リズム怪盗R
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Show Time!
チュイルリー庭園には夏に移動遊園地がやってくる。
メリーゴーランドに観覧車、ジェットコースターに急流すべり。
前者二つは子どもたちに人気がある。
後者のアトラクションはスリルがあると評判だった。
様々なアトラクションが市民を楽しませるために夏の間だけ現れる。
風船売りやサーカスもそのうちのひとつ。
風船は小さな子どもに大人気だ。
サーカスのテントは小ぶりだが、堂々と構えた横断幕にサーカス団の名前が掲げられている。
しかし、テントの周りは人がまばらであった。
昼間の平日だから。という理由は言い訳にすぎない。
それに人々はバカンスの真っ最中。公園自体に人は集まっている。
つまるところ、サーカスに興味がないか人気がないのどちらかというわけだ。
もうすぐ開演時間だと言うのに、席は空席が目立つ。
サーカス団員のひとりである少年はうーんと腕を組んだ。
このままではお客が集まらない。
もっと客寄せをしなければ、赤字になってしまう。
紺色のスーツを身に纏い、帽子を被った少年はくるりと身軽にターンを決めた。
巷で噂の有名人に扮して客寄せをすれば人が集まるに違いない。
この作戦を早速実行しようと、通りかかった観光客らしき女性に声をかけた。
「お嬢さん、これからサーカスが始まるんだけど見ていかない?今ならこの怪盗Rのダンスも見れるよ」
声をかけられた女性は足を止めて振り向いた。
呼び止めるという最初の作戦は成功のようだ。
長い黒髪の女性は少年の姿、というよりも格好を見て不思議そうな顔をしていた。
そして柔らかい笑みを浮かべ、耳から落ちた髪をかけ直す。
その仕草に少年の胸がどきりと高鳴った。
どうやら自分は女性らしい仕草に弱い。
しかもそれが自分の好みのタイプだったら余計にだ。
「どんなダンスを見せてくれるのかしら?」
「えっ、えっと……そりゃもう、最高のショーさ!」
自分が怪盗Rに扮していることをつい忘れてしまいそうになった。
どもりながらも口調を慌ててクール風に戻し、腰に手を当ててカッコつける。
それをおかしそうに笑っていた女性は「あ」と視線を少しだけあげた。
少年もそれにつられて背後を振り返る。
そこには自分と同じ格好をした青年が立っていた。
彼はポーラーハットから顔を覗かせる。
その目はにこりと微笑んでいた。
「僕も是非そのショーを見てみたいな」
「ほ、本物の怪盗R!?」
「あれ、もう自分が偽者だって認めるのか」
少年は本物を前にうっと言葉をつまらせた。
格好は同じだが、身長がだいぶ負けている。
見下ろされているせいか威圧感に押しつぶされそうな錯覚さえあった。
しかし、それに怯まずに言い返す。
「オレが本物だ!」
「じゃあ勝負するかい。もちろん、踊りでね」
「望むところだ!」
くってかかるように反射的に言葉を返す。
そこでこれはいい案だと少年は閃いた。
怪盗R 対 偽怪盗R
客寄せに持って来いの前座だ。
そうとなれば早速ステージの準備に取り掛からなければいけない。
少年は風のようにテント裏へ走っていった。
「R、どうしたの?」
「何が?僕はどうもしてないけど」
「なんだか怒ってるみたいだから」
「そんなことない」
この場に現れたRの様子はどこか苛立っていた。
少年を睨みつけるようにしていたし、機嫌が悪そうに話していた。
自分の偽者が現れて気分を害しているのかもしれない。
「キリカ、見てて。どっちのダンスが素敵か」
否、そうではないようだ。
彼は笑っている。
右手をパチンと軽快に鳴らす。
その音を合図にRの背後に黒いスーツを着た男性が二人現れた。
彼らもまたRとそっくりの格好をしているが、紺色ではなくダークスーツを身に纏っている。
ネクタイの色も黒だ。
帽子の影に隠れて表情は伺えない。
Rが右手をすっと掲げた。
「It's show time!」
チュイルリー庭園には夏に移動遊園地がやってくる。
メリーゴーランドに観覧車、ジェットコースターに急流すべり。
前者二つは子どもたちに人気がある。
後者のアトラクションはスリルがあると評判だった。
様々なアトラクションが市民を楽しませるために夏の間だけ現れる。
風船売りやサーカスもそのうちのひとつ。
風船は小さな子どもに大人気だ。
サーカスのテントは小ぶりだが、堂々と構えた横断幕にサーカス団の名前が掲げられている。
しかし、テントの周りは人がまばらであった。
昼間の平日だから。という理由は言い訳にすぎない。
それに人々はバカンスの真っ最中。公園自体に人は集まっている。
つまるところ、サーカスに興味がないか人気がないのどちらかというわけだ。
もうすぐ開演時間だと言うのに、席は空席が目立つ。
サーカス団員のひとりである少年はうーんと腕を組んだ。
このままではお客が集まらない。
もっと客寄せをしなければ、赤字になってしまう。
紺色のスーツを身に纏い、帽子を被った少年はくるりと身軽にターンを決めた。
巷で噂の有名人に扮して客寄せをすれば人が集まるに違いない。
この作戦を早速実行しようと、通りかかった観光客らしき女性に声をかけた。
「お嬢さん、これからサーカスが始まるんだけど見ていかない?今ならこの怪盗Rのダンスも見れるよ」
声をかけられた女性は足を止めて振り向いた。
呼び止めるという最初の作戦は成功のようだ。
長い黒髪の女性は少年の姿、というよりも格好を見て不思議そうな顔をしていた。
そして柔らかい笑みを浮かべ、耳から落ちた髪をかけ直す。
その仕草に少年の胸がどきりと高鳴った。
どうやら自分は女性らしい仕草に弱い。
しかもそれが自分の好みのタイプだったら余計にだ。
「どんなダンスを見せてくれるのかしら?」
「えっ、えっと……そりゃもう、最高のショーさ!」
自分が怪盗Rに扮していることをつい忘れてしまいそうになった。
どもりながらも口調を慌ててクール風に戻し、腰に手を当ててカッコつける。
それをおかしそうに笑っていた女性は「あ」と視線を少しだけあげた。
少年もそれにつられて背後を振り返る。
そこには自分と同じ格好をした青年が立っていた。
彼はポーラーハットから顔を覗かせる。
その目はにこりと微笑んでいた。
「僕も是非そのショーを見てみたいな」
「ほ、本物の怪盗R!?」
「あれ、もう自分が偽者だって認めるのか」
少年は本物を前にうっと言葉をつまらせた。
格好は同じだが、身長がだいぶ負けている。
見下ろされているせいか威圧感に押しつぶされそうな錯覚さえあった。
しかし、それに怯まずに言い返す。
「オレが本物だ!」
「じゃあ勝負するかい。もちろん、踊りでね」
「望むところだ!」
くってかかるように反射的に言葉を返す。
そこでこれはいい案だと少年は閃いた。
怪盗R 対 偽怪盗R
客寄せに持って来いの前座だ。
そうとなれば早速ステージの準備に取り掛からなければいけない。
少年は風のようにテント裏へ走っていった。
「R、どうしたの?」
「何が?僕はどうもしてないけど」
「なんだか怒ってるみたいだから」
「そんなことない」
この場に現れたRの様子はどこか苛立っていた。
少年を睨みつけるようにしていたし、機嫌が悪そうに話していた。
自分の偽者が現れて気分を害しているのかもしれない。
「キリカ、見てて。どっちのダンスが素敵か」
否、そうではないようだ。
彼は笑っている。
右手をパチンと軽快に鳴らす。
その音を合図にRの背後に黒いスーツを着た男性が二人現れた。
彼らもまたRとそっくりの格好をしているが、紺色ではなくダークスーツを身に纏っている。
ネクタイの色も黒だ。
帽子の影に隠れて表情は伺えない。
Rが右手をすっと掲げた。
「It's show time!」