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愛とは何か
「ねえ、キリカ。私、貴女に聴きたいことがあるの」
頭の高い位置で一つに纏められた毛束。ふわふわとしたブロンドの髪が揺れた。ティナは縮こまった様子で細い眉を寄せている。
重大な話かと身構えたキリカはこちらも真剣な表情で応答した。
「うん、話って?」
「あのね……愛って、どういうものなの?」
愛とは一体どういうものを指すのか。いきなり難題を突き付けられてしまった。
彼女はケフカに操られていた為、一般的な感情が乏しい。その彼女に愛を教えるのはとかく難しいだろう。単に好きという意味ではないし、好きの延長線上という訳でもない。好意的なことだと説明をすれば、では友達、家族に抱くものとはどう違うのか。正しく理解してもらう為の説明を考えればキリがない。下手に変な解釈を得て、周囲に愛を説きだしでもしたら大変なことになる。もはや哲学の領域だ。
頭をこれでもかというぐらいに捻って考えるキリカを最初は期待した目で見ていたティナだが、難しい顔をする彼女に次第にしゅんと項垂れてしまった。
「やっぱり難しい問題なのね。たまちゃんとスコールも同じ顔をしていたわ」
「オニオン君真面目だから…ってスコールにも聞いたの?!」
「うん。そうしたら、キリカに聞いてみるといいって。あいつらが一番身近な愛だからって」
自分が上手く答えられないからと言って、人を巻き添えにするのは止めて頂きたい。スコールからのバトンをキリカも答えられる気がしなかった。
いっそセシルにでも聞いてもらおうかと考えもしたが、ティナをこれ以上たらい回しにするのも気が引ける。なんとか答えてあげようと、キリカは慎重に言葉を選び始めた。
「これはあくまで私の解釈だから、必ずしも正しいとは限らない。それだけは知っておいて」
「わかったわ」
「…えっと、愛情って一括りにしても色々あるのよ。ティナはオニオン君やクラウド達のこと友達と思っているでしょ?」
「ええ。それに、大切な仲間」
首を縦に振って頷くティナの表情は柔らかい。心から信頼しているからこそだろう。彼らの絆はしっかりと結ばれていた。
「みんなと一緒に居たい、力になりたい、守りたい。そういう気持ちが芽生えることを友情愛だと思うの」
「友情愛……なんだか素敵な言葉ね」
「うん。家族愛は家族に対する愛情、兄弟愛っていうのもあるわ」
「じゃあ、キリカとバッツは友情愛なのね」
小首を傾げる様に一切の悪気は見られない。今までの説明を基にティナが自ら導き出した答えだ。純粋な目に見つめられたキリカは言葉に詰まった。友情ではないが、家族でもない。恋愛感情の説明をどうしたものかとまた頭を捻る。これを口にすれば「友情とはどう違うの?」と聞かれるに違いない。その違いを上手く説明できる自信はない。
どうしたものかと悩んでいる間、突如背中側から回された腕に引き寄せられる。お日様の香りがふわりと漂う。それだけで背後に居るのが彼だとわかっていた。
「二人して難しい顔してるな。何の話?」
「バッツ。ちょうどいい所に。今、愛について話をしていたの。バッツはキリカを愛しているのよね?」
一切の恥じらいを持たずに尋ねてくるのはティナが初めてだ。真っ向からそれを聞いたキリカは恥ずかしさに目をそらす。その真っすぐな質問に即答する彼も彼だが。
「ああ、勿論。愛してる。理屈とかは俺にはわからないけどさ、お互い好きな相手と一緒に過ごしたいっていうのが愛なんじゃないか」
「一緒に、過ごす…」
「ティナもいつかわかるさ。運命の人に出逢えばな」
的を得た回答をしたバッツは片目を器用に瞑ってウインク。その笑顔を見たティナはしばらく考えるような素振りを見せ、自分の中で答えを見つけたのか小さく頷いた。
「私、少しわかったような気がする。ありがとう。たまちゃんに伝えてくるわ」
同性でも可愛らしいと思える柔らかい笑みを浮かべ、ティナは小走りで二人の前を去っていった。それを待っていたかのように腕を回していたバッツがキリカにすり寄ってくる。
先ほどの台詞をよく平然と言えたものだ。自分なら絶対に口にできない、恥ずかしいとキリカが言った。
「キリカは俺にとって運命の人。だって、お互い住む世界が違うのにこうして出逢えたんだ。それ以外に言い表せないだろ?」
「……それはそう、だけど」
「ところで。そんな俺たちが友達ってことはないよなあ?」
「聞いてたの」
今さっきティナと"愛"について話していた内に二人は友情愛なのかと質問があった。その話をうっかり聞かれていたようだ。地獄耳とはよく言ったもの。
「あーあショックだなあ……俺の一方通行かあ」
大げさな口ぶり。本気で落ち込んでいる様子はないのだが、ここで変に突っぱねると余計に面倒なことになる。一度拗ねると面倒な男なのだ。
キリカは後ろ手でバッツの頭をぽんぽんと撫でてあやす方向でいくことにした。
「よしよし。機嫌直して」
「…俺のこと好き?」
「うん」
「愛してる?」
「愛してる」
「じゃあ、キスして」
そうしたら許す、といつの間にかこちらが全面的に悪いことに。仕方なしにバッツの方を振り向くと、彼に不機嫌な様子は微塵もなく、妖しい笑みを浮かべていた。この時点で踊らされていることに気がつくも、後には引けない。彼の口許に触れるだけの口づけ。これで満足かと問うより先に唇を奪われる。
後頭部と腰に腕を回されて逃げ道を既に絶たれていた。
「ねえ、キリカ。私、貴女に聴きたいことがあるの」
頭の高い位置で一つに纏められた毛束。ふわふわとしたブロンドの髪が揺れた。ティナは縮こまった様子で細い眉を寄せている。
重大な話かと身構えたキリカはこちらも真剣な表情で応答した。
「うん、話って?」
「あのね……愛って、どういうものなの?」
愛とは一体どういうものを指すのか。いきなり難題を突き付けられてしまった。
彼女はケフカに操られていた為、一般的な感情が乏しい。その彼女に愛を教えるのはとかく難しいだろう。単に好きという意味ではないし、好きの延長線上という訳でもない。好意的なことだと説明をすれば、では友達、家族に抱くものとはどう違うのか。正しく理解してもらう為の説明を考えればキリがない。下手に変な解釈を得て、周囲に愛を説きだしでもしたら大変なことになる。もはや哲学の領域だ。
頭をこれでもかというぐらいに捻って考えるキリカを最初は期待した目で見ていたティナだが、難しい顔をする彼女に次第にしゅんと項垂れてしまった。
「やっぱり難しい問題なのね。たまちゃんとスコールも同じ顔をしていたわ」
「オニオン君真面目だから…ってスコールにも聞いたの?!」
「うん。そうしたら、キリカに聞いてみるといいって。あいつらが一番身近な愛だからって」
自分が上手く答えられないからと言って、人を巻き添えにするのは止めて頂きたい。スコールからのバトンをキリカも答えられる気がしなかった。
いっそセシルにでも聞いてもらおうかと考えもしたが、ティナをこれ以上たらい回しにするのも気が引ける。なんとか答えてあげようと、キリカは慎重に言葉を選び始めた。
「これはあくまで私の解釈だから、必ずしも正しいとは限らない。それだけは知っておいて」
「わかったわ」
「…えっと、愛情って一括りにしても色々あるのよ。ティナはオニオン君やクラウド達のこと友達と思っているでしょ?」
「ええ。それに、大切な仲間」
首を縦に振って頷くティナの表情は柔らかい。心から信頼しているからこそだろう。彼らの絆はしっかりと結ばれていた。
「みんなと一緒に居たい、力になりたい、守りたい。そういう気持ちが芽生えることを友情愛だと思うの」
「友情愛……なんだか素敵な言葉ね」
「うん。家族愛は家族に対する愛情、兄弟愛っていうのもあるわ」
「じゃあ、キリカとバッツは友情愛なのね」
小首を傾げる様に一切の悪気は見られない。今までの説明を基にティナが自ら導き出した答えだ。純粋な目に見つめられたキリカは言葉に詰まった。友情ではないが、家族でもない。恋愛感情の説明をどうしたものかとまた頭を捻る。これを口にすれば「友情とはどう違うの?」と聞かれるに違いない。その違いを上手く説明できる自信はない。
どうしたものかと悩んでいる間、突如背中側から回された腕に引き寄せられる。お日様の香りがふわりと漂う。それだけで背後に居るのが彼だとわかっていた。
「二人して難しい顔してるな。何の話?」
「バッツ。ちょうどいい所に。今、愛について話をしていたの。バッツはキリカを愛しているのよね?」
一切の恥じらいを持たずに尋ねてくるのはティナが初めてだ。真っ向からそれを聞いたキリカは恥ずかしさに目をそらす。その真っすぐな質問に即答する彼も彼だが。
「ああ、勿論。愛してる。理屈とかは俺にはわからないけどさ、お互い好きな相手と一緒に過ごしたいっていうのが愛なんじゃないか」
「一緒に、過ごす…」
「ティナもいつかわかるさ。運命の人に出逢えばな」
的を得た回答をしたバッツは片目を器用に瞑ってウインク。その笑顔を見たティナはしばらく考えるような素振りを見せ、自分の中で答えを見つけたのか小さく頷いた。
「私、少しわかったような気がする。ありがとう。たまちゃんに伝えてくるわ」
同性でも可愛らしいと思える柔らかい笑みを浮かべ、ティナは小走りで二人の前を去っていった。それを待っていたかのように腕を回していたバッツがキリカにすり寄ってくる。
先ほどの台詞をよく平然と言えたものだ。自分なら絶対に口にできない、恥ずかしいとキリカが言った。
「キリカは俺にとって運命の人。だって、お互い住む世界が違うのにこうして出逢えたんだ。それ以外に言い表せないだろ?」
「……それはそう、だけど」
「ところで。そんな俺たちが友達ってことはないよなあ?」
「聞いてたの」
今さっきティナと"愛"について話していた内に二人は友情愛なのかと質問があった。その話をうっかり聞かれていたようだ。地獄耳とはよく言ったもの。
「あーあショックだなあ……俺の一方通行かあ」
大げさな口ぶり。本気で落ち込んでいる様子はないのだが、ここで変に突っぱねると余計に面倒なことになる。一度拗ねると面倒な男なのだ。
キリカは後ろ手でバッツの頭をぽんぽんと撫でてあやす方向でいくことにした。
「よしよし。機嫌直して」
「…俺のこと好き?」
「うん」
「愛してる?」
「愛してる」
「じゃあ、キスして」
そうしたら許す、といつの間にかこちらが全面的に悪いことに。仕方なしにバッツの方を振り向くと、彼に不機嫌な様子は微塵もなく、妖しい笑みを浮かべていた。この時点で踊らされていることに気がつくも、後には引けない。彼の口許に触れるだけの口づけ。これで満足かと問うより先に唇を奪われる。
後頭部と腰に腕を回されて逃げ道を既に絶たれていた。