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サプライズ
家の外から鳥の鳴き声が聞こえた。それは野鳥が木の上で囀っているようなものではなく、自宅の玄関先からであった。
フィリアはどうも妙だと思い、玄関へと向かった。ぴゃあぴゃあと鳴く鳥の声が益々強くなる。鳩にしては鳴き方がおかしい。玄関の扉を前にして、開けるか開けまいか躊躇。殺気は感じられないものの、さてどうしたものか。
「ぴゃあ!」
「……少しは落ち着かないか。フィリア、そこにいるのか?」
鳥の鳴き声と人の声。それがボルカノだと分かったフィリアは玄関をゆっくりと開けた。
「ぴゃーあ!」
「わっ……き、君はもしかして」
ドアの隙間から見えた小さな白黒ボディ。黄色い足と嘴が特徴的な鳥がボルカノの足元にちょこんと立っていた。
「よそカノさんの御宅に居候している、ペンギンのぺんちゃん?」
「ぴい!」
どうやら先程から鳴いていた鳥の正体はこのペンギンだったようだ。小さな羽をぱたぱたと震わせて愛らしい眼差しをフィリアに向けている。
霧華が教授のマシーンを使用した際に呼び出された異界の戦士らしいが、詳細は不明だと。
「でも、どうしてぺんちゃんがうちカノさんと一緒にいるんですか。よそカノさんなら分かりますけど」
「ほう。よく俺だと分かったな」
「その立ち振る舞いと態度でなんとなく」
「……まあいい。こいつがついてきた理由は」
「ぴぴゃー。ぴいっ!」
「さっきそこで偶然」
「ぴーい! ぴー」
「おい、黙れ」
「ぴ?」
ボルカノが話そうとすると合いの手を入れるかの如く、ぺんちゃんが囀る。それに堪えられずボルカノは苛々とした様子で見下ろしていた。しかし、ぺんちゃんは小さな首を傾げてボルカノを見る。
「ま、まあまあ……ぺんちゃん、ちょっとボルカノさんとお話させてね」
「ぴ!」
「……詰まるところ、そいつを押し付けられたんだ」
「え?」
「今日のサプライズを仕掛けたいとうっかりあいつ等に知られてしまってな。それならこのペンギンを連れて行けばサプライズになると」
そう、霧華が提案したと。可愛さのお裾分けという意味らしい。
「今日って何かありました? 十四日……あっ」
「忘れていたのか」
「あ、いや……だって外はスプリングカーニバルで賑わってましたから。ホワイトデーなんて全然頭に」
今年は春を祝うカーニバルを開催すると先月末から大変な賑わいを見せていた。ホワイトデーのイベントも従来通りに宣伝はされていたが、印象が薄れてしまったのかフィリアの頭からすっかり抜け落ちてしまっていた。
「……サプライズどころか忘れられていたとはな」
「すみません。ありがとうございます」
フィリアの手に渡された薄いピンク色の柔らかい素材の包み。花が咲いた様なそれは一足先に春を感じさせた。
「ぺんちゃんも来てくれてありがとう」
「ぴい♪」
「ボルカノさん、お茶淹れますから入ってください」
「ああ」
まだ外は冷たい風が吹く日も多い。だが、思わぬサプライズに胸がじんわりと温まり、フィリアの顔に笑みが浮かんだ。
家の外から鳥の鳴き声が聞こえた。それは野鳥が木の上で囀っているようなものではなく、自宅の玄関先からであった。
フィリアはどうも妙だと思い、玄関へと向かった。ぴゃあぴゃあと鳴く鳥の声が益々強くなる。鳩にしては鳴き方がおかしい。玄関の扉を前にして、開けるか開けまいか躊躇。殺気は感じられないものの、さてどうしたものか。
「ぴゃあ!」
「……少しは落ち着かないか。フィリア、そこにいるのか?」
鳥の鳴き声と人の声。それがボルカノだと分かったフィリアは玄関をゆっくりと開けた。
「ぴゃーあ!」
「わっ……き、君はもしかして」
ドアの隙間から見えた小さな白黒ボディ。黄色い足と嘴が特徴的な鳥がボルカノの足元にちょこんと立っていた。
「よそカノさんの御宅に居候している、ペンギンのぺんちゃん?」
「ぴい!」
どうやら先程から鳴いていた鳥の正体はこのペンギンだったようだ。小さな羽をぱたぱたと震わせて愛らしい眼差しをフィリアに向けている。
霧華が教授のマシーンを使用した際に呼び出された異界の戦士らしいが、詳細は不明だと。
「でも、どうしてぺんちゃんがうちカノさんと一緒にいるんですか。よそカノさんなら分かりますけど」
「ほう。よく俺だと分かったな」
「その立ち振る舞いと態度でなんとなく」
「……まあいい。こいつがついてきた理由は」
「ぴぴゃー。ぴいっ!」
「さっきそこで偶然」
「ぴーい! ぴー」
「おい、黙れ」
「ぴ?」
ボルカノが話そうとすると合いの手を入れるかの如く、ぺんちゃんが囀る。それに堪えられずボルカノは苛々とした様子で見下ろしていた。しかし、ぺんちゃんは小さな首を傾げてボルカノを見る。
「ま、まあまあ……ぺんちゃん、ちょっとボルカノさんとお話させてね」
「ぴ!」
「……詰まるところ、そいつを押し付けられたんだ」
「え?」
「今日のサプライズを仕掛けたいとうっかりあいつ等に知られてしまってな。それならこのペンギンを連れて行けばサプライズになると」
そう、霧華が提案したと。可愛さのお裾分けという意味らしい。
「今日って何かありました? 十四日……あっ」
「忘れていたのか」
「あ、いや……だって外はスプリングカーニバルで賑わってましたから。ホワイトデーなんて全然頭に」
今年は春を祝うカーニバルを開催すると先月末から大変な賑わいを見せていた。ホワイトデーのイベントも従来通りに宣伝はされていたが、印象が薄れてしまったのかフィリアの頭からすっかり抜け落ちてしまっていた。
「……サプライズどころか忘れられていたとはな」
「すみません。ありがとうございます」
フィリアの手に渡された薄いピンク色の柔らかい素材の包み。花が咲いた様なそれは一足先に春を感じさせた。
「ぺんちゃんも来てくれてありがとう」
「ぴい♪」
「ボルカノさん、お茶淹れますから入ってください」
「ああ」
まだ外は冷たい風が吹く日も多い。だが、思わぬサプライズに胸がじんわりと温まり、フィリアの顔に笑みが浮かんだ。