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朱鳥術士と
さて、教授の研究室から飛び出してきたはいいものの、この子を連れてきてしまった。ペンギンは腕の中で意外にも大人しくしている。
「……勢いで連れてきちゃったけど。どうしよう」
「ぴゃーあ?」
ふわふわの毛並みがまるで縫いぐるみを抱いているみたいだった。そして案外軽い。
イルカ像のモチーフが正面に見える場所まで来ると、道具屋から人が丁度出てきた。鮮やかな赤。それがボルカノさんだと一目で分かる。抱えた紙袋から薬草が覗いていた。調合品の材料調達かな。
「ぴゃあぴゃあ!」
「ん、下ろして欲しいのかな……よいしょ」
手足をばたつかせたので、ゆっくりと地面に黄色いあんよを下ろす。すると、二、三度首を左右に振った後、急に走り出した。
「えっ、ちょっ……はやっ!」
真ん丸の身体からは想像もつかない速さで一直線に駆けていく。しゅたたたたっと駆け寄った先はボルカノさんの所。
私は負けじと追いかけるけど、追い付きやしない。ペンギンってこんなに足が速いものなの。
「……ボルカノさーん! その子、そのペンギン止めてください!!」
代わりに声を張り上げてボルカノさんに希望を託した。このままどこか迷子にさせては可哀想だもの。
私の声に振り向いたボルカノさんは目の前に迫っていたペンギンを見て、明らかに驚いている様子だった。
このままだとあの子が走り去っちゃう。そう心配していたのだけど、ペンギンのあの子はぴたりとボルカノさんの前で立ち止まった。よかった。今のうちに私は急いで二人の元へ駆け寄る。
「……ぼ、ボルカノさん、ありがとう、ございます」
「……大丈夫か。オレは何もしていない。それよりこの……鳥は」
「ぴい」
弾んだ息を調えつつ、私はペンギンの隣にしゃがみこんだ。両手をパタパタと動かして、ボルカノさんをじっと見上げている。
「ペンギンだと思います。実は……」
教授の研究室で呼び出された子だと経緯を簡単に話す。勢いで連れ出してきてしまったことも。
「成程な。どうしていいか途方に暮れていたというわけか」
「はい」
「ぴ?」
「……それならばオレの部屋に間借りさせるか」
「え、いいんですか?」
「ただのペンギンでも無さそうだ。興味がある」
「解剖とか変なことしないでくださいね」
学者気質の人はどうしてこうなのか。珍しくすんなり受け入れてくれると思ったらこれだ。
私は優しくこの子を抱き寄せた。
「心配するような真似はしない。ただ観察したいだけだ」
「ぴぴいー」
「それならいいですけど」
教授よりは信頼できる相手だし、ここはボルカノさんに任せてもいいかな。
黄色い嘴が彼の赤いコートの端をつまもうとしていた。目の前で揺れるものに興味があるみたいだ。
さて、教授の研究室から飛び出してきたはいいものの、この子を連れてきてしまった。ペンギンは腕の中で意外にも大人しくしている。
「……勢いで連れてきちゃったけど。どうしよう」
「ぴゃーあ?」
ふわふわの毛並みがまるで縫いぐるみを抱いているみたいだった。そして案外軽い。
イルカ像のモチーフが正面に見える場所まで来ると、道具屋から人が丁度出てきた。鮮やかな赤。それがボルカノさんだと一目で分かる。抱えた紙袋から薬草が覗いていた。調合品の材料調達かな。
「ぴゃあぴゃあ!」
「ん、下ろして欲しいのかな……よいしょ」
手足をばたつかせたので、ゆっくりと地面に黄色いあんよを下ろす。すると、二、三度首を左右に振った後、急に走り出した。
「えっ、ちょっ……はやっ!」
真ん丸の身体からは想像もつかない速さで一直線に駆けていく。しゅたたたたっと駆け寄った先はボルカノさんの所。
私は負けじと追いかけるけど、追い付きやしない。ペンギンってこんなに足が速いものなの。
「……ボルカノさーん! その子、そのペンギン止めてください!!」
代わりに声を張り上げてボルカノさんに希望を託した。このままどこか迷子にさせては可哀想だもの。
私の声に振り向いたボルカノさんは目の前に迫っていたペンギンを見て、明らかに驚いている様子だった。
このままだとあの子が走り去っちゃう。そう心配していたのだけど、ペンギンのあの子はぴたりとボルカノさんの前で立ち止まった。よかった。今のうちに私は急いで二人の元へ駆け寄る。
「……ぼ、ボルカノさん、ありがとう、ございます」
「……大丈夫か。オレは何もしていない。それよりこの……鳥は」
「ぴい」
弾んだ息を調えつつ、私はペンギンの隣にしゃがみこんだ。両手をパタパタと動かして、ボルカノさんをじっと見上げている。
「ペンギンだと思います。実は……」
教授の研究室で呼び出された子だと経緯を簡単に話す。勢いで連れ出してきてしまったことも。
「成程な。どうしていいか途方に暮れていたというわけか」
「はい」
「ぴ?」
「……それならばオレの部屋に間借りさせるか」
「え、いいんですか?」
「ただのペンギンでも無さそうだ。興味がある」
「解剖とか変なことしないでくださいね」
学者気質の人はどうしてこうなのか。珍しくすんなり受け入れてくれると思ったらこれだ。
私は優しくこの子を抱き寄せた。
「心配するような真似はしない。ただ観察したいだけだ」
「ぴぴいー」
「それならいいですけど」
教授よりは信頼できる相手だし、ここはボルカノさんに任せてもいいかな。
黄色い嘴が彼の赤いコートの端をつまもうとしていた。目の前で揺れるものに興味があるみたいだ。