子守唄から鎮魂曲まで
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《永遠とは》:花宮
※ヒロイン視点
花言葉辞典、私はそんなものを広げてリビングで読んでいた。
熱心に読みふけっていれば、呆れたような花宮の声。
「女は花言葉とか好きだよな」
少し小馬鹿にしたその口調も慣れたもので、私もさほど気に留めずに返事をする。
『女とか男とか関係ないんじゃないかな。何かにメッセージを込めて贈りたいって思うことあるでしょ。…それか、意図しないメッセージを贈りたくないってことも』
ぺらり。めくるページにはバラの写真。
色とりどり、本数やトゲの有無でまで意味が変わってしまうらしい。
「相手が知ってなきゃ意味ないだろ」
『まあ、自己満足もあると思うけどさ』
開かれたページを一瞥した彼は、興味無さそうに視線を外した。
「本数で意味が変わるとか、数本ならともかく一々数えろってか面倒くさい」
まあ、それもそうだな。って、私も開いていたページを閉じる。
『じゃあ、最初から教えておくね』
「は?」
逸れて行った視線が、私の目を見る。訝しむ彼の顔も慣れたもので、私はやっぱり気にせず続きを紡ぐ。
『明日、真にバラの花束渡そうと思って』
彼の表情が少しずつ崩れていく。なに、その顔。困惑?キョトンってほど無垢でもないけど怪訝ってほど悪意もなさそう。
『トゲのない、赤いバラを、99本』
そう付け足せば、彼はブワッと頬を染めた。
流石にわかる、それは嫌悪じゃないよね。
意図しない喜びへの照れとか恥じらいでしょ。
『ねえ。受け取ってくれる?』
本のページを閉じた今、彼は意味を知る術はないだろうけど。
瞳を一瞬潤ませて、そっぽを向いた。
「っ、200本なら、受け取ってやる」
…なんだ、意味知ってたんじゃん。
**********――
《永遠とは…その後》
※花宮視点
明くる日、彼女は本当に花束を用意していた。
両手で受け取ったそれは、抱えていないと溢れそうなくらいの重さと大きさで。
「マジで99本とか…どうすんだよ…」
…溢れそうな何かを堪えるために、口は悪態をついて足はうろうろとリビンクを歩き回る。
ソファ?テーブル?椅子?いっそシンクか?
その間に彼女はスマホのカメラを弄くって、
『真、写真撮らせて』
「はぁ?そこまでしなくても」
『その本数は一生に一度しか送らないから。記念に』
ね?と言いながら、もうシャッターを押していた。
「…っ。なら、お前も写れよ!」
両手はバラに塞がれててタイマーを設定できず、彼女の手元を睨むしかない。
『…うん、じゃあ、一緒にね』
彼女はようやっと設定して、棚の上に置いたスマホでなんとか二人で映る写真をとった。
…彼女は嬉しそうな顔してるけど、俺は微妙な顔で写っている。
だって、どんな顔をすればいいかわからなかったんだ。嬉しいとか恥ずかしいとか、名前のつかない感情が心の大半を占めてる。
…けして、嫌なものではないけれど。
(…ああ、クソ…マジでこのバラ、どうしたらいい)
翌日、なんとか花瓶に生けた花束を、早々にドライフラワーにすることにした。
自分でやってもよかったが、餅は餅屋ということで花屋へ委託する。
『…』
少し、寂しそうに花束を見送る彼女に、
「…意図しない意味は、贈りたくないんだろ」
と、小声でこぼした。
彼女は花言葉辞典を読むときに"何かにメッセージを込めて贈りたいって思うことあるでしょ。…それか、意図しないメッセージを贈りたくないってことも"と言っていた。
枯れたバラの花言葉は、"絶望"と"愛想が尽きた"。
だから、枯れる前に処理した。
…俺だって、受け取りたくないし。
寂しそうな顔からパァっと顔を綻ばせた彼女は
『…うん。汲んでくれてありがとう。来年贈る残りの101本は、白バラにするね』
と微笑んだ。
…枯れた白バラの花言葉って“永遠の愛”…
「……っ、置場所がねえんだよ、バカ!」
精一杯の照れ隠しだったのに、上機嫌な彼女は
『それは、来年も受け取ってくれるってことだよね?』
と、なお微笑んだ。
…翌年、俺と彼女の家にあるクローゼットの一番上の段、クリアケースに入った赤バラの花束の横に、白バラの花束が並ぶことになる。
Fin
※ヒロイン視点
花言葉辞典、私はそんなものを広げてリビングで読んでいた。
熱心に読みふけっていれば、呆れたような花宮の声。
「女は花言葉とか好きだよな」
少し小馬鹿にしたその口調も慣れたもので、私もさほど気に留めずに返事をする。
『女とか男とか関係ないんじゃないかな。何かにメッセージを込めて贈りたいって思うことあるでしょ。…それか、意図しないメッセージを贈りたくないってことも』
ぺらり。めくるページにはバラの写真。
色とりどり、本数やトゲの有無でまで意味が変わってしまうらしい。
「相手が知ってなきゃ意味ないだろ」
『まあ、自己満足もあると思うけどさ』
開かれたページを一瞥した彼は、興味無さそうに視線を外した。
「本数で意味が変わるとか、数本ならともかく一々数えろってか面倒くさい」
まあ、それもそうだな。って、私も開いていたページを閉じる。
『じゃあ、最初から教えておくね』
「は?」
逸れて行った視線が、私の目を見る。訝しむ彼の顔も慣れたもので、私はやっぱり気にせず続きを紡ぐ。
『明日、真にバラの花束渡そうと思って』
彼の表情が少しずつ崩れていく。なに、その顔。困惑?キョトンってほど無垢でもないけど怪訝ってほど悪意もなさそう。
『トゲのない、赤いバラを、99本』
そう付け足せば、彼はブワッと頬を染めた。
流石にわかる、それは嫌悪じゃないよね。
意図しない喜びへの照れとか恥じらいでしょ。
『ねえ。受け取ってくれる?』
本のページを閉じた今、彼は意味を知る術はないだろうけど。
瞳を一瞬潤ませて、そっぽを向いた。
「っ、200本なら、受け取ってやる」
…なんだ、意味知ってたんじゃん。
**********――
《永遠とは…その後》
※花宮視点
明くる日、彼女は本当に花束を用意していた。
両手で受け取ったそれは、抱えていないと溢れそうなくらいの重さと大きさで。
「マジで99本とか…どうすんだよ…」
…溢れそうな何かを堪えるために、口は悪態をついて足はうろうろとリビンクを歩き回る。
ソファ?テーブル?椅子?いっそシンクか?
その間に彼女はスマホのカメラを弄くって、
『真、写真撮らせて』
「はぁ?そこまでしなくても」
『その本数は一生に一度しか送らないから。記念に』
ね?と言いながら、もうシャッターを押していた。
「…っ。なら、お前も写れよ!」
両手はバラに塞がれててタイマーを設定できず、彼女の手元を睨むしかない。
『…うん、じゃあ、一緒にね』
彼女はようやっと設定して、棚の上に置いたスマホでなんとか二人で映る写真をとった。
…彼女は嬉しそうな顔してるけど、俺は微妙な顔で写っている。
だって、どんな顔をすればいいかわからなかったんだ。嬉しいとか恥ずかしいとか、名前のつかない感情が心の大半を占めてる。
…けして、嫌なものではないけれど。
(…ああ、クソ…マジでこのバラ、どうしたらいい)
翌日、なんとか花瓶に生けた花束を、早々にドライフラワーにすることにした。
自分でやってもよかったが、餅は餅屋ということで花屋へ委託する。
『…』
少し、寂しそうに花束を見送る彼女に、
「…意図しない意味は、贈りたくないんだろ」
と、小声でこぼした。
彼女は花言葉辞典を読むときに"何かにメッセージを込めて贈りたいって思うことあるでしょ。…それか、意図しないメッセージを贈りたくないってことも"と言っていた。
枯れたバラの花言葉は、"絶望"と"愛想が尽きた"。
だから、枯れる前に処理した。
…俺だって、受け取りたくないし。
寂しそうな顔からパァっと顔を綻ばせた彼女は
『…うん。汲んでくれてありがとう。来年贈る残りの101本は、白バラにするね』
と微笑んだ。
…枯れた白バラの花言葉って“永遠の愛”…
「……っ、置場所がねえんだよ、バカ!」
精一杯の照れ隠しだったのに、上機嫌な彼女は
『それは、来年も受け取ってくれるってことだよね?』
と、なお微笑んだ。
…翌年、俺と彼女の家にあるクローゼットの一番上の段、クリアケースに入った赤バラの花束の横に、白バラの花束が並ぶことになる。
Fin
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