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茜色の空と私たち
夏があっという間に過ぎ去り、日暮れの訪れが早まる。
それは段々と早足になり、十六時を回った頃にはもう辺りは茜色の空に包まれていた。
涼しくなったね。と大乱闘会場から出てきたキリカ達は夕焼け空を見上げる。
そこにはイワシ雲がずっと広がっていた。
「わあ、すごいイワシ雲」
「こいつはスゴイな。空一面に広がってるぜ」
秋の空は高く見えるという。今こうして眺めている三人の目にも確かにずっと高い場所に雲が浮かんでいるように見えた。
空を仰ぎながらキリカの家へと向かう。冷たい風に首をすぼめながら、家に着いたら暖かい珈琲を入れようと考えていた。
その時、すーっと赤トンボが近づいてきて、キリカの肩にぴたりととまった。
「キリカ。肩にトンボがとまってるぜ」
「え?」
「ほら」
ソニックが人差し指で示すと、慌てた様にトンボは浮かび上がった。
そしてその近くをすいーっと飛んでいたが、やがてソニックの鼻の頭にちょんととまった。
それをおかしそうにくすくすと笑うキリカ。
「おいおい、オレの鼻は止まり木じゃないぜ?」
「とまりやすいのかもしれないね」
二人の一歩後ろを歩いていたシャドウは「もたもたしていては日が暮れてしまう」と声をかけた。
トンボごときに談笑している場合ではない。
キリカとソニックが振り返ったが、異様な光景にしばし言葉を失ってしまう。
「どうしたんだ?」とシャドウが首を少し傾けて尋ねた。
「・・・シャドウの頭にトンボがとまってて」
「頭だけじゃないぜ。背中のトゲにたくさんとまってる」
「なっ!?」
シャドウが勢いよくその場を振り返るが、自身の背中を見ることはできなかった。
代わりに見えたのは多数のトンボが空中に浮かんでいる様。そのトンボ達はすいっと移動をして、またシャドウの背中のトゲに降りる。
それが煩わしいのかくるりとまた振り返る。一度はトンボは離れるが、また同じようにとまってしまう。くるくるとその場で回るシャドウを可笑しそうに眺めているソニック。
「He looks like a cat.シャドウ、目が回っちまうぜ?」
「一度気にするとずっと気になっちゃうものね」
「ハネー!」
「ポポー!」
秋風に乗ってやってきたハネッコとポポッコがそれぞれ彼らの額にぶつかってきた。
その姉妹はもぞもぞと動き、居心地の良い場所を見つけて頭にちょこんと座ってしまう。
「ハネッコとポポッコ、迎えに来てくれたの?」
「ハネー」
「いつの間にか日が暮れちまったな」
「だから言っただろう」
「半分はシャドウのせいだろ?トンボと楽しそうに遊んでたし」
「誰が」
ここで言い合いをしても帰るのが遅くなってしまう。
そうなる前にとキリカは二人の手を取って歩き出した。
夕日が沈んだ方角は鮮やかな橙色に染まっている。空のイワシ雲は段々とうす紫色に変化していた。
三人の影が長く、長く伸びている。影の頭に二枚の葉っぱと花びらがゆらゆらと揺れていた。
赤トンボがすい、すいーと空を横切っていった。
夏があっという間に過ぎ去り、日暮れの訪れが早まる。
それは段々と早足になり、十六時を回った頃にはもう辺りは茜色の空に包まれていた。
涼しくなったね。と大乱闘会場から出てきたキリカ達は夕焼け空を見上げる。
そこにはイワシ雲がずっと広がっていた。
「わあ、すごいイワシ雲」
「こいつはスゴイな。空一面に広がってるぜ」
秋の空は高く見えるという。今こうして眺めている三人の目にも確かにずっと高い場所に雲が浮かんでいるように見えた。
空を仰ぎながらキリカの家へと向かう。冷たい風に首をすぼめながら、家に着いたら暖かい珈琲を入れようと考えていた。
その時、すーっと赤トンボが近づいてきて、キリカの肩にぴたりととまった。
「キリカ。肩にトンボがとまってるぜ」
「え?」
「ほら」
ソニックが人差し指で示すと、慌てた様にトンボは浮かび上がった。
そしてその近くをすいーっと飛んでいたが、やがてソニックの鼻の頭にちょんととまった。
それをおかしそうにくすくすと笑うキリカ。
「おいおい、オレの鼻は止まり木じゃないぜ?」
「とまりやすいのかもしれないね」
二人の一歩後ろを歩いていたシャドウは「もたもたしていては日が暮れてしまう」と声をかけた。
トンボごときに談笑している場合ではない。
キリカとソニックが振り返ったが、異様な光景にしばし言葉を失ってしまう。
「どうしたんだ?」とシャドウが首を少し傾けて尋ねた。
「・・・シャドウの頭にトンボがとまってて」
「頭だけじゃないぜ。背中のトゲにたくさんとまってる」
「なっ!?」
シャドウが勢いよくその場を振り返るが、自身の背中を見ることはできなかった。
代わりに見えたのは多数のトンボが空中に浮かんでいる様。そのトンボ達はすいっと移動をして、またシャドウの背中のトゲに降りる。
それが煩わしいのかくるりとまた振り返る。一度はトンボは離れるが、また同じようにとまってしまう。くるくるとその場で回るシャドウを可笑しそうに眺めているソニック。
「He looks like a cat.シャドウ、目が回っちまうぜ?」
「一度気にするとずっと気になっちゃうものね」
「ハネー!」
「ポポー!」
秋風に乗ってやってきたハネッコとポポッコがそれぞれ彼らの額にぶつかってきた。
その姉妹はもぞもぞと動き、居心地の良い場所を見つけて頭にちょこんと座ってしまう。
「ハネッコとポポッコ、迎えに来てくれたの?」
「ハネー」
「いつの間にか日が暮れちまったな」
「だから言っただろう」
「半分はシャドウのせいだろ?トンボと楽しそうに遊んでたし」
「誰が」
ここで言い合いをしても帰るのが遅くなってしまう。
そうなる前にとキリカは二人の手を取って歩き出した。
夕日が沈んだ方角は鮮やかな橙色に染まっている。空のイワシ雲は段々とうす紫色に変化していた。
三人の影が長く、長く伸びている。影の頭に二枚の葉っぱと花びらがゆらゆらと揺れていた。
赤トンボがすい、すいーと空を横切っていった。