PAPUWA
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キミに嘘をついた 03
新しい住人が第二のパプワ島に漂着してから一週間ばかりが過ぎた。このたった一週間で霧華はパプワハウスの住人と打ち解けていた。
子ども好きで気さくな性格だからですよとリキッドが褒めるように言うと、本人は「みんなが物怖じせずに接してくれるから」と控えめに返す。パプワとロタローはすっかり懐いており、リキッドが家事をしている間もべたべたと甘えている。
リキッドとしては文字通り横槍を入れてくる事が少なくなり、大いに助かっていた。なにせ限られた時間内で食事を作り、洗濯をして掃除も終わらせなければならないのだ。その間に邪魔をされてはたまったものではないと。安心して家事ができる喜びを煮物の味見をしながら噛み締めていた。しかし、ふと思うことが一つ。家事が出来ることに対して幸せを感じるなど、すっかり主夫が板についてしまった。それはそれで物悲しい気もするが、子どもらに囲まれた彼女を見ているとそれもどこ吹く風のよう。
「それで、家政夫が言う事を聞かない時は足蹴にしていいから。思いっきり」
「それでもダメならタケウチくんにいい薬を作ってもらおう」
「ちょっと!客人に変な事吹き込まないで!っつーか、いい薬ってなんだよ?!それ確実にあちらの住人になるやつでしょ!」
「あ、それいーね。家政夫に変なコトされそうになった時は思い切り殴って、足蹴にして、薬を飲ませよう!」
「容赦ねえなおい!」
ここ数日、何十回と繰り返されるやり取り。霧華が来たばかりの時、慣れない土地で不安そうにしている彼女を何とかして笑わせようと二人が仕組んでいるのだ。家政夫弄りはその半分が冗談で、笑いのネタにしているのだと気づいたのか、よく笑うようになった。
「大丈夫よ。リキッドさん優しいから」と霧華が可笑しそうに笑う。その顔が見たかったとロタローも笑顔を浮かべ、甘えるように霧華に抱き着く。彼女に一番懐いているのはロタローだ。眠る時もリキッドを足で蹴りながら壁際へ追いやり、霧華と手を繋いですやすやと眠る。
「だって霧華さんに変なコトしそうなのリキッドしかいないじゃん」
「……俺ってそんなに信用ねえのか」
彼女以外の満場一致で肯定の頷き。がくりと項垂れたリキッドを気にも留めず、ロタローは猫のように頬ずりをして甘えていた。
「えへへ。霧華さんが僕のお姉さんだったらいいのになー」
「私にもロタローくんと同じぐらいの弟がいたのよ。……だからかな、ついつい甘やかしちゃうのかも」
「もっともーっと甘やかしてくれてもいいよ!霧華おねーちゃん」
霧華はきゅっと目を細めて、ロタローの柔らかい髪を優しく撫でた。窓から差し込んだ陽射しがその周囲を照らし、まるで絵画の雰囲気を漂わせる。優しく微笑むその様は聖母。
慈愛に満ちた眼差しがそこに佇んでいたパプワに向けられた。霧華が遠慮しなくていいよ、と声をかけ、しばらくパプワはじっとしていた。その後、ひょいと霧華の膝の上に腰掛ける。
「あー!ずるいよパプワくん」
「はっはっは。早い者勝ちだぞ」
パプワの手で小さな扇子がぱっと広げられた。満足そうに、そしてどこか嬉しそうな笑み。
完全に蚊帳の外にいる家政夫は声すらかけることも許されない状況。これはこれで悲しいと特製の肉じゃがを器に盛りつけるのであった。
新しい住人が第二のパプワ島に漂着してから一週間ばかりが過ぎた。このたった一週間で霧華はパプワハウスの住人と打ち解けていた。
子ども好きで気さくな性格だからですよとリキッドが褒めるように言うと、本人は「みんなが物怖じせずに接してくれるから」と控えめに返す。パプワとロタローはすっかり懐いており、リキッドが家事をしている間もべたべたと甘えている。
リキッドとしては文字通り横槍を入れてくる事が少なくなり、大いに助かっていた。なにせ限られた時間内で食事を作り、洗濯をして掃除も終わらせなければならないのだ。その間に邪魔をされてはたまったものではないと。安心して家事ができる喜びを煮物の味見をしながら噛み締めていた。しかし、ふと思うことが一つ。家事が出来ることに対して幸せを感じるなど、すっかり主夫が板についてしまった。それはそれで物悲しい気もするが、子どもらに囲まれた彼女を見ているとそれもどこ吹く風のよう。
「それで、家政夫が言う事を聞かない時は足蹴にしていいから。思いっきり」
「それでもダメならタケウチくんにいい薬を作ってもらおう」
「ちょっと!客人に変な事吹き込まないで!っつーか、いい薬ってなんだよ?!それ確実にあちらの住人になるやつでしょ!」
「あ、それいーね。家政夫に変なコトされそうになった時は思い切り殴って、足蹴にして、薬を飲ませよう!」
「容赦ねえなおい!」
ここ数日、何十回と繰り返されるやり取り。霧華が来たばかりの時、慣れない土地で不安そうにしている彼女を何とかして笑わせようと二人が仕組んでいるのだ。家政夫弄りはその半分が冗談で、笑いのネタにしているのだと気づいたのか、よく笑うようになった。
「大丈夫よ。リキッドさん優しいから」と霧華が可笑しそうに笑う。その顔が見たかったとロタローも笑顔を浮かべ、甘えるように霧華に抱き着く。彼女に一番懐いているのはロタローだ。眠る時もリキッドを足で蹴りながら壁際へ追いやり、霧華と手を繋いですやすやと眠る。
「だって霧華さんに変なコトしそうなのリキッドしかいないじゃん」
「……俺ってそんなに信用ねえのか」
彼女以外の満場一致で肯定の頷き。がくりと項垂れたリキッドを気にも留めず、ロタローは猫のように頬ずりをして甘えていた。
「えへへ。霧華さんが僕のお姉さんだったらいいのになー」
「私にもロタローくんと同じぐらいの弟がいたのよ。……だからかな、ついつい甘やかしちゃうのかも」
「もっともーっと甘やかしてくれてもいいよ!霧華おねーちゃん」
霧華はきゅっと目を細めて、ロタローの柔らかい髪を優しく撫でた。窓から差し込んだ陽射しがその周囲を照らし、まるで絵画の雰囲気を漂わせる。優しく微笑むその様は聖母。
慈愛に満ちた眼差しがそこに佇んでいたパプワに向けられた。霧華が遠慮しなくていいよ、と声をかけ、しばらくパプワはじっとしていた。その後、ひょいと霧華の膝の上に腰掛ける。
「あー!ずるいよパプワくん」
「はっはっは。早い者勝ちだぞ」
パプワの手で小さな扇子がぱっと広げられた。満足そうに、そしてどこか嬉しそうな笑み。
完全に蚊帳の外にいる家政夫は声すらかけることも許されない状況。これはこれで悲しいと特製の肉じゃがを器に盛りつけるのであった。