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15.見えない真実
暗闇の中で鈴の音が聞こえた。
夜の闇とは違う、どこか落ち着く様な、心地よさすら感じる暗さ。
鈴の音は小さく鳴っていて、りん、ちりんと可愛らしい音が私の頭に響く。
足元の感覚が無い。目を開けているのか、閉じているのかも分からなくなる。でも、不思議と不安や恐怖に煽られることは無かった。
鈴の音と温かい物に触れている様な感覚が心地良い。
鈴の音だけが響いていた空間に人の話し声が聞こえてきた。
――気が早いんじゃないのか。
――いいのよ。私の力作、早く着せてあげたいわ。それにこういうのは早めに用意しておかないと。生まれてきたら目が回るほど忙しくなるんだから。私だけじゃなく、貴方もね。
優しい声だった。
母親の声にも思えたけど、どこか違う。なぜか懐かしさに胸が満たされる。ずっと昔に聞いたことのある、声。
ちりん、りん
――どんな個性を持つだろうね。
――どんな個性でもいいわ。あっても、なくてもね。
――ああ、そうだね。…君の様に穏やかで聡明な子に。
――あなたのように勇敢で正義感が強く、前を向いて生きていける子に。
ちりん
――名前、もう決めたの。姉さんと貴方が最初にいいなって言ってた名前にしたわ。
夫妻の会話はフェードアウトするように消えていった。
浮上した意識。私の目に映るのは薄暗闇に縁取られた部屋。
あれらが夢だと気づいた時、不意に懐かしさが込み上げてきて、どうしようもない思いに駆られて、涙が溢れだした。
暗闇の中で鈴の音が聞こえた。
夜の闇とは違う、どこか落ち着く様な、心地よさすら感じる暗さ。
鈴の音は小さく鳴っていて、りん、ちりんと可愛らしい音が私の頭に響く。
足元の感覚が無い。目を開けているのか、閉じているのかも分からなくなる。でも、不思議と不安や恐怖に煽られることは無かった。
鈴の音と温かい物に触れている様な感覚が心地良い。
鈴の音だけが響いていた空間に人の話し声が聞こえてきた。
――気が早いんじゃないのか。
――いいのよ。私の力作、早く着せてあげたいわ。それにこういうのは早めに用意しておかないと。生まれてきたら目が回るほど忙しくなるんだから。私だけじゃなく、貴方もね。
優しい声だった。
母親の声にも思えたけど、どこか違う。なぜか懐かしさに胸が満たされる。ずっと昔に聞いたことのある、声。
ちりん、りん
――どんな個性を持つだろうね。
――どんな個性でもいいわ。あっても、なくてもね。
――ああ、そうだね。…君の様に穏やかで聡明な子に。
――あなたのように勇敢で正義感が強く、前を向いて生きていける子に。
ちりん
――名前、もう決めたの。姉さんと貴方が最初にいいなって言ってた名前にしたわ。
夫妻の会話はフェードアウトするように消えていった。
浮上した意識。私の目に映るのは薄暗闇に縁取られた部屋。
あれらが夢だと気づいた時、不意に懐かしさが込み上げてきて、どうしようもない思いに駆られて、涙が溢れだした。