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他愛のない会話
ファイター達が闘っている競技場では今日も歓声が沸いていた。
歓声を上げるのは観客だけではない。出場していないファイター達も好敵手の闘いぶりを観ている。
彼らの闘いをリュカと一緒にキリカも観ていた。
観客席の椅子は小さな体の彼にはまだいささか大きいようだ。地に着かない足をぶらぶらと揺らしていた。
「ねえ、キリカは誰を応援しているの?」
「私?私はみんなを応援してるよ」
首を傾げて尋ねてきたリュカにそう答えたのだが、その答えが不満だったのかリュカは口を尖らせる。
「みんなじゃなくて、誰かひとり」
「うーん。どうして?」
「キリカはいつもそうやってはぐらかすんだもの」
リュカは小さな頬を膨らませて拗ねてしまった。
自分は普段から誰かを贔屓するような事はせず、皆を平等にと行動してきた。
だがそれが気に入らない者も出てくる。例えば、隣にいる自分よりも小さな子のように。
その気持ちを汲み取ったキリカはリュカを見ながら言った。
「じゃあ、次の試合ではリュカを応援しちゃおうかな」
途端にリュカの表情がパッと明るくなった。
まるでその言葉を待ち望んでいたかのようだ。
「ほんと!」
「うん。応援してるから頑張ってね。そろそろ控え室に行かないと間に合わないよ?」
どうやら現在の試合はクライマックスに突入したようだ。
ネスコールが湧き上がっている。
ぴょんと椅子から降りたリュカは念を押すように確認をする。
「ぜったいだよ!ちゃんと見ててね。ぜったいだからね!」
「うん」
手を振るリュカに笑顔で振り返し、狭い通路を走っていく姿を見送っていた。
誰かに応援をして貰いたい気持ちが強くなる年頃。それは誰にでもあるものだ。
キリカはかつての自分もそうだったと思い返していた。
「じゃあ、次の試合はオレを応援してもらおうかな」
「ソニック」
入れ替わりにやってきたのはソニックで、彼は片手を上げて挨拶をした。
そして先程までリュカが座っていた席に腰を下ろす。
「ソニックまで子どもみたいなこと言って」
「誰だって応援してもらいたい人はいるってことさ」
「私でいいの?」
「Of course.大歓迎だぜ」
「わかった。応援するからには勝ってよね」
「OK.Then,If I won,Give me a present」
自分が勝ったら何かくれとねだるものだから、何がいいかとキリカは悩んだ。
そういえば、先日店でお菓子の材料を買ったと思い出す。
「そうね、ソニックが勝ったらクッキー焼いてあげるよ」
「そりゃあ楽しみだ!」
競技場に試合終了のアナウンスが響いた。勝ち残ったネスが笑顔で手を振っている。
やがてすぐに次の試合が始まった。
リュカ、スネーク、ピカチュウ、カービィが現れてゴングが鳴り響いた。
スネークに真っ先に向かっていったのはピカチュウ。得意の雷を乱射している。
リュカとカービィはそれに巻き込まれないように闘っていた。
「ピカチュウはスネークを狙い撃ちにするんだよね」
「他のヤツには目もくれてないな」
「スネーク嫌われちゃってるなあ」
「ありゃ相当だな」
雷が炸裂する度に眩い閃光が飛び込んでくる。
周りでリュカとカービィがいるにも関わらず、ピカチュウはスネークを狙っている。
その光景を見ているキリカは溜息を一つ漏らした。
「仲良くなってもらいたいんだけどな」
「人には相性ってもんがあるからな。あの二人の場合は最悪なんじゃないか?」
「…ソニックもそう思う?」
どうやらキリカも半ば諦めているようだった。
今までにも二人の仲を良くしようと、あれこれ策を講じてきたのだがどれも失敗していた。
「ピカチュウは私と一緒にいることが多いから、私がスネークと会おうとするとピカチュウと必ず喧嘩になっちゃって」
それを聞いたソニックはピンッと思いついた。
スネークがピカチュウに近付いたのも、キリカとの仲を発展させる為なのではないかと。
キリカに近付くにはまずピカチュウから。きっとそう考えているのだろう。
「だから私、スネークとはあまり会話したことないんだ」
「キリカはオッサンと仲良くなりたいのか?」
「だって、話さないことにはその人がどんな人かわからないじゃない」
「ま、そうだけどな」
観客席から一際大きな歓声が沸きあがった。
リュカがスネークとピカチュウの二人を一気に吹き飛ばしたのだ。
「…妬けちまうな」
リュカがこちらに向かって手を振っているのを見ながら、ぽそりとソニックは呟いた。
その独り言は歓声にかき消されて、キリカの耳には届いていなかった。
ファイター達が闘っている競技場では今日も歓声が沸いていた。
歓声を上げるのは観客だけではない。出場していないファイター達も好敵手の闘いぶりを観ている。
彼らの闘いをリュカと一緒にキリカも観ていた。
観客席の椅子は小さな体の彼にはまだいささか大きいようだ。地に着かない足をぶらぶらと揺らしていた。
「ねえ、キリカは誰を応援しているの?」
「私?私はみんなを応援してるよ」
首を傾げて尋ねてきたリュカにそう答えたのだが、その答えが不満だったのかリュカは口を尖らせる。
「みんなじゃなくて、誰かひとり」
「うーん。どうして?」
「キリカはいつもそうやってはぐらかすんだもの」
リュカは小さな頬を膨らませて拗ねてしまった。
自分は普段から誰かを贔屓するような事はせず、皆を平等にと行動してきた。
だがそれが気に入らない者も出てくる。例えば、隣にいる自分よりも小さな子のように。
その気持ちを汲み取ったキリカはリュカを見ながら言った。
「じゃあ、次の試合ではリュカを応援しちゃおうかな」
途端にリュカの表情がパッと明るくなった。
まるでその言葉を待ち望んでいたかのようだ。
「ほんと!」
「うん。応援してるから頑張ってね。そろそろ控え室に行かないと間に合わないよ?」
どうやら現在の試合はクライマックスに突入したようだ。
ネスコールが湧き上がっている。
ぴょんと椅子から降りたリュカは念を押すように確認をする。
「ぜったいだよ!ちゃんと見ててね。ぜったいだからね!」
「うん」
手を振るリュカに笑顔で振り返し、狭い通路を走っていく姿を見送っていた。
誰かに応援をして貰いたい気持ちが強くなる年頃。それは誰にでもあるものだ。
キリカはかつての自分もそうだったと思い返していた。
「じゃあ、次の試合はオレを応援してもらおうかな」
「ソニック」
入れ替わりにやってきたのはソニックで、彼は片手を上げて挨拶をした。
そして先程までリュカが座っていた席に腰を下ろす。
「ソニックまで子どもみたいなこと言って」
「誰だって応援してもらいたい人はいるってことさ」
「私でいいの?」
「Of course.大歓迎だぜ」
「わかった。応援するからには勝ってよね」
「OK.Then,If I won,Give me a present」
自分が勝ったら何かくれとねだるものだから、何がいいかとキリカは悩んだ。
そういえば、先日店でお菓子の材料を買ったと思い出す。
「そうね、ソニックが勝ったらクッキー焼いてあげるよ」
「そりゃあ楽しみだ!」
競技場に試合終了のアナウンスが響いた。勝ち残ったネスが笑顔で手を振っている。
やがてすぐに次の試合が始まった。
リュカ、スネーク、ピカチュウ、カービィが現れてゴングが鳴り響いた。
スネークに真っ先に向かっていったのはピカチュウ。得意の雷を乱射している。
リュカとカービィはそれに巻き込まれないように闘っていた。
「ピカチュウはスネークを狙い撃ちにするんだよね」
「他のヤツには目もくれてないな」
「スネーク嫌われちゃってるなあ」
「ありゃ相当だな」
雷が炸裂する度に眩い閃光が飛び込んでくる。
周りでリュカとカービィがいるにも関わらず、ピカチュウはスネークを狙っている。
その光景を見ているキリカは溜息を一つ漏らした。
「仲良くなってもらいたいんだけどな」
「人には相性ってもんがあるからな。あの二人の場合は最悪なんじゃないか?」
「…ソニックもそう思う?」
どうやらキリカも半ば諦めているようだった。
今までにも二人の仲を良くしようと、あれこれ策を講じてきたのだがどれも失敗していた。
「ピカチュウは私と一緒にいることが多いから、私がスネークと会おうとするとピカチュウと必ず喧嘩になっちゃって」
それを聞いたソニックはピンッと思いついた。
スネークがピカチュウに近付いたのも、キリカとの仲を発展させる為なのではないかと。
キリカに近付くにはまずピカチュウから。きっとそう考えているのだろう。
「だから私、スネークとはあまり会話したことないんだ」
「キリカはオッサンと仲良くなりたいのか?」
「だって、話さないことにはその人がどんな人かわからないじゃない」
「ま、そうだけどな」
観客席から一際大きな歓声が沸きあがった。
リュカがスネークとピカチュウの二人を一気に吹き飛ばしたのだ。
「…妬けちまうな」
リュカがこちらに向かって手を振っているのを見ながら、ぽそりとソニックは呟いた。
その独り言は歓声にかき消されて、キリカの耳には届いていなかった。