人外霧崎とわちゃわちゃ
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絡新婦の花宮と冬にわちゃわちゃ
※人外霧崎 花宮落ち独立ストーリー
寒波襲来。
急に冷え込んだと思ったらまさかの積雪。
帰り道は足首が埋まる程の雪道だった。
パンプスの横から雪が入って冷たい。
『…っ!?』
家に入ったらこたつ着けてストーブ焚いてお風呂沸かして…なんて考えてた頭は一瞬フリーズした。
玄関に、両手程の大きな蜘蛛が雪に埋もれているのを見つけて。
『まこと!?真!』
雪を退けて抱えあげれば、緑と黒の縞模様、一輪の椿。彼が脚を縮めて固まっていた。
『大丈夫!?』
ピクリともしないその躯を抱き締めて家に飛び込む。
即行でこたつとストーブの電源を入れて、ブランケットで彼をくるんだ。
『まこと…死んでないよね?』
蜘蛛って、冬眠するんだろうか。
冬眠であって欲しい。
ならなんで玄関にいたの、という気もするけど…天窓から入れるのに。
『真…死んじゃ嫌だからね』
抱え込んで彼の背中を撫でていれば、僅かにその脚が動いた気がした。
尚も撫で続ければ、モソモソと縮めた脚を伸ばし始める。
『良かった…生きてた…』
安堵の息を漏らせば、彼の体は人へと成していく。
私の太ももに跨がるように座って、彼の頭は私を見下ろす位置にきた。
うっすら開かれる瞳はぼんやりとして、寝起きのような印象。
「……?なんで泣いてんの、お前」
『真が…死んじゃったかと思って…でも、生きてて…安心したの…よかったぁ』
「……は」
『だって!雪に埋まってるし、動かないし…本当に心配したんだから!』
彼の背中を思いっきり抱き締めて、溢れる涙を彼の衣に吸わせる。
「あー…仮死状態だったのか…」
『なんで天窓から入らなかったの』
「…天窓凍ってて開かなかったんだよ。で、玄関の雪でも掻いて待っててやろうと思ったら…な」
『そう、でも…本当に良かった…もう、冬は外で待たないで。合鍵あげるから、中に居てよ、お願い』
「…あのな、俺は人間と違って妖だ。そんなに柔じゃねぇから、心配し過ぎ。つーかいい加減泣き止め」
真は私の肩を抱き締め返しながら、あやすように言葉を続けた。
「[#dn=2#]は存外お人好しだよな。他人なんてどうでもいい口振りだった癖に俺の心配なんかして。たかが虫一匹だろ」
けど、私はその言葉を否定するように、彼の胸に額をグリグリ押し付けて首を横に振る。
『…真は、大切だから。貴方じゃなかったら、きっと、泣くほど心配なんかしない』
「………」
彼は暫く押し黙った。
沈黙の中で、自分の呼吸と彼の心音がやたら響く気がする。
「…[#dn=2#]」
『ん…?』
「お前じゃなかったら…この雪の中、ただ会いたいからって来たりしねぇよ」
僅かに見上げた彼の顔は。
悪戯に、でも優しげに目を細めて笑っていて。
今度は私が沈黙した。
「泣き止んだか」
『…はい』
「ふは、なに改まってんだよ」
ポンポンと、やっぱりあやすように彼は私の頭を撫で叩いた。
私が温めて抱き締めてた筈なのに、逆になってる。
いや、彼は膝の上のままだけども。
『…両想いなのかな、って思って』
「……そうだろ。お互い特別だってことは」
『ふふ…そうだよね』
「泣き止んだと思ったら凄ぇニヤケ顔だな」
『だって、真と両想い。真も、私と同じ気持ちなんて…不思議、嬉しい』
「不思議が先とか」
着たままだったコートやスーツがシワになるのも気にせず、私は真を強く抱き締め直した。
こんな綺麗な人が、私を特別だって、大切だって思ってくれる。
不思議。愛しい。嬉しい。幸せ。
『真…好き。それも?それも両想い?』
「…当然」
『ん…良かった…大好きだよ。本当、生きてて良かった』
「はあ…心配させて悪かったな」
『うん。凄く心配したから、罰としてここに住んで』
本気半分、冗談半分。
彼を見上げて見詰めれば、また"ふはっ"と吐息を漏らして笑われた。
「ああ。それが罰になるなら」
彼もまた私の背を強く抱き締め直して、頬を寄せる。
視線を絡めれば、自然と唇が重なった。
今なら、雪に閉ざされて全てが終わっても構わないと思える。
だって、彼とならどんな状況からだって始まれる気がするから。
…それが、本当に始まりで。
『っ!?まこ、え、真!』
彼は時折、死んだふりをする。
…仮死状態を死んだふりというのもどうかと思うけど、蜘蛛が寒い部屋の隅に縮こまっているのを見るのは心臓に悪い。
『ストーブもこたつも使っていいって言ってるのに!』
ただ、わざとやってるのはわかってた。
『…甘えん坊』
ぎゅっと抱き締めれば、程無くして彼は動き始める。
それから、人の体へ変化させて抱き締め返してきた。
「だれが?」
『真が。もう、やめてよね。こんなことしなくても抱き締めるから、本当心臓に悪い』
「いやぁ、お前の反応が楽しくて」
『私は楽しくないの』
甘えるようにすり寄る姿は、蜘蛛というより猫なんだけど。彼は私に触れるきっかけにコレー仮死ーを使うようになった。
『それに、たまには真が温めてくれてもいいんだよ?』
「……へえ?」
彼はするりと膝の上から降りて、私の脇と膝裏に腕を通すと。そのまま胡座をかいて座り込んだ。
勿論、私はその膝の上。
『おー…お姫様抱っこ』
「これで満足か?」
『ふふ、満足』
真の首に腕を回して、今度は私がすり寄るように彼の胸に凭れた。
「………」
『真?』
「…春が来なければいいと思って」
『え、なんで』
「……ずっと、こうしてたいから」
最後は消えそうな声だったそれ。
暫く考えて、その発言が勘違いだと気づく。
『……あのね、真さえ良ければ、ずっと此処に住んでいいんだよ?』
冬だけ、ここに住む、と思ったんじゃないか。
だから、春が来なければいい、なんて。
『私だって、ずっと一緒にいたいもの』
「………」
『ね、まこと』
返事の代わりなのか。
彼は私を強く抱き締めて、首筋に唇を落とした。
(…知ってたよ、本当はそういう意味じゃないって)
(時が止まればいいと思ったんでしょ?)
(人間の私が先に死んじゃうから)
(でも、時は止められないからね)
(大丈夫、私は何度だって貴方の傍で咲くよ)
fin
実は短編カメリアの転生。…という裏話。
カメリア → 中間 → 人外
花宮… 人 / 蜘蛛 /
ヒロイン… 椿 / 人 /
という、すれ違い人外。
※人外霧崎 花宮落ち独立ストーリー
寒波襲来。
急に冷え込んだと思ったらまさかの積雪。
帰り道は足首が埋まる程の雪道だった。
パンプスの横から雪が入って冷たい。
『…っ!?』
家に入ったらこたつ着けてストーブ焚いてお風呂沸かして…なんて考えてた頭は一瞬フリーズした。
玄関に、両手程の大きな蜘蛛が雪に埋もれているのを見つけて。
『まこと!?真!』
雪を退けて抱えあげれば、緑と黒の縞模様、一輪の椿。彼が脚を縮めて固まっていた。
『大丈夫!?』
ピクリともしないその躯を抱き締めて家に飛び込む。
即行でこたつとストーブの電源を入れて、ブランケットで彼をくるんだ。
『まこと…死んでないよね?』
蜘蛛って、冬眠するんだろうか。
冬眠であって欲しい。
ならなんで玄関にいたの、という気もするけど…天窓から入れるのに。
『真…死んじゃ嫌だからね』
抱え込んで彼の背中を撫でていれば、僅かにその脚が動いた気がした。
尚も撫で続ければ、モソモソと縮めた脚を伸ばし始める。
『良かった…生きてた…』
安堵の息を漏らせば、彼の体は人へと成していく。
私の太ももに跨がるように座って、彼の頭は私を見下ろす位置にきた。
うっすら開かれる瞳はぼんやりとして、寝起きのような印象。
「……?なんで泣いてんの、お前」
『真が…死んじゃったかと思って…でも、生きてて…安心したの…よかったぁ』
「……は」
『だって!雪に埋まってるし、動かないし…本当に心配したんだから!』
彼の背中を思いっきり抱き締めて、溢れる涙を彼の衣に吸わせる。
「あー…仮死状態だったのか…」
『なんで天窓から入らなかったの』
「…天窓凍ってて開かなかったんだよ。で、玄関の雪でも掻いて待っててやろうと思ったら…な」
『そう、でも…本当に良かった…もう、冬は外で待たないで。合鍵あげるから、中に居てよ、お願い』
「…あのな、俺は人間と違って妖だ。そんなに柔じゃねぇから、心配し過ぎ。つーかいい加減泣き止め」
真は私の肩を抱き締め返しながら、あやすように言葉を続けた。
「[#dn=2#]は存外お人好しだよな。他人なんてどうでもいい口振りだった癖に俺の心配なんかして。たかが虫一匹だろ」
けど、私はその言葉を否定するように、彼の胸に額をグリグリ押し付けて首を横に振る。
『…真は、大切だから。貴方じゃなかったら、きっと、泣くほど心配なんかしない』
「………」
彼は暫く押し黙った。
沈黙の中で、自分の呼吸と彼の心音がやたら響く気がする。
「…[#dn=2#]」
『ん…?』
「お前じゃなかったら…この雪の中、ただ会いたいからって来たりしねぇよ」
僅かに見上げた彼の顔は。
悪戯に、でも優しげに目を細めて笑っていて。
今度は私が沈黙した。
「泣き止んだか」
『…はい』
「ふは、なに改まってんだよ」
ポンポンと、やっぱりあやすように彼は私の頭を撫で叩いた。
私が温めて抱き締めてた筈なのに、逆になってる。
いや、彼は膝の上のままだけども。
『…両想いなのかな、って思って』
「……そうだろ。お互い特別だってことは」
『ふふ…そうだよね』
「泣き止んだと思ったら凄ぇニヤケ顔だな」
『だって、真と両想い。真も、私と同じ気持ちなんて…不思議、嬉しい』
「不思議が先とか」
着たままだったコートやスーツがシワになるのも気にせず、私は真を強く抱き締め直した。
こんな綺麗な人が、私を特別だって、大切だって思ってくれる。
不思議。愛しい。嬉しい。幸せ。
『真…好き。それも?それも両想い?』
「…当然」
『ん…良かった…大好きだよ。本当、生きてて良かった』
「はあ…心配させて悪かったな」
『うん。凄く心配したから、罰としてここに住んで』
本気半分、冗談半分。
彼を見上げて見詰めれば、また"ふはっ"と吐息を漏らして笑われた。
「ああ。それが罰になるなら」
彼もまた私の背を強く抱き締め直して、頬を寄せる。
視線を絡めれば、自然と唇が重なった。
今なら、雪に閉ざされて全てが終わっても構わないと思える。
だって、彼とならどんな状況からだって始まれる気がするから。
…それが、本当に始まりで。
『っ!?まこ、え、真!』
彼は時折、死んだふりをする。
…仮死状態を死んだふりというのもどうかと思うけど、蜘蛛が寒い部屋の隅に縮こまっているのを見るのは心臓に悪い。
『ストーブもこたつも使っていいって言ってるのに!』
ただ、わざとやってるのはわかってた。
『…甘えん坊』
ぎゅっと抱き締めれば、程無くして彼は動き始める。
それから、人の体へ変化させて抱き締め返してきた。
「だれが?」
『真が。もう、やめてよね。こんなことしなくても抱き締めるから、本当心臓に悪い』
「いやぁ、お前の反応が楽しくて」
『私は楽しくないの』
甘えるようにすり寄る姿は、蜘蛛というより猫なんだけど。彼は私に触れるきっかけにコレー仮死ーを使うようになった。
『それに、たまには真が温めてくれてもいいんだよ?』
「……へえ?」
彼はするりと膝の上から降りて、私の脇と膝裏に腕を通すと。そのまま胡座をかいて座り込んだ。
勿論、私はその膝の上。
『おー…お姫様抱っこ』
「これで満足か?」
『ふふ、満足』
真の首に腕を回して、今度は私がすり寄るように彼の胸に凭れた。
「………」
『真?』
「…春が来なければいいと思って」
『え、なんで』
「……ずっと、こうしてたいから」
最後は消えそうな声だったそれ。
暫く考えて、その発言が勘違いだと気づく。
『……あのね、真さえ良ければ、ずっと此処に住んでいいんだよ?』
冬だけ、ここに住む、と思ったんじゃないか。
だから、春が来なければいい、なんて。
『私だって、ずっと一緒にいたいもの』
「………」
『ね、まこと』
返事の代わりなのか。
彼は私を強く抱き締めて、首筋に唇を落とした。
(…知ってたよ、本当はそういう意味じゃないって)
(時が止まればいいと思ったんでしょ?)
(人間の私が先に死んじゃうから)
(でも、時は止められないからね)
(大丈夫、私は何度だって貴方の傍で咲くよ)
fin
実は短編カメリアの転生。…という裏話。
カメリア → 中間 → 人外
花宮… 人 / 蜘蛛 /
ヒロイン… 椿 / 人 /
という、すれ違い人外。