鋼の錬金術師
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好きな人
「エドって好きな娘っているの?」
ふと思い付いた質問を投げ掛けた。
どうやらそのタイミングが悪かったらしく、彼は飲み込みかけた珈琲が食道ではなく気道に入りかけたようだ。
げほげほとむせた咳を繰り返す。
私は自分のマグカップを片手に持ったままエドの背中をさすった。
「大丈夫?ごめんね、変な時に話しかけて」
「あー……い、や。大丈、夫だ」
何度か大きな咳払いをした後、エドが珈琲を飲み直した。
私たちはソファにもたれかけて、二人並んでテレビを見ていた。
クイズ番組で「答えはこのあとすぐ!」という字幕が流れた後に洗剤のCMに切り替わった。
その時、私の頭も不意にスイッチが切り替わったようにさっきの質問が浮かんだのだ。
正しくは今思い付いた訳じゃない。前々から気になっていたのを今たまたま思い出した。
珈琲が温くなってきた。
手抜きでミルクを温めなかったし、少し入れすぎたかな。
ふと、視線を感じて横を向く。
じと目で私を見ているエドがいた。
「なんでそんなこと聞くんだよ」
「ん、ちょっと気になったから。いるの?」
「いっ、……い、る……いやっいな、い」
今度は目を白黒させて落ち着きがなくなる。
珍しくどもって、何を言っているかよく聞こえない。
しばらくモゴモゴしていた後に急に怒鳴られてしまった。
「ど、どっちだっていいだろ!」
ああ、年頃の男の子にしてはいけない質問だったか。
そういえば昔、幼馴染にも同じような質問をした覚えがある。
しかも両方の家族揃った夕飯の最中。一瞬、気まずい雰囲気になったのは言うまでもない。
おまけに幼馴染にはスルーされた。
空気を読めないのは昔も今も変わらないようだ。
エドには今の質問なかったことにしてもらおうか。
そんなことをぼんやりテレビを見ながら考えていた。
「……そーゆうキリカはどうなんだよ」
そのまま兄のようにスルーしてくれると思っていた。
けれど、エドは質問を拾った上に広げた。
「その、好きな男とか……いないのか?」
「うーん」
成る程。質問された側は返答に困る。
私が恋らしい恋をしたのはいつだったか。
もう何年も前な気がする。大学生の頃じゃなかったかな。
それ以来、今現在は彼氏もいないし恋もしていない。
「じゃあ、好きなタイプは?」
私が曖昧な言葉というか音しか発しなかったせいか、さらに話題を広げられてしまった。
好きなタイプなんて最近気にしたこともなかった。
「昔は年上が好きだったけど。同い年はあまり、って感じかしらね」
「年下は?」
「いいんじゃないかな。でも、しっかりしてる人がいいな。一緒にいて、安心できるなら年なんて関係ないと思うけど」
「……なんか、他人事みたいな言い方だな」
「そう?しばらく恋なんてご無沙汰なせいかも」
「そっか。……うん、よし」
「どうしたの?」
エドが納得するように一人で頷いていた。
私のあんな回答で満足したのだろうか。
次には少し機嫌良さそうな声色と表情を見せる。
「べっつにー」
「エドは好きな娘いるの?いないの?」
「教えない」
「いるんだ」
「さーてね。なあ、テレビ切り替えていいか」
「うん」
結局この話は一方的に流されてしまった。
エドは同年代の娘に持てそうだな。
そんな勝手な予想を立てて、すっかり冷めきった珈琲を飲み干した。
「エドって好きな娘っているの?」
ふと思い付いた質問を投げ掛けた。
どうやらそのタイミングが悪かったらしく、彼は飲み込みかけた珈琲が食道ではなく気道に入りかけたようだ。
げほげほとむせた咳を繰り返す。
私は自分のマグカップを片手に持ったままエドの背中をさすった。
「大丈夫?ごめんね、変な時に話しかけて」
「あー……い、や。大丈、夫だ」
何度か大きな咳払いをした後、エドが珈琲を飲み直した。
私たちはソファにもたれかけて、二人並んでテレビを見ていた。
クイズ番組で「答えはこのあとすぐ!」という字幕が流れた後に洗剤のCMに切り替わった。
その時、私の頭も不意にスイッチが切り替わったようにさっきの質問が浮かんだのだ。
正しくは今思い付いた訳じゃない。前々から気になっていたのを今たまたま思い出した。
珈琲が温くなってきた。
手抜きでミルクを温めなかったし、少し入れすぎたかな。
ふと、視線を感じて横を向く。
じと目で私を見ているエドがいた。
「なんでそんなこと聞くんだよ」
「ん、ちょっと気になったから。いるの?」
「いっ、……い、る……いやっいな、い」
今度は目を白黒させて落ち着きがなくなる。
珍しくどもって、何を言っているかよく聞こえない。
しばらくモゴモゴしていた後に急に怒鳴られてしまった。
「ど、どっちだっていいだろ!」
ああ、年頃の男の子にしてはいけない質問だったか。
そういえば昔、幼馴染にも同じような質問をした覚えがある。
しかも両方の家族揃った夕飯の最中。一瞬、気まずい雰囲気になったのは言うまでもない。
おまけに幼馴染にはスルーされた。
空気を読めないのは昔も今も変わらないようだ。
エドには今の質問なかったことにしてもらおうか。
そんなことをぼんやりテレビを見ながら考えていた。
「……そーゆうキリカはどうなんだよ」
そのまま兄のようにスルーしてくれると思っていた。
けれど、エドは質問を拾った上に広げた。
「その、好きな男とか……いないのか?」
「うーん」
成る程。質問された側は返答に困る。
私が恋らしい恋をしたのはいつだったか。
もう何年も前な気がする。大学生の頃じゃなかったかな。
それ以来、今現在は彼氏もいないし恋もしていない。
「じゃあ、好きなタイプは?」
私が曖昧な言葉というか音しか発しなかったせいか、さらに話題を広げられてしまった。
好きなタイプなんて最近気にしたこともなかった。
「昔は年上が好きだったけど。同い年はあまり、って感じかしらね」
「年下は?」
「いいんじゃないかな。でも、しっかりしてる人がいいな。一緒にいて、安心できるなら年なんて関係ないと思うけど」
「……なんか、他人事みたいな言い方だな」
「そう?しばらく恋なんてご無沙汰なせいかも」
「そっか。……うん、よし」
「どうしたの?」
エドが納得するように一人で頷いていた。
私のあんな回答で満足したのだろうか。
次には少し機嫌良さそうな声色と表情を見せる。
「べっつにー」
「エドは好きな娘いるの?いないの?」
「教えない」
「いるんだ」
「さーてね。なあ、テレビ切り替えていいか」
「うん」
結局この話は一方的に流されてしまった。
エドは同年代の娘に持てそうだな。
そんな勝手な予想を立てて、すっかり冷めきった珈琲を飲み干した。