SBX

名前変換

この小説の夢小説設定
苗字
名前

この章の夢小説設定
名前

水遊び


 太陽がぎらぎらと大地を照りつけている。季節は夏。
 連日暑い日が続き、すま森に住むポケモン達はぐったりとしていた。
 お天道様が好きなハネッコとポポッコも流石にばてているようだった。

 キリカはパラソルと大きなビニールプールをたぬ吉から借りて、水を張った。
 そこへしおれそうになっているハネッコとポポッコを入れる。
 水道の蛇口に繋いだホースから水を撒き、二匹の頭上にシャワーをかけると次第に元気を取り戻した。
 小さな手足をぱたぱたと動かし、水をぱしゃぱしゃと叩いている。

「ハネー」
「ポポー」
「ぶいぶい!」

 しばらくするとブイゼルもやってきて、プールの中をすいすいと泳ぎ回っている。
 ポケモン達が楽しそうに遊ぶ様子をキリカは微笑ましく見守っていた。
 水しぶきが宝石のようにきらきらと光り輝いていた。

 ブイゼルが背中にハネッコを乗せてぐるりとプールの周りを回る。
 ポポッコは傍にある浮き輪によじ登ろうとしていた。

「よう、キリカ。みんなで水浴びしてるのか?」
「ソニック。うん、ハネッコとポポッコが暑そうにしてたから」

 キリカを尋ねてきたソニックの両耳がぺたりと垂れていた。
 暑くて参っているという表情が窺える。トゲとは言え、身体が毛に覆われているのだから人よりも倍暑いのかもしれない。
 そこで、涼んでもらう為にホースをソニックに向けた。
 ソニックはその飛沫の一粒が額に触れた瞬間、悲鳴を上げて後ずさりをした。

「Noooooo!」

 突然大きな声を出すものだから、手元が狂って冷たいシャワーがブイゼルの頭に降り注いだ。
 彼は気持ち良さそうに尻尾を揺らしている。

「どうしたの…ソニック?」
「み、水は勘弁してくれよ」
「あ、ごめんね。でも、身体冷やさないと熱中症になっちゃうよ」
「Uhmmmmm...」

 涼みたい気持ちはあるのだが、水をかけられたり浸かったりするのはゴメンだと肩をすくめる。
 外から冷やすのが駄目ならば内側から冷やすのが良い。それを思いついたキリカはホースをプールに上手く立てかけて、家の中へ入っていった。
 ハネッコは頭の葉っぱを揺らす。雫が葉の先からぽたぽたと落ちていた。
 遊びたい盛りなのか、ソニックに小さな手で水をかけようとしている。

「ハネー」
「Wow!おいおい、勘弁してくれよ…。ん、シャドウ?」

 プールの奥にシャドウがいた。彼は赤い浮き輪に足を引っ掛け、ぷかぷかと水に浮かんでいた。
 お腹の上にはポポッコがすっぽりと収まっている。

「ポポ?」
「泳げないハリネズミはただのハリネズミだな」

 自分も同じハリネズミだが、水には全く抵抗が無いとにやりと笑うシャドウ。

「ハリネズミは元々水が苦手で泳げないんだよ。お前こそ、やせ我慢してるんじゃないのか?」
「フン。僕は究極生命体だぞ、君と違って苦手なものなどない」
「ポポ」

 ポポッコが浮き輪の縁をぺちぺちと叩いている。頭の花びらをくるくると回す度に飛沫が飛び散っていた。
 ソニックの頬に冷たい物が不意に押し付けられた。キリカが家から持ってきたジュースの缶を手に笑っている。

「Wow!?」
「びっくりした?はい、オレンジジュース」
「心臓に悪いぜ、まったく」
「シャドウの分も持ってきたよ」
「すまない」

 パラソルの下には白いテーブルと青いシートが敷かれている。
 透明なガラスのコップに人数分のオレンジジュースを移し替えて、カラフルなストローを差し込んでいく。
 シートの上ではブイゼルがお行儀良く座っていた。その脇にハネッコとポポッコが居る。
 三匹にコップを渡すと美味しそうにオレンジジュースを飲み始めた。

「はい、二人の分」
「Thanks.冷えてるなー」
「有難う」

 ストローで吸い上げた冷たいオレンジジュースは喉を通り、身体を冷やしていく。
 コップの中身はぐんぐんと減っていく。
 一口目を飲み終えたソニックの耳がぴんっと立ち上がった。

「はー生き返ったぜ」
「元気になったみたいで良かった」
「おかげ様でな。でも、どうしてオレが暑さでバテてるのがわかったんだ?」
「それは」
「君はすぐに顔に出るからな。あと耳にも」
「What?」

 そう言われて己の耳を触ってみるが、特に異常は無い。
 キリカはくすくすと笑っているし、シャドウは二口目を飲み始めていた。

「ハネー」

 ハネッコがふよふよと浮かんでテーブルに着地した。
 空になったコップをキリカに渡し、ソニックの頭へ飛びつく。
 まだ濡れているハネッコの体から水がぽたぽたと滴り落ちていた。

「おいおい!濡れるし冷たいって!」
「ハネ~ハネ~」
「一緒に遊びたがっている。遊んでやればいいじゃないかソニック」

 ハネッコにじゃれつかれるソニックをキリカは笑っていたが、突然膝の上がひんやりとしたので下を向くとブイゼルが手を乗せていた。それから手をぺたぺたと触ってくる。どうやらブイゼルも一緒に遊んで欲しいと意思表示をしているようだ。

 この後、キリカも水浴びを彼らと一緒に楽しんでいた。
 彼女の水着姿に目のやり場が無いとソニックとシャドウは顔を赤らめていたという。
18/29ページ
スキ