鋼の錬金術師
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好きなあの娘は鈍感です
最悪だ。
ついカッとなって、口を滑らせた。
あんなこと言うつもりはなかったんだ。
だってそうだろ、意味のないことを言ったって何も変わらない。
ああ、今頃になって冷静な判断をしてるバカがいる。
腹ペコなのに脱衣場に篭って、何やってんだよオレ。
鳴くな、腹の虫。泣きたいのはこっちだっての。
好きなやつができたって?
しかも誰が好きなのかすらわからない?
なんだよそりゃ。
初めて会った時からどこか抜けている人だとは思っていた。
マイペースというか、鈍いというか。
そうだ、鈍感が一番しっくりくる。
母さんみたいな雰囲気もあった。
歳も離れてたし、安心感のある人。
当てもないオレに隔たりなく優しくしてくれた。
包み込んでくれる心地よさっていうか。つい、それに甘えてしまう。
しばらく一緒に過ごして、意外な一面とか色んな表情を見てるうちに、好きになっていた。
でも、鈍いんだほんっとに。
それとなくアピールしても普通にかわされる。
こっちが虚しくなるぐらい。
というか、もしかして遠回しに振られたのかオレ。
それすげーショックなんだけど。
洗面台の鏡に映った顔はなんとも情けない顔をしていた。
その横に大佐の顔が思わず浮かぶ。
にやにやと嫌味たらしい笑い方。
「残念だったな鋼の。葉月くんには私の方が相応しいようだな」
まるでそう喋っているように見えた。
今すぐその面を殴ってやりたい。
誰もアンタのことが好きだとキリカが言ったわけじゃない。
というか絶対に言わせない。
オレが大佐の幻影を睨み付けると、ゆらりと消えていった。
笑いながら。
勝負から逃げ出したのか、そう咎められているような気さえした。
自分は勝負から逃げてきたわけじゃない。
じゃあ何故こんな場所にいるのか。
気持ちとか整理するためにだな。
一時休戦ってやつだ。
勝ち目がないわけじゃない。
ただ極端に勝率は低いだけだ。
年の差とか住んでる世界違うとか、あとおまけのおまけで身長とか色々壁はあるけど。
右腕を動かすと、生身の人間からは聞こえない金属の軋む音が聞こえた。
寒さで動きも鈍っていたんだろう。
オレの身体を見たキリカは何も言わなかった。
どうしたの、とか。大変だね、とか。一言も突っ込んでこなかった。
ただ、さりげなく気を遣ってくれてはいた。
この厚手の毛糸の手袋だってそうだ。
オレが寒がりだって知ったら自分の使っているやつを貸してくれたんだ。
柄もそこまで女っぽくないし、有難く使わせてもらってる。
今じゃオレ専用みたいになってるから、ちょっと悪い気もする。
結局、好きなんだよな。
鈍いところも含めて、全部。
まだ負けたワケじゃない。
誰が好きなのかわからないなら、わからせればいい。
好きなのはオレのことなんだと思わせればいいんだ。
骨が折れるほど大変だろうけどな。
最悪だ。
ついカッとなって、口を滑らせた。
あんなこと言うつもりはなかったんだ。
だってそうだろ、意味のないことを言ったって何も変わらない。
ああ、今頃になって冷静な判断をしてるバカがいる。
腹ペコなのに脱衣場に篭って、何やってんだよオレ。
鳴くな、腹の虫。泣きたいのはこっちだっての。
好きなやつができたって?
しかも誰が好きなのかすらわからない?
なんだよそりゃ。
初めて会った時からどこか抜けている人だとは思っていた。
マイペースというか、鈍いというか。
そうだ、鈍感が一番しっくりくる。
母さんみたいな雰囲気もあった。
歳も離れてたし、安心感のある人。
当てもないオレに隔たりなく優しくしてくれた。
包み込んでくれる心地よさっていうか。つい、それに甘えてしまう。
しばらく一緒に過ごして、意外な一面とか色んな表情を見てるうちに、好きになっていた。
でも、鈍いんだほんっとに。
それとなくアピールしても普通にかわされる。
こっちが虚しくなるぐらい。
というか、もしかして遠回しに振られたのかオレ。
それすげーショックなんだけど。
洗面台の鏡に映った顔はなんとも情けない顔をしていた。
その横に大佐の顔が思わず浮かぶ。
にやにやと嫌味たらしい笑い方。
「残念だったな鋼の。葉月くんには私の方が相応しいようだな」
まるでそう喋っているように見えた。
今すぐその面を殴ってやりたい。
誰もアンタのことが好きだとキリカが言ったわけじゃない。
というか絶対に言わせない。
オレが大佐の幻影を睨み付けると、ゆらりと消えていった。
笑いながら。
勝負から逃げ出したのか、そう咎められているような気さえした。
自分は勝負から逃げてきたわけじゃない。
じゃあ何故こんな場所にいるのか。
気持ちとか整理するためにだな。
一時休戦ってやつだ。
勝ち目がないわけじゃない。
ただ極端に勝率は低いだけだ。
年の差とか住んでる世界違うとか、あとおまけのおまけで身長とか色々壁はあるけど。
右腕を動かすと、生身の人間からは聞こえない金属の軋む音が聞こえた。
寒さで動きも鈍っていたんだろう。
オレの身体を見たキリカは何も言わなかった。
どうしたの、とか。大変だね、とか。一言も突っ込んでこなかった。
ただ、さりげなく気を遣ってくれてはいた。
この厚手の毛糸の手袋だってそうだ。
オレが寒がりだって知ったら自分の使っているやつを貸してくれたんだ。
柄もそこまで女っぽくないし、有難く使わせてもらってる。
今じゃオレ専用みたいになってるから、ちょっと悪い気もする。
結局、好きなんだよな。
鈍いところも含めて、全部。
まだ負けたワケじゃない。
誰が好きなのかわからないなら、わからせればいい。
好きなのはオレのことなんだと思わせればいいんだ。
骨が折れるほど大変だろうけどな。