から満面のスマイル、森山さんと岡村さんからガッツポーズ、笠松さんの赤面、水戸部君のはにかみをそれぞれ受け取って。
最後に真君を見たら、何故か無表情。
「お前は高校の時から変わらないな」
『だって事実だもの。…まあ、語彙力も変わってないけど』
「…」
『真君が一番格好いいのも変わってないし』
本当に焼き餅なんて妬いてたのか。
彼と目を合わせれば、満足そうに下がっていった。
「んじゃチーム替えな」
花宮/宮地/水戸部vs今吉/森山/氷室
「よろしゅうな、花宮」
「嫌です」
「おい水戸部マジで声出してみろよ、轢くぞ?」
始まる前から不穏なのは、今吉さんの笑い方が怖いからかな?宮地さんの「轢くぞ」が低音だからかな?
「挨拶はシャキッとやれ!」
笠松さんの激でとりあえず始まった試合。
…えっと、怖い。
今吉さんも真君も、PGとしての性質が似てるんだと思う。3人しかいないのに、思考を読み合うような深い試合をしてるのだ。
その感覚が、審判席まで来ていて寒気がする。
『妖怪対悪童』
「…花宮の扱いそれでいいのか?」
『いや…今の真君は悪童なんで…スイッチどこで入っちゃったのやら』
十中八九、今吉さんとの対戦だからだろうけど。
「…なあ、話は違うんだが…」
徐に口を開いたのは笠松さん。続いた言葉が
「なんで花宮なんだ?」
貴方もですか笠松さん。
『…なんで、とは』
「言葉は悪いが、他にもいい奴いたんじゃないか」
貴方もですか岡村さん。
『……私には、他なんて居ないし要らないんです』
思わずムッとした声が出てしまった。
だって、皆の真君への評価があまりに低い。
『なんで真君が好きかなんて、理由を上げたらきりないですけど…彼は皆さんが想ってるよりずっと優しいですよ。…私には』
コートから真君の舌打ちが聞こえる。
今吉さんに裏をかかれたらしい。
宮地さんの罵声は相変わらず怖い。
「あれが優しい?」
『聞きます?のろけ話』
クリスマスデートで可愛いって言ってくれたこと、私が泣いてる時はいつも傍に居てくれたこと、抱き締めてくれたこと。
「花ちゃん!俺のシュート見ててくれた!?」
「森山…」
『すみませーん、私真君しか見てないんで!』
「ぐはっ!」
「なんか同時に岡村もダメージ受けてるんだが」
森山さんの無回転シュートが決まった。勿論見てたけど、多分彼が見て欲しい感じには見てない。
「あかん、こっちのチームの士気だだ下がりや」
「そりゃあ御愁傷様」
「お前も少しは照れたりせんかい」
「いやいや。アイツが俺しか見てないのは知ってるんで」
「よく言うわ」
なんか楽しそうな話してるな。
よく聞き取れないけど。
「………まあ、お前が花宮にベタ惚れなのは解ったわ」
『あはは…』
結局、どんなに考えたって。
誰になんと言われたって。
真君が好きなのは変わらない。
そりゃあ、バスケを真剣にやってる表情は皆さん格好いい。
けど、皆一様に格好いいなら尚のこと。
…ずっと傍にいてくれて、これからも傍に居てくれる真君が一番に決まってる。
なんて回想すればブザーがなって試合が終わった。
あの時のように、真君がレイアップを決めて。
今「…花ちゃんのアレはずるいわぁ」
笠「鬼に金棒」
岡「弁慶に薙刀」
森「…虎に翼」
宮「あー…獅子に鰭?」
氷「宮田にネイルハンマー」
今「花宮に嫁」
宮田にネイルハンマーは通じない人いるんじゃないかな。氷室さんホラーゲームとかやるんだね。
「……そこまで来ると馬鹿にしてるだろ」
「まさか。ええ嫁もろたな」
「それは否定しませんけど」
「リア充め、焼かれるのと轢かれるのとパイナップル、選ばしてやる」
宮地さん筆頭に今吉さん森山さんから小突かれる…よりやや強めのスキンシップを取られる真君は嫌そうな顔をしている。
でも、宥めてくれる笠松さんや岡村さんがいて。
水戸部君や氷室君もそれに加勢してくれる。
『…なんだか、兄弟みたいで楽しいですね』
「兄弟?」
『はい、お兄さんみたいです』
「…はっ!試しにお兄ちゃんって呼んでくれないか!」
『え…えっと、よしたかお兄ちゃん?』
「よし!俺の妹天使!」
「…森山懲りねぇな」
「じゃあ俺からみたら、よしたか兄さんですね」
「あ゛あ゛ーー!花宮は呼ぶな!折角エンジェルボイスで『大きくなったらお兄ちゃんと結婚する❤️』まで想像したのに!」
「…1回くたばってください」
「なあなあ、ワシも呼んで?」
『しょういちお兄ちゃん?』
「かわええなぁ。うちの妹も、こんくらい可愛ければ…ワシの妹にならん?」
「アンタは1回といわず3回くらいくたばってください」
…余計なこと言っちゃったな。
と思ったのは真君が笑顔で中指立ててから。
『…水戸部君、どうしよ』
「"…他のお兄さんに頼ってみる?"」
『やっぱり?…そうだね』
この場はノリがよくて牽制できる人を…
『…宮地さん』
「なんだ?」
『う…あの、アレをおさめて欲しいんです』
「自分で撒いた種だろ?…紅一点だって自覚したか?」
『…はい、気を付けます』
「ならよし。じゃあ、キヨ兄って呼んでくれ」
『へ…あ、えっと…キヨにぃ、お願い?』
「っしゃ!オラァッ、可愛い妹困らせてんじゃねえよ!○すぞ!」
…宮地さんから放送禁止用語が出た。
『…人選…間違えたかな?』
「"…かもね"」
因にこのあと、
笠松さんを"ゆきお兄さん"
岡村さんを"けん兄ちゃん"
と呼んで悶えさせた。
「………疲れた」
『お疲れ様』
「いや、お前が兄弟とか言わなけりゃ、あそこまではならなかったろ」
『…反省してます』
今日の練習を解散して、家に帰った私達はカーペットに寝転んだ。
真君は私を抱き寄せて、頬を軽くつねる
それから、ちゅぅっと口を寄せた。
『ん…やっぱり私の旦那が一番格好いい』
暫く目をぱちくりさせた真君は、目を細めて笑い、一層強く抱き締めてくれる。
「…………本当に、お前がいれば宮田にも負ける気がしない」
『せめて鬼か弁慶のがわかりやすかったなー』
fin
余談
宮田にネイルハンマー、の宮田は。
ホラーゲームのSIRENに登場するキャラクターで。
ネイルハンマーでゾンビを倒しまくる最強のお医者様です。