軽率なコラボシリーズ
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平和なのは良いことです
「いやー平和だなぁ」
尾浜が茶を飲んでほっと一息をつきながら、我々の顔を見た。
何が平和なのか。思い返せば忍術学園に危害を及ぼす敵対勢力の動きはなさそうだ。むしろ最近は兵助の暴走が原因で学園内が騒がしくなる。
それとも、勤め先の城のことを指しているのか。
「どちらにせよ。良いことだ」
「え?」
「学園内も落ち着いている。兵助と不二子さんも上手くやっているようだし」
「あ、いや。そういう意味じゃないんですけどね。まあ、そこが平和なのは勿論良いことですけど」
情勢ではないと尾浜が頬杖をつきながら笑う。じゃあ、何の平和だというのか。
「お二人ですよ。池田先輩と三郎次」
「僕たちは久々知先輩方のように無意味な争いや揉め事起こして周りを困らせてはいませんからね」
「お、三郎次の一言多いやつ久々に聞いたなあ。そして何気に失礼だぞー」
そうは言うが、尾浜は可笑しそうに笑っている。
「久々知夫妻のいざこざにお前も巻き込まれているんだったか」
「まあ、それなりに。この間も二人の相思相愛っぷりを見せつけられちゃって。本当にお熱いこって」
どうやら兵助は同級生の前でもお構いなしにいちゃついている様子。尾浜の口ぶりからはそう窺えた。まあ、もはや今に始まったことではない。いつものことである。
「この間も愛してるげえむとかいうやつやってる時に、本気でお互い愛を伝え合ってたんですよ。目の前に俺がいるにも関わらず。一体何を見せられていたんだか」
「……まあ、想像は容易い」
「最初は面白半分で首を突っ込んでたんですけど、なんか最後にはあの二人が良い感じになってるのを見せつけられるんですよね」
首を突っ込みたがりなのはお前たちの学年ならではなのだろうか。三郎も自ら火中に飛び込んでいく物好きだ。そして大怪我を負ってくる。
「だから、お二人を見てて平和だなぁって」
ああ、そういう意味か。
私たちは人前ではそんなことをそうそうしない。それが普通であり、平和だと捉えているのだろうな。いや、それが普通だろ。
「お二人はやらないんですか。愛してるげえむ」
「そもそもそれ、何なんです? げえむ」
「遊びって意味だそうだ。お互いに面と向かい合って「愛してる」と交代で言い合う。言われた方が照れたら負けみたいなものらしい」
なんだそれ。とでも言いたそうに三郎次の顔が苦々しく歪んだ。
「つまり、糠喜びさせた方が勝ちと」
「言い方。いやいや、好いた者同士でやるとかなんとか?」
「あやふやですね」
「……兵助たちの愛に当てられたせいで、ちゃんと覚えてないというか」
まるで毒気に当てられたかのような言い方。まあ、気持ちはわかる。
尾浜は私の言わんとしたことを汲み取ったのか「独り身にはきつい現場でしたよ」と、若干遠い目をしていた。
裏山の向こう辺りを見ていた尾浜の意識がパッとこちらへ戻り、人の良い笑みをそこに宿す。
「それで、お二人はやらないんですか」
「無茶振りか。……いや、勝敗は既に見えているし」
気のない相手に伝える言葉とは違う。一切の感情を捨てて言うものでもなし。
例え感情を殺して伴侶に向けて放ったとしても、僅かばかり滲み出る愛情。
言葉を口にするより先に私の方が白旗を上げてしまう。結果は目に見えているんだよ、尾浜。
「私は負け戦に首を突っ込む様な物好きじゃない」
「俺も同感です」
「あれ? 意外ですね。先輩ならやって退けそうなのに。それに三郎次だって」
「……言われたらその時点で耐え切れずに沈みそうなんで」
そのげえむとやらをまだ実行していないにも関わらず、三郎次は赤らめた顔を私たちから逸らしていた。
「……お二人と兵助たちはなんというか、対極的ですね? まあでも、ご馳走様です。此処へ来るとお腹いっぱいになるなぁー」
棒読みの台詞とにこにこ顔。馬鹿にされたのかと我慢ならずに三郎次が「尾浜先輩っ!」と叫んだ。
「いやー平和だなぁ」
尾浜が茶を飲んでほっと一息をつきながら、我々の顔を見た。
何が平和なのか。思い返せば忍術学園に危害を及ぼす敵対勢力の動きはなさそうだ。むしろ最近は兵助の暴走が原因で学園内が騒がしくなる。
それとも、勤め先の城のことを指しているのか。
「どちらにせよ。良いことだ」
「え?」
「学園内も落ち着いている。兵助と不二子さんも上手くやっているようだし」
「あ、いや。そういう意味じゃないんですけどね。まあ、そこが平和なのは勿論良いことですけど」
情勢ではないと尾浜が頬杖をつきながら笑う。じゃあ、何の平和だというのか。
「お二人ですよ。池田先輩と三郎次」
「僕たちは久々知先輩方のように無意味な争いや揉め事起こして周りを困らせてはいませんからね」
「お、三郎次の一言多いやつ久々に聞いたなあ。そして何気に失礼だぞー」
そうは言うが、尾浜は可笑しそうに笑っている。
「久々知夫妻のいざこざにお前も巻き込まれているんだったか」
「まあ、それなりに。この間も二人の相思相愛っぷりを見せつけられちゃって。本当にお熱いこって」
どうやら兵助は同級生の前でもお構いなしにいちゃついている様子。尾浜の口ぶりからはそう窺えた。まあ、もはや今に始まったことではない。いつものことである。
「この間も愛してるげえむとかいうやつやってる時に、本気でお互い愛を伝え合ってたんですよ。目の前に俺がいるにも関わらず。一体何を見せられていたんだか」
「……まあ、想像は容易い」
「最初は面白半分で首を突っ込んでたんですけど、なんか最後にはあの二人が良い感じになってるのを見せつけられるんですよね」
首を突っ込みたがりなのはお前たちの学年ならではなのだろうか。三郎も自ら火中に飛び込んでいく物好きだ。そして大怪我を負ってくる。
「だから、お二人を見てて平和だなぁって」
ああ、そういう意味か。
私たちは人前ではそんなことをそうそうしない。それが普通であり、平和だと捉えているのだろうな。いや、それが普通だろ。
「お二人はやらないんですか。愛してるげえむ」
「そもそもそれ、何なんです? げえむ」
「遊びって意味だそうだ。お互いに面と向かい合って「愛してる」と交代で言い合う。言われた方が照れたら負けみたいなものらしい」
なんだそれ。とでも言いたそうに三郎次の顔が苦々しく歪んだ。
「つまり、糠喜びさせた方が勝ちと」
「言い方。いやいや、好いた者同士でやるとかなんとか?」
「あやふやですね」
「……兵助たちの愛に当てられたせいで、ちゃんと覚えてないというか」
まるで毒気に当てられたかのような言い方。まあ、気持ちはわかる。
尾浜は私の言わんとしたことを汲み取ったのか「独り身にはきつい現場でしたよ」と、若干遠い目をしていた。
裏山の向こう辺りを見ていた尾浜の意識がパッとこちらへ戻り、人の良い笑みをそこに宿す。
「それで、お二人はやらないんですか」
「無茶振りか。……いや、勝敗は既に見えているし」
気のない相手に伝える言葉とは違う。一切の感情を捨てて言うものでもなし。
例え感情を殺して伴侶に向けて放ったとしても、僅かばかり滲み出る愛情。
言葉を口にするより先に私の方が白旗を上げてしまう。結果は目に見えているんだよ、尾浜。
「私は負け戦に首を突っ込む様な物好きじゃない」
「俺も同感です」
「あれ? 意外ですね。先輩ならやって退けそうなのに。それに三郎次だって」
「……言われたらその時点で耐え切れずに沈みそうなんで」
そのげえむとやらをまだ実行していないにも関わらず、三郎次は赤らめた顔を私たちから逸らしていた。
「……お二人と兵助たちはなんというか、対極的ですね? まあでも、ご馳走様です。此処へ来るとお腹いっぱいになるなぁー」
棒読みの台詞とにこにこ顔。馬鹿にされたのかと我慢ならずに三郎次が「尾浜先輩っ!」と叫んだ。