So cute!


「Hey!」

　彼女がすま村に出掛けるのを見かけたと聞いて、オレはこっちに足を向けた。
　ピーチ姫の言ったとおりだ。ちょうど村から出てきた彼女を見つけることが出来た。

「えっ！…ソ、ソニック？」

　だけどどこか様子が可笑しい。
　普段は帽子を被っていないのに、今日は目が隠れるほど深い帽子を被っている。
　それにオレが声をかけた時も慌てているようだった。

「どうしたんだ？そんなに深く帽子被って」
「ななななんでもないよ。ほら、今日は日差しが強いから…と思って」
「Today is cloudy.天気予報でも晴れるなんて言ってなかったぜ」

　意地悪で言ったつもりはない。彼女は声を詰まらせて押し黙ってしまった。
　晴れの日でもないのに帽子を被る理由。もしかして。

「…怪我でもしたのか？」
「ううん。怪我はしてない」

　それを聞いてほっとした。
　帽子の下は包帯でぐるぐる巻きだなんてことになったら、どうしようかと思ったぜ。

「じゃあなんでだ？」
「……髪、カットリーヌさんに切ってもらったんだけど」
「But?」
「その、思ってたよりも切りすぎちゃったみたいで」

　彼女はその美容師には申し訳ないと言った。
　それでも自分にとっては相当恥ずかしいみたいだ。

「だから、恥ずかしくて帽子を被ってるの」
「そんなに恥ずかしがることなのか？」

　その辺がよくわからない。
　以前、エミーが「女の子が髪を切ったら、すぐに気がついて褒めるのが礼儀よ」とか言ってたな。
　それを実行したくても彼女は頑なに帽子を脱ごうとしない。縁を両手で押さえている。

「自分にとってはそうでも、他の人から見たらそうじゃないかもしれないぜ」
「そう、かなあ」
「それにいつまでもそのままだったら、可愛い顔が見れなくて寂しい」

　オレがそう言うと彼女は頬を赤らめた。冗談じゃなくて、これは本音。
　何度か説得をすると渋々帽子を脱いでくれた。
　前は女の子らしい髪型だったけど、今は随分と短くなっていてボーイッシュに見える。
　全然変なんかじゃない。むしろ、

「So cute!」
「わっ！？」

　オレは彼女を力いっぱい抱きしめた。だって可愛かったんだ、しょうがないだろ。
　女の子は髪型一つで変わるものなんだな。

「今の髪型も似合ってる。オレが保証する」
「ソニック、く、苦しい」
「Oh,sorry.よし、それじゃあ行くか！」

　彼女の手を引いてオレは走り出した。
　こんなに可愛いんだ、他のヤツにも見せたくなるだろ？
　まあ、誰が何と言おうと彼女はオレのだけどな。