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零
「この間、偶然目に留まったんだけどさ。小さい子どもが親より先に死んだ場合、彼の世の河原で石積みをした後に此の世にまた生を受けるって。……ちょっとそんな顔しないでよ姉さん。…ただ、もしそうだとしたら…あの子とは行き違いになるんだろうなって。…いや、だから泣かないでって。今の医療進歩してるんだから、すぐ退院できるわよ。何となくそう思っただけ……うん。分かってる。そうだ、次は環も連れてきてよ。私が入院生活で一番辛いのは可愛い甥っ子に会えないこと、それだけよ」
◆◇◆
「環ー。また少し大きくなったねぇ。好き嫌い無いのはエライ!エライぞー。…来年から幼稚園だもんね。お友達いっぱいできるといいねぇ」
「……うん」
「入園式のお洋服、カッコイイのお母さんに選んでもらいなよ?……そっか。もう幼稚園か。どんどん大きくなっていくんだね。…環は大人になったら、何になりたい?」
「…ひーろー」
「ヒーロー?いいね、かっこいい!環ならヒーローになれるよ、うん。…コスチュームのデザイン、私がしたかったなぁ…あ、でもその頃は反抗期迎えてるか。…お母さんとお父さんの言うこと、うざったいと思うだろうけど、ちゃんと聞くんだよ。って言っても、今は分かんないか。っ……あ、大丈夫よ。ただの風邪だから。ね、環。大人になってヒーローになった時、いつか……いつか私の娘に会ったら、もしも、困っていたら助けてあげてね」
「ひーろーは、こまってるひとのところに、かけつけるよ」
「ん…頼んだよ、未来のヒーロー!」
彼の世で修行を終えた幼子の魂は弥勒地蔵菩薩に現世へと導かれ、また誰かの子として転生を果たす。私の娘も今頃どこかで、そんな風に考えるようになったのはいつからだったか。
あの子がこの世にいることを知る術は当然無く、可愛い甥がヒーローとして活躍するのも目にすることも出来ず、私の短い生涯は幕を下ろした。
「この間、偶然目に留まったんだけどさ。小さい子どもが親より先に死んだ場合、彼の世の河原で石積みをした後に此の世にまた生を受けるって。……ちょっとそんな顔しないでよ姉さん。…ただ、もしそうだとしたら…あの子とは行き違いになるんだろうなって。…いや、だから泣かないでって。今の医療進歩してるんだから、すぐ退院できるわよ。何となくそう思っただけ……うん。分かってる。そうだ、次は環も連れてきてよ。私が入院生活で一番辛いのは可愛い甥っ子に会えないこと、それだけよ」
◆◇◆
「環ー。また少し大きくなったねぇ。好き嫌い無いのはエライ!エライぞー。…来年から幼稚園だもんね。お友達いっぱいできるといいねぇ」
「……うん」
「入園式のお洋服、カッコイイのお母さんに選んでもらいなよ?……そっか。もう幼稚園か。どんどん大きくなっていくんだね。…環は大人になったら、何になりたい?」
「…ひーろー」
「ヒーロー?いいね、かっこいい!環ならヒーローになれるよ、うん。…コスチュームのデザイン、私がしたかったなぁ…あ、でもその頃は反抗期迎えてるか。…お母さんとお父さんの言うこと、うざったいと思うだろうけど、ちゃんと聞くんだよ。って言っても、今は分かんないか。っ……あ、大丈夫よ。ただの風邪だから。ね、環。大人になってヒーローになった時、いつか……いつか私の娘に会ったら、もしも、困っていたら助けてあげてね」
「ひーろーは、こまってるひとのところに、かけつけるよ」
「ん…頼んだよ、未来のヒーロー!」
彼の世で修行を終えた幼子の魂は弥勒地蔵菩薩に現世へと導かれ、また誰かの子として転生を果たす。私の娘も今頃どこかで、そんな風に考えるようになったのはいつからだったか。
あの子がこの世にいることを知る術は当然無く、可愛い甥がヒーローとして活躍するのも目にすることも出来ず、私の短い生涯は幕を下ろした。