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お邪魔します! 1
意識が沈む感覚を脳が、身体全体が受け止めた。それは眠りに落ちた様によく似ていて、深く、深く底へ沈んでいく。
私の名を呼ぶ声が微かに聞こえたような気がしたけれど、応える間もなく私は目覚めた。
目が覚めた時、眩しさを訴えた目は中々開こうとしなかった。浮上する意識と共にさっきまで見ていた夢の内容を思い返す。
別の世界に連れて来られ、神々の戦いに巻き込まれる。無力な自分を護るのが幼少時の初恋の相手。しかも恋い焦がれたその相手と恋愛関係になるなど。そんな複雑で都合の良い話、夢に違いない。
明るさに慣れた目を開き、私はベッドから身を起こした。寝起きで頭がぼんやりしているせいだろうか、今日が何日で何曜日なのかわからなかった。そもそも今何時だろう。
枕元にあるはずのスマホを手で探り、画面を着ける。午後三時十五分。白いゴシック体の数字を私は二度見した。まさか昼を通り越して寝ていたなんてありえない。しかも服を着替えないで。どんなに疲れた日でも寝間着には着替えるのに。
何かおかしい。そう思って私はベッドから降りようとした。そこで目にしたのは床にうつ伏せで転がる人間。一人ならまだしも三人も。
左手の力が緩み、スマホがすぽっと抜け落ちた。その角が誰かの頭に当たったようで、声が上がる。慌てて下を見ると茶色い頭をさすっている手が見えた。まさか、そんなはずは。
「ごっごめん!バッツ、大丈夫?」
「…いってえ。あー…俺はいいけど、そっちこそ大丈夫か?」
「え」
「トラップに巻き込まれそうになったジタンの手を掴んで一緒に落ちていったから」
だから自分も咄嗟に私の手を掴み、さらにバッツの手をスコールが掴んだ。結果、仲良くトラップに落ちていったという。
私たちの話し声に気が付いたのか他の二人ももぞもぞと起き出す。ああ、夢じゃなかった。
*
「俺としたことが……レディを巻き込んじまうなんて」
「まあ一人よりみんな一緒の方がいいじゃないか。キリカの世界に来られたんだし」
「お前ほんと気楽だよな」
体格の良い男三人が狭い寝室で胡坐をかいている。見た目がとても暑苦しい。そのせいかジタンも機嫌が悪いのかさっきからしかめっ面。
スコールは窓の外を気にしているようで、ちらちらと視線が動いていた。
「みんな一緒なのはいいけど、これからどうしようか」
私は良いけれどこの三人組が困る。戦いの真っ最中だし、何より自分の世界があるのだから。以前、バッツがこちらへ飛ばされてきた時はコスモスが迎えをよこしたと言っていた。また同じように回収してくれるだろうか。助けを待つならしばらくここで暮らすことを考えないといけない。寝床はリビングがある、食料は買ってくればいい。着るものは、と一人でこれからの事を考えていると不意打ちに誰かの腹の虫が鳴いた。そういえばお昼ご飯を食べ損ねていた。次から次にイミテーションが沸いてくるんだもの。一息つく暇もなかった。
「まずは何か食べようか。……買い物行かないと材料ない、かな」
冷蔵庫の中には使える食材はない。それにどちらにせよ四人分となると足りない。
私は外に出る支度をしながら何が食べたいかリクエストを取った。そうすると、見事に肉、魚、卵とバラバラの意見が出そろった。全てをミックスさせた料理よりは単品で作った方が良さそうだ。あとでレシピ検索しよう。
「俺も一緒に行く。荷物持つの大変だろ」
「う、ん」
荷物持ちの申し出は大変ありがたいのだけど、その恰好どうしよう。どう見てもコスプレイヤーにしか思えない。しかもこの世界で彼らはある意味有名人。むしろコスプレイヤーと思われた方が都合はいいのかしれない。
この中で一番私服と見てくれそうなのはスコール。だけど、バッツとジタンをこの部屋に残していくのは危険な気がする。タンスや棚をひっくり返されでもしたら困る。ジタンは一番目立つし、となると消去法でバッツしかいない。
「お願いします」
「オーケー。あ、でもこの格好だと目立つよな」
この世界の生活を経験しているからこその常識発言に私はさすがと褒めただろう。そこで一瞬にして踊り子衣装に着替えなければの話だけど。そんな赤い服、それに何より露出が多いから悪目立ちする。
「お願いだからそれだけは止めて。今着替え探すから待って」
壁際にいるスコールが頭を抱えてやれやれと横に振っている。まさに私の心境はそれ。
着替えと言っても、男物なんてない。バッツは細身だから私のでも着れそうだけど。そう思ってタンスやクローゼットをかき回した。ついこの間整理したことを恨んだ。
一番下のタンスを引き出して、隅っこにあった一枚の襟付きシャツを見つけた私は手を止めた。明らかに女性サイズではない大きさ。ああ、嫌だ。なんでこんな物がまだあったんだろう。捨て忘れたんだきっと。
両手で摘み上げたそれを広げる。染みや黄ばみはないけど、折皺が少しある。しばらくシャツを眺めていた私の後ろからバッツが覗き込んできた。
「それ着れそうだな。丈もちょうど良さそうだし」
「そうね。……背に腹は代えられない、か。これ着て、下はその黒スラックスでいいから」
バッツを着替えさせている間に私はこっそりスコールに耳打ちをしにいった。ジタンが妙なことをしないように見張っててほしいと。同意してくれた彼はこくりと頷いてくれた。
意識が沈む感覚を脳が、身体全体が受け止めた。それは眠りに落ちた様によく似ていて、深く、深く底へ沈んでいく。
私の名を呼ぶ声が微かに聞こえたような気がしたけれど、応える間もなく私は目覚めた。
目が覚めた時、眩しさを訴えた目は中々開こうとしなかった。浮上する意識と共にさっきまで見ていた夢の内容を思い返す。
別の世界に連れて来られ、神々の戦いに巻き込まれる。無力な自分を護るのが幼少時の初恋の相手。しかも恋い焦がれたその相手と恋愛関係になるなど。そんな複雑で都合の良い話、夢に違いない。
明るさに慣れた目を開き、私はベッドから身を起こした。寝起きで頭がぼんやりしているせいだろうか、今日が何日で何曜日なのかわからなかった。そもそも今何時だろう。
枕元にあるはずのスマホを手で探り、画面を着ける。午後三時十五分。白いゴシック体の数字を私は二度見した。まさか昼を通り越して寝ていたなんてありえない。しかも服を着替えないで。どんなに疲れた日でも寝間着には着替えるのに。
何かおかしい。そう思って私はベッドから降りようとした。そこで目にしたのは床にうつ伏せで転がる人間。一人ならまだしも三人も。
左手の力が緩み、スマホがすぽっと抜け落ちた。その角が誰かの頭に当たったようで、声が上がる。慌てて下を見ると茶色い頭をさすっている手が見えた。まさか、そんなはずは。
「ごっごめん!バッツ、大丈夫?」
「…いってえ。あー…俺はいいけど、そっちこそ大丈夫か?」
「え」
「トラップに巻き込まれそうになったジタンの手を掴んで一緒に落ちていったから」
だから自分も咄嗟に私の手を掴み、さらにバッツの手をスコールが掴んだ。結果、仲良くトラップに落ちていったという。
私たちの話し声に気が付いたのか他の二人ももぞもぞと起き出す。ああ、夢じゃなかった。
*
「俺としたことが……レディを巻き込んじまうなんて」
「まあ一人よりみんな一緒の方がいいじゃないか。キリカの世界に来られたんだし」
「お前ほんと気楽だよな」
体格の良い男三人が狭い寝室で胡坐をかいている。見た目がとても暑苦しい。そのせいかジタンも機嫌が悪いのかさっきからしかめっ面。
スコールは窓の外を気にしているようで、ちらちらと視線が動いていた。
「みんな一緒なのはいいけど、これからどうしようか」
私は良いけれどこの三人組が困る。戦いの真っ最中だし、何より自分の世界があるのだから。以前、バッツがこちらへ飛ばされてきた時はコスモスが迎えをよこしたと言っていた。また同じように回収してくれるだろうか。助けを待つならしばらくここで暮らすことを考えないといけない。寝床はリビングがある、食料は買ってくればいい。着るものは、と一人でこれからの事を考えていると不意打ちに誰かの腹の虫が鳴いた。そういえばお昼ご飯を食べ損ねていた。次から次にイミテーションが沸いてくるんだもの。一息つく暇もなかった。
「まずは何か食べようか。……買い物行かないと材料ない、かな」
冷蔵庫の中には使える食材はない。それにどちらにせよ四人分となると足りない。
私は外に出る支度をしながら何が食べたいかリクエストを取った。そうすると、見事に肉、魚、卵とバラバラの意見が出そろった。全てをミックスさせた料理よりは単品で作った方が良さそうだ。あとでレシピ検索しよう。
「俺も一緒に行く。荷物持つの大変だろ」
「う、ん」
荷物持ちの申し出は大変ありがたいのだけど、その恰好どうしよう。どう見てもコスプレイヤーにしか思えない。しかもこの世界で彼らはある意味有名人。むしろコスプレイヤーと思われた方が都合はいいのかしれない。
この中で一番私服と見てくれそうなのはスコール。だけど、バッツとジタンをこの部屋に残していくのは危険な気がする。タンスや棚をひっくり返されでもしたら困る。ジタンは一番目立つし、となると消去法でバッツしかいない。
「お願いします」
「オーケー。あ、でもこの格好だと目立つよな」
この世界の生活を経験しているからこその常識発言に私はさすがと褒めただろう。そこで一瞬にして踊り子衣装に着替えなければの話だけど。そんな赤い服、それに何より露出が多いから悪目立ちする。
「お願いだからそれだけは止めて。今着替え探すから待って」
壁際にいるスコールが頭を抱えてやれやれと横に振っている。まさに私の心境はそれ。
着替えと言っても、男物なんてない。バッツは細身だから私のでも着れそうだけど。そう思ってタンスやクローゼットをかき回した。ついこの間整理したことを恨んだ。
一番下のタンスを引き出して、隅っこにあった一枚の襟付きシャツを見つけた私は手を止めた。明らかに女性サイズではない大きさ。ああ、嫌だ。なんでこんな物がまだあったんだろう。捨て忘れたんだきっと。
両手で摘み上げたそれを広げる。染みや黄ばみはないけど、折皺が少しある。しばらくシャツを眺めていた私の後ろからバッツが覗き込んできた。
「それ着れそうだな。丈もちょうど良さそうだし」
「そうね。……背に腹は代えられない、か。これ着て、下はその黒スラックスでいいから」
バッツを着替えさせている間に私はこっそりスコールに耳打ちをしにいった。ジタンが妙なことをしないように見張っててほしいと。同意してくれた彼はこくりと頷いてくれた。