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所変わればボルカノ変わる
それは思いがけない再会だった。
私とボルカノさんはモウゼスからバンガードへ向かい、その道中でフィリアさんたちと出会った。
二人もバンガードに向かう途中だったらしく。私が「それなら四人で一緒に」と提案すると、快く頷いてくれたのはフィリアさんのみ。
ボルカノズはあからさまにイヤそうな顔、からの渋々といった感じで行動を共にすることになった。本当に相変わらずだ。
まあ、ここまでは想定の範囲内だよね。
うちカノさんとよそカノさんがバンガード周辺で出会う確率も、一定の距離を取りながら歩くのも。
私が思いがけない再会だと言ったのはこの二人のことじゃない。
もう一人の朱鳥術士のことを指す。
そう。今私たちの目の前でクラヴィスリーダーと談笑するもう一人のボルカノさんのことだ。
バンガードに立ち寄った際はクラヴィス本部に顔を出すのが恒例になっていたので、寄ってみたらこの光景。
彼はダリアスさんと同等の笑みを、柔和で人当たりの良い表情でいた。
それを目の当たりにした私とフィリアさんはまさに絶句という言葉が相応しいぐらいに呆然とした。
「なんだその顔は」
「……あまりにも人の良い顔と話し方をするボルカノさんを見たので。本当に同一人物なのかと疑いたくなるほどです」
フィリアさんに同意しかない。
私がうんうんと頷けば、ボルカノさんが眉を顰めた。いや、だってあんなきらきらオーラみたいなの出したボルカノさんは今までに見たことがないもの。
隣に並ぶボルカノさんの顔をじっと眺めていたら、その額に寄せる皺が更に増えてしまった。
談笑が一段落着いたのか、はたまた私たちの声に気がついたのか。
ダリアスさんとボルカノさんがこちらに振り向いた。
その振り向いた顔すら穏やかで、優しい表情。元から端正な顔立ちをしているから、どんな表情も様にはなる。
これ、通りすがりの異性を魅了する付加効果があるのでは。現にクラヴィスを訪れる女性市民がザワついている。
「あの人も異界の戦士かしら」
「カッコいいわね。素敵だわ」
そんな会話が聞こえてきそうだった。
「よお。ボルカノ勢揃いだな」
「こんにちはーダリアスさん。凄い光景ですよね。なんていうか、見た目からしてもう暑い」
「失礼だな」
私にツッコミを入れたのはよそカノさんの方。
だって、真紅の一張羅を纏った人が三人も目の前に居たらそりゃ暑苦しい。
うちカノさんは何も言わず、黙ったまま第三のボルカノさんを一瞥した。
私とフィリアさんは前にもこのボルカノさんと会ったことがある。
その時も「私たちが普段接するボルカノさんとはどこか一味も二味も違う」と話したばかりだ。
いつか「二人に逢わせてあげたいですね」と言ってたんだけど、まさかこんな形で邂逅することになるなんて。
「第三のボルカノさんはどうしてこちらに?」
「#霧華#さん。呼び方」
「いや、だって紛らわしくないですか。私たちだってうちカノさん、よそカノさんで呼んでるのに。さらに三人目の朱鳥術士ですよ」
「まあ、確かにそうですね」
フィリアさんがボルカノさんたちの顔を順に見た。
そこには仏頂面二つと好青年らしい顔が一つ並んでいる。
「受けた依頼を終わらせたので町の散策がてらに。この地に構えるリーダーと交流を深めておくのも良いと思ってな」
「まずその発想がないんですよ。うちカノさんには」
「おい。誰が引き篭りだ」
「引き篭りだなんてそこまで言ってませんよ。人の可能性は無限大だなぁと思ってただけです。ね、フィリアさん」
「はい」
ボルカノさんの眉間に皺が寄る。腕を組み「解せぬ」と言いたそうな顔。
所変われば品変わるじゃないけど、世界が違うとボルカノさんも変わる。
それはそれとして、美男子が四人も同じ場に集うとオーラみたいなのが出ているようで、さっきよりも眩しい。ダリアスさんも顔が良いからね。
「このボルカノとは話がしやすくて助かるよ」
そこでダリアスさんが良い笑顔を浮かべながら言った。悪意はそこになさそうだけど。
決して煽るつもりはないんだろう。疲れた顔をしているし、薄っすら目元に隈もある。
「ダリアスさん。それは御本人の前で言うことではないです。心のうちに留めておくべきでは?」
「フィリアさんもその言い方」
「……ああ、悪い。最近寝つきが悪くてな。よく眠れてないんだ」
そう言って目頭辺りを揉み解し、薄い唇から溜息を漏らす。
バンガード周辺の警備、昏睡事件や扉の調査。仕事はかなり目まぐるしいと聞いている。
ダリアスさんは恐らくトムと同じぐらいの年齢で若いのに調査機関を自ら立ち上げたんだもの。色々と苦労は耐えないんだろうな。
「キャンディに頼んで体当たりでもしてもらったらどうだ。そうすればぐっすり眠れる」
「それは気絶と言う。お疲れなら休むことも視野に入れてくださいね。リーダーが倒れたらみんな心配しちゃいますし」
「心遣い感謝するよ。さっきも同じ事を言われたしな。今日はこの辺で切り上げて部屋でのんびり……いや、あの場所で休むとするか」
「あの場所?」
私がそう聞き返すと、ダリアスさんがふわっと微笑んだ。
この人も優しい笑い方をする。そもそも根っから優しいからかもしれない。
「お気に入りの場所だよ」
「ゆっくり休んでくださいね」
「ああ。そうさせてもらう」
長い両腕がぐっと天井に伸ばされ、左右に倒した首からぽきぽきと音が聞こえてきた。
「それじゃあ」と去っていくダリアスさんの背を見送る。
残されたのは三人のボルカノと私たち。ちょっと気まずい空気が流れ始めていた。
「本当はサプライズで会わせたかったんですよ。こちら、第三のボルカノさんです! って感じに」
「会ったところで何が変わるというんだ」
「……まあ、ほら。アビスに行った時の話を聴くとか。お二人の見聞が更に広がるんじゃないかなぁと思って」
私がぽそりと控えめに言えば、二人の目の色が変わった。
やっぱり興味はあるみたい。この手の話題に釣られやすいのはどちらも変わらずだ。
弧を描く口元。赤橙に近い目も僅かに細められた。
「オレはお前達と逢う事を楽しみにしていた。折角の機会だ、ゆっくり話を……とも考えたが、どうやらそうもいかないようだな」
その視線が館の出入り口にすっと向けられる。
刹那、受付フロアに若い男性市民が一人駆け込んできた。全速力で走ってきたのか「大変だ!」と息絶え絶えに叫ぶ。
「どうした。火急の用か」
「町の東側に、魔獣の群れが……! どこから来たのか、わからないけど、こっちに向かってくるって……!」
「……魔獣の群れ。近くに扉が出現したんでしょうか」
翡翠の目が静かに研がれた。
愛刀の曲刀にそっと手を置いたフィリアさんはよそカノさんの顔を窺うように見る。
「その可能性はある」
「あんた達、冒険者……いや、異界の戦士か? 何とかしてくれ!」
一瞬、その人の顔が戸惑いに満ちた。
それはそう。同じ顔が揃いも揃っているんだもの。
「わかった。オレたちがなんとかしよう」
「率先的に人助けをするボルカノさん。しかも嫌な顔一つもせずに」
「魔獣退治であれば容易いものだ」
「おい。今、オレたちと言わなかったか。勝手に安請け合いをし、巻き込むな」
最初に反発したのはよそカノさんだった。鋭い目で第三のボルカノさんを睨みつけている。
うちカノさんはというと、様子を見ているのか黙って傍観している。表情は少し険しい。
ふっ、と第三のボルカノさんが笑みを零した。
挑発的なその笑い方に二人の眉がぴくりと僅かに跳ねる。
「火力はオレ一人でも充分だが、三人揃えば一分足らずで片が付くと思ったんだがな。……どうやら朱鳥の力はオレの方が上のようだ」
「なんだと?」
「オレは同行しよう」
「ボルカノさん」
静観していたうちカノさんが口を開いた。
「そいつらがバンガード市内に入り込んでからでは対処が面倒になりかねん。街道で叩くのが最善策だ」
「ああ、オレも同感だ。バンガード市民を危険に晒すわけにもいくまい。お前はどうする?」
「……オレが役立たずとでも。寝言は寝て言え」
即ち、それは加勢するという意思表示。
ほんと、ボルカノさんたちは素直じゃないんだから。
私が気づかれないよう忍び笑いをしていると、隣にいたボルカノさんに「笑うな」と叱られてしまった。
「私も加勢します。第三のボルカノさんが戦っている所を拝見したいので」
「あっ、それは私も見たい!」
「君は安全な場所にいろ」
「ええー」
「案ずるな。直ぐに戻ってくる」
不服の意を伝えれば「そうむくれるな」とうちカノさんに宥められてしまった。
ボルカノさんがこの間新しい術を完成させたと嬉しそうに話してたから、それが見られるかもと期待してたのに。
「#霧華#さんはここで待っていてください。私からもお願いです」
「……フィリアさんに言われちゃそうするしかないかぁ。気をつけて行ってきてくださいね」
「はい」
やんわりと浮かべられた微笑み。それを見た私はこそばゆくなった。
前の時みたいな関係が少しずつ築けているようで。嬉しかった。
「ボルカノトリオも気をつけて行ってきてくださいね!」
私は彼らの背にそう呼びかけ、クラヴィス本部から四人の戦士を見送った。
あの四人なら大丈夫。
それは思いがけない再会だった。
私とボルカノさんはモウゼスからバンガードへ向かい、その道中でフィリアさんたちと出会った。
二人もバンガードに向かう途中だったらしく。私が「それなら四人で一緒に」と提案すると、快く頷いてくれたのはフィリアさんのみ。
ボルカノズはあからさまにイヤそうな顔、からの渋々といった感じで行動を共にすることになった。本当に相変わらずだ。
まあ、ここまでは想定の範囲内だよね。
うちカノさんとよそカノさんがバンガード周辺で出会う確率も、一定の距離を取りながら歩くのも。
私が思いがけない再会だと言ったのはこの二人のことじゃない。
もう一人の朱鳥術士のことを指す。
そう。今私たちの目の前でクラヴィスリーダーと談笑するもう一人のボルカノさんのことだ。
バンガードに立ち寄った際はクラヴィス本部に顔を出すのが恒例になっていたので、寄ってみたらこの光景。
彼はダリアスさんと同等の笑みを、柔和で人当たりの良い表情でいた。
それを目の当たりにした私とフィリアさんはまさに絶句という言葉が相応しいぐらいに呆然とした。
「なんだその顔は」
「……あまりにも人の良い顔と話し方をするボルカノさんを見たので。本当に同一人物なのかと疑いたくなるほどです」
フィリアさんに同意しかない。
私がうんうんと頷けば、ボルカノさんが眉を顰めた。いや、だってあんなきらきらオーラみたいなの出したボルカノさんは今までに見たことがないもの。
隣に並ぶボルカノさんの顔をじっと眺めていたら、その額に寄せる皺が更に増えてしまった。
談笑が一段落着いたのか、はたまた私たちの声に気がついたのか。
ダリアスさんとボルカノさんがこちらに振り向いた。
その振り向いた顔すら穏やかで、優しい表情。元から端正な顔立ちをしているから、どんな表情も様にはなる。
これ、通りすがりの異性を魅了する付加効果があるのでは。現にクラヴィスを訪れる女性市民がザワついている。
「あの人も異界の戦士かしら」
「カッコいいわね。素敵だわ」
そんな会話が聞こえてきそうだった。
「よお。ボルカノ勢揃いだな」
「こんにちはーダリアスさん。凄い光景ですよね。なんていうか、見た目からしてもう暑い」
「失礼だな」
私にツッコミを入れたのはよそカノさんの方。
だって、真紅の一張羅を纏った人が三人も目の前に居たらそりゃ暑苦しい。
うちカノさんは何も言わず、黙ったまま第三のボルカノさんを一瞥した。
私とフィリアさんは前にもこのボルカノさんと会ったことがある。
その時も「私たちが普段接するボルカノさんとはどこか一味も二味も違う」と話したばかりだ。
いつか「二人に逢わせてあげたいですね」と言ってたんだけど、まさかこんな形で邂逅することになるなんて。
「第三のボルカノさんはどうしてこちらに?」
「#霧華#さん。呼び方」
「いや、だって紛らわしくないですか。私たちだってうちカノさん、よそカノさんで呼んでるのに。さらに三人目の朱鳥術士ですよ」
「まあ、確かにそうですね」
フィリアさんがボルカノさんたちの顔を順に見た。
そこには仏頂面二つと好青年らしい顔が一つ並んでいる。
「受けた依頼を終わらせたので町の散策がてらに。この地に構えるリーダーと交流を深めておくのも良いと思ってな」
「まずその発想がないんですよ。うちカノさんには」
「おい。誰が引き篭りだ」
「引き篭りだなんてそこまで言ってませんよ。人の可能性は無限大だなぁと思ってただけです。ね、フィリアさん」
「はい」
ボルカノさんの眉間に皺が寄る。腕を組み「解せぬ」と言いたそうな顔。
所変われば品変わるじゃないけど、世界が違うとボルカノさんも変わる。
それはそれとして、美男子が四人も同じ場に集うとオーラみたいなのが出ているようで、さっきよりも眩しい。ダリアスさんも顔が良いからね。
「このボルカノとは話がしやすくて助かるよ」
そこでダリアスさんが良い笑顔を浮かべながら言った。悪意はそこになさそうだけど。
決して煽るつもりはないんだろう。疲れた顔をしているし、薄っすら目元に隈もある。
「ダリアスさん。それは御本人の前で言うことではないです。心のうちに留めておくべきでは?」
「フィリアさんもその言い方」
「……ああ、悪い。最近寝つきが悪くてな。よく眠れてないんだ」
そう言って目頭辺りを揉み解し、薄い唇から溜息を漏らす。
バンガード周辺の警備、昏睡事件や扉の調査。仕事はかなり目まぐるしいと聞いている。
ダリアスさんは恐らくトムと同じぐらいの年齢で若いのに調査機関を自ら立ち上げたんだもの。色々と苦労は耐えないんだろうな。
「キャンディに頼んで体当たりでもしてもらったらどうだ。そうすればぐっすり眠れる」
「それは気絶と言う。お疲れなら休むことも視野に入れてくださいね。リーダーが倒れたらみんな心配しちゃいますし」
「心遣い感謝するよ。さっきも同じ事を言われたしな。今日はこの辺で切り上げて部屋でのんびり……いや、あの場所で休むとするか」
「あの場所?」
私がそう聞き返すと、ダリアスさんがふわっと微笑んだ。
この人も優しい笑い方をする。そもそも根っから優しいからかもしれない。
「お気に入りの場所だよ」
「ゆっくり休んでくださいね」
「ああ。そうさせてもらう」
長い両腕がぐっと天井に伸ばされ、左右に倒した首からぽきぽきと音が聞こえてきた。
「それじゃあ」と去っていくダリアスさんの背を見送る。
残されたのは三人のボルカノと私たち。ちょっと気まずい空気が流れ始めていた。
「本当はサプライズで会わせたかったんですよ。こちら、第三のボルカノさんです! って感じに」
「会ったところで何が変わるというんだ」
「……まあ、ほら。アビスに行った時の話を聴くとか。お二人の見聞が更に広がるんじゃないかなぁと思って」
私がぽそりと控えめに言えば、二人の目の色が変わった。
やっぱり興味はあるみたい。この手の話題に釣られやすいのはどちらも変わらずだ。
弧を描く口元。赤橙に近い目も僅かに細められた。
「オレはお前達と逢う事を楽しみにしていた。折角の機会だ、ゆっくり話を……とも考えたが、どうやらそうもいかないようだな」
その視線が館の出入り口にすっと向けられる。
刹那、受付フロアに若い男性市民が一人駆け込んできた。全速力で走ってきたのか「大変だ!」と息絶え絶えに叫ぶ。
「どうした。火急の用か」
「町の東側に、魔獣の群れが……! どこから来たのか、わからないけど、こっちに向かってくるって……!」
「……魔獣の群れ。近くに扉が出現したんでしょうか」
翡翠の目が静かに研がれた。
愛刀の曲刀にそっと手を置いたフィリアさんはよそカノさんの顔を窺うように見る。
「その可能性はある」
「あんた達、冒険者……いや、異界の戦士か? 何とかしてくれ!」
一瞬、その人の顔が戸惑いに満ちた。
それはそう。同じ顔が揃いも揃っているんだもの。
「わかった。オレたちがなんとかしよう」
「率先的に人助けをするボルカノさん。しかも嫌な顔一つもせずに」
「魔獣退治であれば容易いものだ」
「おい。今、オレたちと言わなかったか。勝手に安請け合いをし、巻き込むな」
最初に反発したのはよそカノさんだった。鋭い目で第三のボルカノさんを睨みつけている。
うちカノさんはというと、様子を見ているのか黙って傍観している。表情は少し険しい。
ふっ、と第三のボルカノさんが笑みを零した。
挑発的なその笑い方に二人の眉がぴくりと僅かに跳ねる。
「火力はオレ一人でも充分だが、三人揃えば一分足らずで片が付くと思ったんだがな。……どうやら朱鳥の力はオレの方が上のようだ」
「なんだと?」
「オレは同行しよう」
「ボルカノさん」
静観していたうちカノさんが口を開いた。
「そいつらがバンガード市内に入り込んでからでは対処が面倒になりかねん。街道で叩くのが最善策だ」
「ああ、オレも同感だ。バンガード市民を危険に晒すわけにもいくまい。お前はどうする?」
「……オレが役立たずとでも。寝言は寝て言え」
即ち、それは加勢するという意思表示。
ほんと、ボルカノさんたちは素直じゃないんだから。
私が気づかれないよう忍び笑いをしていると、隣にいたボルカノさんに「笑うな」と叱られてしまった。
「私も加勢します。第三のボルカノさんが戦っている所を拝見したいので」
「あっ、それは私も見たい!」
「君は安全な場所にいろ」
「ええー」
「案ずるな。直ぐに戻ってくる」
不服の意を伝えれば「そうむくれるな」とうちカノさんに宥められてしまった。
ボルカノさんがこの間新しい術を完成させたと嬉しそうに話してたから、それが見られるかもと期待してたのに。
「#霧華#さんはここで待っていてください。私からもお願いです」
「……フィリアさんに言われちゃそうするしかないかぁ。気をつけて行ってきてくださいね」
「はい」
やんわりと浮かべられた微笑み。それを見た私はこそばゆくなった。
前の時みたいな関係が少しずつ築けているようで。嬉しかった。
「ボルカノトリオも気をつけて行ってきてくださいね!」
私は彼らの背にそう呼びかけ、クラヴィス本部から四人の戦士を見送った。
あの四人なら大丈夫。
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