名コナ
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Lost woman 05
「かわいいー!安室さんこれどうしたんですか?」
テーブル席に珈琲が運ばれてきたと同時に蘭が声を上げた。何かと思えば、安室さんのデニムジーンズのポケットから携帯ストラップが出ている。ペンギンのマスコットがついていて、その上に英字のイニシャルビーズが二つ。どっかで見たことある。ああ、思い出した。これに似たやつをあの人もつけていたのを見かけた。どういう理由でそうなったのかは大体予想がつくし、それにオレも少なからず関与していた。
「ああ、これですか。この間行ってきた水族館で買ったものですよ」
「へえ…彼女とですか?」
「やーねえ蘭。決まってるじゃない!イケメンが一人で水族館に行くわけないでしょ」
オレの真向いに座る園子が食い気味に「どんな人ですか?」と目を輝かせて聞いている。そこで直ぐに答えない安室さんはオレの方へ視線を向けた。意味深な笑顔を浮かべて。…ったく。オレを巻き込むのもいい加減にしてくれよな。
「あれれー?これ、葉月さんもおんなじやつ持ってたよ。イニシャルが入ってたし、同じ場所で買ったの?」
「よく気づいたねコナン君。お揃いなんだよ」
なんなんだこの猿芝居は。我ながら呆れるぜ。それに気が付かない蘭達は黄色い声を上げて安室さんの顔を同時に見た。
一週間前のことだ。安室さんに一つ手伝って欲しいことがあると言われて聞いてみれば、葉月さんと一緒に出掛けたいから、どうにか呼び出してくれないかと。自分が呼び出しても来ないだろうからと。仕方なく変声機を使って蘭の声で約束を取り付けた、ってわけだ。
「じゃ、じゃあ彼女って?!」
「もしかして」
「み・ん・な・と!お揃いです」
オレとしたことが葉月さんが店に入ってきたことに気が付かなかった。やべえ。鬼の面みてえな顔してる。しかもそれがそのままオレの方に向けられた。口元を引き攣らせて笑っていると、葉月さんがニコっと笑った。まさか、オレが一枚噛んでることバレてんじゃ……いやまさかな。
「あははは……どーしたの葉月のおねーちゃん?」
「ううん。なんでもないよコナン君。今度はみんなで水族館に行こうね?」
「わー。ボクとってもたのしみだなー」
「……はい、みんなの分のお土産」
オレを睨んだあと、葉月さんはバッグからここに居る人数分の小さな紙袋を取り出した。ちょうどストラップが入る大きさの。ああ、それでみんなとお揃いって言ったのか。
「私たちまで貰っちゃっていいんですか?」
「可愛かったからね。良かったら使ってちょうだい。みんなのイニシャル選んできたから」
「葉月さんありがとうございます!」
オレの手にも渡されたストラップ。ペンギンの上にイニシャルビーズがK・Eとついていた。蘭と園子はさっそく自分のスマホに取り付けて、ゆらゆら揺れるそれを見て嬉しそうに笑う。
あれ、そういえば……葉月さんが下げてたのはイニシャルが違ったような。
そうだ、お礼を言わないと。そう思って葉月さんに声をかけようとした。けど彼女の横顔に目が留まって言葉を飲み込んだ。蘭達を見て微笑む顔。久しぶりに見た気がする。でも、やっぱり寂しそうだ。オレたちじゃなくて、どこか遠いところを見ているような。なぜかそう思えたんだ。
「って、お土産で誤魔化される私達じゃないわ!葉月さんっ!安室さんとデートしてきたって本当ですか?!」
「デートじゃありません。偶然です、あくまで偶然」
「でも、ストラップお揃いじゃないですか」
「一緒に買ったわけじゃないから、これ」
「葉月さんが買ってるのを見て僕も欲しくなったんです。カワイイなーと思って」
徐にポケットからスマホを取り出した安室さん。T・Aとイニシャルがついたストラップが揺れる。小首をかしげて、笑みながら「ね?」と言うもんだから。蘭と園子が首を大きく縦に振って頷いていた。
葉月さんはというと、勝手にしてと言いたげに踵を返し、カウンターにいる梓さんに声をかけにいった。どうやらマスターと梓さんにもお土産があるみたいだ。
「ほんっとーにデートじゃないんですか?葉月さんはああ言ってましたけど」
「安室さん、葉月さんに嫌われてるんじゃないのー?」
一つ仕返しをしてやろうとニヤニヤしながら安室さんに一言。だが、それを全く気に留めずに安室さんが背を屈めて内緒話をするようにオレたちに小声で言った。
「実は今アプローチ中なんだけど、中々振り向いてくれなくてね。だから君たちも応援してくれないかな」
「もちろんです!頑張ってくださいね」
「…うーん。悔しいけど葉月さんなら仕方ないか。応援するからには必ずゲットしてくださいよ!」
ははっ…この人、蘭達まで味方につけやがった。でも、なんでこんなにしつこく葉月さんにアピールしてるんだ。本気で好きなのか、いや…そう考えるのはまだ早い。何面もの顔を持つ人だ。何か企んでいるのかもしれない。
「ねえ、安室さん。なんで葉月さんを狙ってるの?」
「なんでって……気になるから、だよ」
「ふーん。……もし、葉月さんを何かに利用しようと考えてるんなら…ボク、許さないよ」
この人のことだ。まだ探っている段階なんだろう。自分にとって敵なのか味方なのか。もしどちらでもないグレーなら、目的を果たす為にあの人を利用する可能性だってある。
オレは牽制のつもりで睨み付けた。それに対してこの人は目を細めて笑っていた。
「かわいいー!安室さんこれどうしたんですか?」
テーブル席に珈琲が運ばれてきたと同時に蘭が声を上げた。何かと思えば、安室さんのデニムジーンズのポケットから携帯ストラップが出ている。ペンギンのマスコットがついていて、その上に英字のイニシャルビーズが二つ。どっかで見たことある。ああ、思い出した。これに似たやつをあの人もつけていたのを見かけた。どういう理由でそうなったのかは大体予想がつくし、それにオレも少なからず関与していた。
「ああ、これですか。この間行ってきた水族館で買ったものですよ」
「へえ…彼女とですか?」
「やーねえ蘭。決まってるじゃない!イケメンが一人で水族館に行くわけないでしょ」
オレの真向いに座る園子が食い気味に「どんな人ですか?」と目を輝かせて聞いている。そこで直ぐに答えない安室さんはオレの方へ視線を向けた。意味深な笑顔を浮かべて。…ったく。オレを巻き込むのもいい加減にしてくれよな。
「あれれー?これ、葉月さんもおんなじやつ持ってたよ。イニシャルが入ってたし、同じ場所で買ったの?」
「よく気づいたねコナン君。お揃いなんだよ」
なんなんだこの猿芝居は。我ながら呆れるぜ。それに気が付かない蘭達は黄色い声を上げて安室さんの顔を同時に見た。
一週間前のことだ。安室さんに一つ手伝って欲しいことがあると言われて聞いてみれば、葉月さんと一緒に出掛けたいから、どうにか呼び出してくれないかと。自分が呼び出しても来ないだろうからと。仕方なく変声機を使って蘭の声で約束を取り付けた、ってわけだ。
「じゃ、じゃあ彼女って?!」
「もしかして」
「み・ん・な・と!お揃いです」
オレとしたことが葉月さんが店に入ってきたことに気が付かなかった。やべえ。鬼の面みてえな顔してる。しかもそれがそのままオレの方に向けられた。口元を引き攣らせて笑っていると、葉月さんがニコっと笑った。まさか、オレが一枚噛んでることバレてんじゃ……いやまさかな。
「あははは……どーしたの葉月のおねーちゃん?」
「ううん。なんでもないよコナン君。今度はみんなで水族館に行こうね?」
「わー。ボクとってもたのしみだなー」
「……はい、みんなの分のお土産」
オレを睨んだあと、葉月さんはバッグからここに居る人数分の小さな紙袋を取り出した。ちょうどストラップが入る大きさの。ああ、それでみんなとお揃いって言ったのか。
「私たちまで貰っちゃっていいんですか?」
「可愛かったからね。良かったら使ってちょうだい。みんなのイニシャル選んできたから」
「葉月さんありがとうございます!」
オレの手にも渡されたストラップ。ペンギンの上にイニシャルビーズがK・Eとついていた。蘭と園子はさっそく自分のスマホに取り付けて、ゆらゆら揺れるそれを見て嬉しそうに笑う。
あれ、そういえば……葉月さんが下げてたのはイニシャルが違ったような。
そうだ、お礼を言わないと。そう思って葉月さんに声をかけようとした。けど彼女の横顔に目が留まって言葉を飲み込んだ。蘭達を見て微笑む顔。久しぶりに見た気がする。でも、やっぱり寂しそうだ。オレたちじゃなくて、どこか遠いところを見ているような。なぜかそう思えたんだ。
「って、お土産で誤魔化される私達じゃないわ!葉月さんっ!安室さんとデートしてきたって本当ですか?!」
「デートじゃありません。偶然です、あくまで偶然」
「でも、ストラップお揃いじゃないですか」
「一緒に買ったわけじゃないから、これ」
「葉月さんが買ってるのを見て僕も欲しくなったんです。カワイイなーと思って」
徐にポケットからスマホを取り出した安室さん。T・Aとイニシャルがついたストラップが揺れる。小首をかしげて、笑みながら「ね?」と言うもんだから。蘭と園子が首を大きく縦に振って頷いていた。
葉月さんはというと、勝手にしてと言いたげに踵を返し、カウンターにいる梓さんに声をかけにいった。どうやらマスターと梓さんにもお土産があるみたいだ。
「ほんっとーにデートじゃないんですか?葉月さんはああ言ってましたけど」
「安室さん、葉月さんに嫌われてるんじゃないのー?」
一つ仕返しをしてやろうとニヤニヤしながら安室さんに一言。だが、それを全く気に留めずに安室さんが背を屈めて内緒話をするようにオレたちに小声で言った。
「実は今アプローチ中なんだけど、中々振り向いてくれなくてね。だから君たちも応援してくれないかな」
「もちろんです!頑張ってくださいね」
「…うーん。悔しいけど葉月さんなら仕方ないか。応援するからには必ずゲットしてくださいよ!」
ははっ…この人、蘭達まで味方につけやがった。でも、なんでこんなにしつこく葉月さんにアピールしてるんだ。本気で好きなのか、いや…そう考えるのはまだ早い。何面もの顔を持つ人だ。何か企んでいるのかもしれない。
「ねえ、安室さん。なんで葉月さんを狙ってるの?」
「なんでって……気になるから、だよ」
「ふーん。……もし、葉月さんを何かに利用しようと考えてるんなら…ボク、許さないよ」
この人のことだ。まだ探っている段階なんだろう。自分にとって敵なのか味方なのか。もしどちらでもないグレーなら、目的を果たす為にあの人を利用する可能性だってある。
オレは牽制のつもりで睨み付けた。それに対してこの人は目を細めて笑っていた。
