RS Re;univerSe舞台
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New challenger!
「よしよし……この子、人懐っこいのね」
ペンギンの頭を優しい手つきで撫でるウンディーネ。その表情はとても穏やかで、ルージュを引いた口元に笑みを浮かべていた。
対してボルカノはいい顔をしていない。それどころか、大変気に喰わないといった表情でウンディーネとペンギンの様子を窺っていた。
確かに、このペンギンは誰にでも懐きやすい。というよりは、敵意の無い相手に対してだ。霧華や自分、フィリアや雪だるまなど心を許している相手が多い。それがかつてはモウゼスを分断して北と南で睨み合っていた相手にも懐いているのが、気に入らない。
ボルカノは霧華と共に市内を移動中だったのだが、噴水広場でかつての敵と対面。声を掛ける気など全く無かったのだが、ペンギンがウンディーネに駆け寄ってしまったのだ。しかも、ぴゃあぴゃあと嬉しそうに鳴きながら。
「ウンディーネさんの側はひんやりしてるから、余計にじゃないですかね」
「そうね。私は玄武、水を操るから纏う空気が心地よいのかしら。ボルカノの側にいるよりは、ね」
「……何が言いたい」
「貴方の側は暑苦しいって言ってるのよ。貴方自身もね」
「ふん……俺が夏に忌み嫌われると言うのならば、冬は誰も寄り付かないのはそちらだ」
「ボルカノさん。それ負け惜しみってやつでは」そう口を挟もうとしたが、止める霧華であった。静かに火花を散らし始めた二人をどうしたものか。彼らの足元では北と南の争いなど露とも気にせず、小さな生き物はちょろちょろと歩き回っている。不思議なことに、その周りだけに雪の結晶がきらきらと輝いていた。
「この子何者なんだろう……朱鳥術みたいのすぐに真似して覚えたみたいだし、でも雪降らしてるし」
「こいつは俺のものだ!」
傍とボルカノが声を荒げた。びっくりしてそちらを向いた霧華。彼はペンギンを指している。自分のもの宣言するのは珍しいことだ。普段から「おいペンギン」「はしゃぐなペンギン」と愛玩動物に対する態度を取っていない。それがあまりに急なものであったので、さすがに霧華も驚いていた。そして、ウンディーネが腕を絡めて寄り添ってきたことにも。
「え?」
「あら、そう。じゃあ……この子は私がいただくわね」
穏やかに笑う淑女。この発言にボルカノは「は?」と言いたげに目を丸めていた。
「……何をふざけたことを」
「美味しいケーキと紅茶が楽しめるカフェを見つけたの。一緒にどうかしら?」
「あ、いいですね。行きたいです」
「なっ……君も誘いに乗るな!」
「ボルカノはその子とデートしてくればいいでしょ? 貴方のものなんだから」
「……貴様いい加減に」
これは完全におちょくられている。薄々と感づいていたボルカノの我慢は限界にきていた。連れていかれてたまるかと、ウンディーネを睨みつける。
この様子を遠目に観察していたフィリアは首を傾げ、横にいるボルカノに問いかけた。
「何してるんでしょうね…。よそカノさんとウンディーネさん。……なんか、霧華さんを取り合ってるようですけど」
「馬鹿馬鹿しい。どうせ奴の口車にでも乗せられたんだろう」
「よそカノさんって、熱くなりやすいですよね。あ、ボルカノさんもでしたね」
今までのことを考えれば、とフィリアは一人で納得しているようであった。そんな彼女に何か言いたそうにしてジト目を向けるボルカノ。
もう一人の自分がくだらない争いを広げている。そこへ助け舟を出すつもりも、傍観しているつもりもない。行くぞ、とフィリアに声を掛けようとしたのだが。
「私も参戦してきます」
「は?」
「だって、霧華さんをゲットできればアップルパイいつでも食べられますよね?」
舞い散る花の下で食べた手作りのアップルパイ。焼き立てで香ばしく、程よい甘さ、そして絶妙なスパイス加減がリンゴを最高に引き立てていた。
そのレシピを教えてもらい、手順通りに作っても同じ味にはどうしてもならなかったのだ。やはり、お菓子や料理は作り手によって微妙に変わるもの。それぞれ特徴があり、美味しさも違うというもの。
「……俺はフィリアの作るアップルパイの方が好みだ」
「ありがとうございます。でも、私は霧華さんが焼いたアップルパイが食べたい……! 行ってきます!」
お世辞なしに伝えたボルカノの言葉は空回ってしまった。止めるボルカノをよそに、フィリアが三人と一匹の元へと駆け出したのであった。
「よしよし……この子、人懐っこいのね」
ペンギンの頭を優しい手つきで撫でるウンディーネ。その表情はとても穏やかで、ルージュを引いた口元に笑みを浮かべていた。
対してボルカノはいい顔をしていない。それどころか、大変気に喰わないといった表情でウンディーネとペンギンの様子を窺っていた。
確かに、このペンギンは誰にでも懐きやすい。というよりは、敵意の無い相手に対してだ。霧華や自分、フィリアや雪だるまなど心を許している相手が多い。それがかつてはモウゼスを分断して北と南で睨み合っていた相手にも懐いているのが、気に入らない。
ボルカノは霧華と共に市内を移動中だったのだが、噴水広場でかつての敵と対面。声を掛ける気など全く無かったのだが、ペンギンがウンディーネに駆け寄ってしまったのだ。しかも、ぴゃあぴゃあと嬉しそうに鳴きながら。
「ウンディーネさんの側はひんやりしてるから、余計にじゃないですかね」
「そうね。私は玄武、水を操るから纏う空気が心地よいのかしら。ボルカノの側にいるよりは、ね」
「……何が言いたい」
「貴方の側は暑苦しいって言ってるのよ。貴方自身もね」
「ふん……俺が夏に忌み嫌われると言うのならば、冬は誰も寄り付かないのはそちらだ」
「ボルカノさん。それ負け惜しみってやつでは」そう口を挟もうとしたが、止める霧華であった。静かに火花を散らし始めた二人をどうしたものか。彼らの足元では北と南の争いなど露とも気にせず、小さな生き物はちょろちょろと歩き回っている。不思議なことに、その周りだけに雪の結晶がきらきらと輝いていた。
「この子何者なんだろう……朱鳥術みたいのすぐに真似して覚えたみたいだし、でも雪降らしてるし」
「こいつは俺のものだ!」
傍とボルカノが声を荒げた。びっくりしてそちらを向いた霧華。彼はペンギンを指している。自分のもの宣言するのは珍しいことだ。普段から「おいペンギン」「はしゃぐなペンギン」と愛玩動物に対する態度を取っていない。それがあまりに急なものであったので、さすがに霧華も驚いていた。そして、ウンディーネが腕を絡めて寄り添ってきたことにも。
「え?」
「あら、そう。じゃあ……この子は私がいただくわね」
穏やかに笑う淑女。この発言にボルカノは「は?」と言いたげに目を丸めていた。
「……何をふざけたことを」
「美味しいケーキと紅茶が楽しめるカフェを見つけたの。一緒にどうかしら?」
「あ、いいですね。行きたいです」
「なっ……君も誘いに乗るな!」
「ボルカノはその子とデートしてくればいいでしょ? 貴方のものなんだから」
「……貴様いい加減に」
これは完全におちょくられている。薄々と感づいていたボルカノの我慢は限界にきていた。連れていかれてたまるかと、ウンディーネを睨みつける。
この様子を遠目に観察していたフィリアは首を傾げ、横にいるボルカノに問いかけた。
「何してるんでしょうね…。よそカノさんとウンディーネさん。……なんか、霧華さんを取り合ってるようですけど」
「馬鹿馬鹿しい。どうせ奴の口車にでも乗せられたんだろう」
「よそカノさんって、熱くなりやすいですよね。あ、ボルカノさんもでしたね」
今までのことを考えれば、とフィリアは一人で納得しているようであった。そんな彼女に何か言いたそうにしてジト目を向けるボルカノ。
もう一人の自分がくだらない争いを広げている。そこへ助け舟を出すつもりも、傍観しているつもりもない。行くぞ、とフィリアに声を掛けようとしたのだが。
「私も参戦してきます」
「は?」
「だって、霧華さんをゲットできればアップルパイいつでも食べられますよね?」
舞い散る花の下で食べた手作りのアップルパイ。焼き立てで香ばしく、程よい甘さ、そして絶妙なスパイス加減がリンゴを最高に引き立てていた。
そのレシピを教えてもらい、手順通りに作っても同じ味にはどうしてもならなかったのだ。やはり、お菓子や料理は作り手によって微妙に変わるもの。それぞれ特徴があり、美味しさも違うというもの。
「……俺はフィリアの作るアップルパイの方が好みだ」
「ありがとうございます。でも、私は霧華さんが焼いたアップルパイが食べたい……! 行ってきます!」
お世辞なしに伝えたボルカノの言葉は空回ってしまった。止めるボルカノをよそに、フィリアが三人と一匹の元へと駆け出したのであった。