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こんな日には二人で
「出掛けたいんだが。二人で」
語尾を強調させて彼はそう言った。
ちょっとそこまで買い物に付き合ってくれ、というニュアンスでは無いことは流石に私でも分かる。急な話だから無理に誘うつもりはないとも話していた。次のお休みは特に用事も無いからいいですよと返したら、心なしか嬉しそうにはにかんだ気がする。
そういうわけで、ボルカノさんにデートに誘われました。
待ち合わせ場所は噴水前。少しだけ早めに着いてしまった私は広場を歩く人達を観察したり、すっきりとした青空を眺めたりしながらボルカノさんを待っていた。
行楽日和の良い天気だ。こんな日は公園でお弁当の包みを広げて過ごすのに良さそう。
噴水広場から見える柱時計がもうすぐ約束の時間を指す。
ところで、今日はどこへ出掛けるんだろう。話を聞いた時も二つ返事だったから、行き先を聞き忘れてしまった。
そういえば、ボルカノさんとデートなんて初めてだ。今までも二人で出掛ける機会は沢山あったけど、調合品に使う薬草や道具を調達する為。それに旅すがら、どこかへ出掛けようっていう考えもなかった。ピドナで簡易拠点を設けても遠出することなかったし。
うきうき気分で待つ事数分。そろそろ来るかなと辺りを見渡すと、珍しい人と目が合った。
晴れた日の湖畔色をした髪を風に靡かせて、長い白のローブを纏った女性。黒鳥の羽根を紡いだ襟巻もふわふわと風に揺れていた。
「お洒落して、恋人とデートにでも行くのかしら」
「ウンディーネさん」
優しい微笑みを目元に携えた彼女に「はい」と私が答えると「そうでしょうね」と返す。
「そうでなきゃそんなに楽しそうな顔、してないものね」
「…そんなに楽しそうにしてます?自分は普通だと思ってるんですけど」
「ええ。浮かれてるわ」
浮かれてる。確かに普段よりもメイクや洋服に気を使ってきた。初デートだと思えば自然と気分も上がる。でも、浮かれてると指摘されるほどご機嫌な顔をしているんだろうか。私は思わず両手でほっぺを押さえた。
「やっぱり只の助手じゃなかったわね」
「えと……なんかすみませんでした」
「あら。貴女が謝る必要はないわ。素直じゃないあいつが悪いんだから」
ウンディーネさんとボルカノさん、二人は師弟関係だと聞いた。本人の口から聞いたわけではなく、ボルカノ君が話していた。もし、この事を本人にどうなのかと突っついたらどん底ばりの不機嫌になるのが目に見えている。だから絶対に聞けない。
「それで。素敵な殿方に何処へ連れて行ってもらうの?」
「まだそれは聞いてなくて…うっかり聞き忘れちゃったんです。でも、当日の楽しみだからいいかなーって」
「そう。あいつが気の利いた場所なんて知ってるのかしら……大方、図書館とか言い出しそうな気もするけど」
「図書館は在り得ますね。ボルカノさんもよく足を運んでるみたいだし、この間も行ってきました」
あれはデートのうちに含まれるんだろうか。でもそれを考えるとボルカノさんとふらっと出掛けることが全部デートになってしまう気がする。
ここで私はある話をしていたのを思い出した。「火術要塞をこの目で一度見てみたい」と朱鳥術士が言っていたことを。
四魔貴族の一人、アウナスがこの世界への出城としていた要塞。アケのジャングルを抜けた先に構えられているのは知っているけど、まさか。
私は顔からさっと血の気が引いた気がした。
「……どうかしたの?」
「…いえ、あの。……火術要塞に連れていかれたらどうしようと思って。前に一度はこの目で見てみたいって…言ってた」
「そう……そんな所をデート先に選ぶ男とはすぐに別れなさい」
ウンディーネさんは真顔でぴしゃりとそう言い放った。術士目線、というよりは女性目線でそれは有り得ないと。
雪の町やポドールイへ一緒に行ったことはある。少しの危険や大変な事はあったけど、ボルカノさんが居てくれたからなんとかなったというもの。でも、火術要塞は別物だ。危険の度合いも熱さも半端じゃない。
行き先が火術要塞。その可能性もなきにしもあらず。もしそうだったらどうしようかと狼狽えていると、ウンディーネさんが「大丈夫よ」と笑いを堪えながら話しかけてきた。
「あいつ、貴女の事を本当に大切に想っているようだし…。そんな場所へは流石に連れていかないとは思うわ」
「そう、ですかね」
「もし変な所へ連れて行かれそうになったら言いなさい。私が説教してあげる」
私の不安を拭うようにウンディーネさんは上品な笑みを浮かべ、ウィンクを見せてくれた。
彼女とこうしてまともに言葉を交わすのは初めてだった。初対面の時はとてもじゃないけど雑談できる雰囲気じゃなかったし。結局そのまま交流が無いままモウゼスを出てしまった。それから機会も訪れず、この世界でようやく顔を合わせる程度に。
話してみると意外と人が良さそうだった。魔王の盾が絡まなければ元々いい人なのかもしれない。
ボルカノさんのこともそんなに毛嫌いしているようには見えないし。
「ありがとうございます、ウンディーネさん。…ふふ」
「あら、どうかした?」
「ウンディーネさんと喋ったことなかったから…どんな人かちょっと不安だったんです。もしかしたら冷徹で恐い人なんじゃないか…って。でも、こうして言葉を交わしてみると普通にお喋りできそうだなーって」
「……そう。人から見られた私のイメージってそんな感じなのかしら」
「あっ、でもこれはあくまで私の…」
「人は第一印象だけじゃ決められない。それは貴女もよく分かってるんじゃない?」
見た目が堅物でも実は優しい。身近にそんな人がいる。
最初の十数秒でその人の何が分かるのか。たった数秒で決められたくない。それはきっとこの二人も同じだ。勿論私も。
「ウンディーネさん。今度、一緒にお茶でもしませんか?」
「いいわね。私も貴女とはゆっくり話してみたかったの。喜んで」
「ありがとうございます!美味しい紅茶とケーキのお店知ってるので、是非!」
「それは楽しみね」
茶飲み友達が増えそう。これを機に親睦を深められるといいな。
二人でにこやかに笑いあっている所に近づいてくる人影。いつもの赤いタキシードを身に纏ったボルカノさんだ。彼は私の隣にいたウンディーネさんを目にすると苦虫を噛み潰したように顔を歪めた。
「…ウンディーネ。何故ここにいる」
「偶然よ。それよりも貴方、可愛い恋人を待たせるなんてどういうつもりなのかしらね」
ふんと鼻を鳴らしたボルカノさんは「御前には関係ない」とその言葉を突っぱねた。
それぞれはいい人なのかもしれないけど、こうして顔を合わせるとそうもいかないようだ。
深い溜め息が私の隣から聞こえてきた。
「変な場所に連れて行かないようにしなさい。愛想尽かされるわよ。…それじゃあ私はこれで失礼するわ」
透かし宥める様な言い方。そこからも師弟関係だったことを微かに匂わせる。
玄武術士は絹のローブの裾を翻してヒールの音を鳴らしながら街角へ消えて行った。
彼女の姿が見えなくなるまで私達はお互いに黙っていた。「また邪魔をされるかと」不意にボルカノさんがぽつりと呟く。何の事かと聞くより先に声を掛けられ、向かう先へと歩き出した。
「ボルカノさん。何処に行くんですか」
「此処からそう遠くは無い。この時間から遠出は出来ん」
「…よかったあ。あ、ほら…行き先聞いてなかったじゃないですか。だから、火術要塞に行くとか言われたらどうしようかと思って」
「一般人の君をそこへ連れていく訳がないだろ。……まあ、確かに一度はこの目で見てみたい場所ではあるがな」
空の彼方を見つめる横顔に「いつか見られるといいですね」と笑みを返した。
バンガードから十分も歩かずに目的地へ到着した。長い坂を登り、息を弾ませながら見渡した世界は青い草原がずっと広がっていた。
この小高い丘の上から駆け抜けた風が白波を立てるように吹き抜けていく。草原のあちこちに花をつけた小さな群生地があった。
「すごい…こんな場所、バンガードの近くにあったんですね」
「遠征の際に見つけた場所だ。見晴らしも良く、魔物の活動も少ない。……ピクニックに最適な場所だと思ってな」
彼はそう言いながら手に提げていた小さなバスケットを持ち上げてみせた。
「急ごしらえではあるが、簡単に作ってきた」
「…サンドイッチだ!うわあ美味しそう」
白い布巾をよけて、そこから顔を覗かせたサンドイッチ。タマゴ、ポテトサラダにハム、レタスにスライストマト。朝御飯を食べてまだそんなに時間が経ってないのに、もうお腹が空いてきた。
「こんな素敵な場所でピクニックが出来るなんて思いもしませんでした。ボルカノさん、ありがとうございます。…実は今日、天気が良いし外でご飯食べたら気持ちいいだろうなーって考えてたんです。ピクニック日和だなあ……って」
そこまで口を動かして、ふっと沸くように思い出した。モウゼスを出る前、何を考えたのか彼は「天気が良いからピクニックでも行くか」と言い出したことがあった。その時ウンディーネさんが来訪したせいで、その話自体がなかったことに。それ以来、機会は訪れなかった。
「ああ。…半年、一年越しではあるがようやく果たせたな」
草原を見下ろしていた彼は穏やかな表情をしていた。
「出掛けたいんだが。二人で」
語尾を強調させて彼はそう言った。
ちょっとそこまで買い物に付き合ってくれ、というニュアンスでは無いことは流石に私でも分かる。急な話だから無理に誘うつもりはないとも話していた。次のお休みは特に用事も無いからいいですよと返したら、心なしか嬉しそうにはにかんだ気がする。
そういうわけで、ボルカノさんにデートに誘われました。
待ち合わせ場所は噴水前。少しだけ早めに着いてしまった私は広場を歩く人達を観察したり、すっきりとした青空を眺めたりしながらボルカノさんを待っていた。
行楽日和の良い天気だ。こんな日は公園でお弁当の包みを広げて過ごすのに良さそう。
噴水広場から見える柱時計がもうすぐ約束の時間を指す。
ところで、今日はどこへ出掛けるんだろう。話を聞いた時も二つ返事だったから、行き先を聞き忘れてしまった。
そういえば、ボルカノさんとデートなんて初めてだ。今までも二人で出掛ける機会は沢山あったけど、調合品に使う薬草や道具を調達する為。それに旅すがら、どこかへ出掛けようっていう考えもなかった。ピドナで簡易拠点を設けても遠出することなかったし。
うきうき気分で待つ事数分。そろそろ来るかなと辺りを見渡すと、珍しい人と目が合った。
晴れた日の湖畔色をした髪を風に靡かせて、長い白のローブを纏った女性。黒鳥の羽根を紡いだ襟巻もふわふわと風に揺れていた。
「お洒落して、恋人とデートにでも行くのかしら」
「ウンディーネさん」
優しい微笑みを目元に携えた彼女に「はい」と私が答えると「そうでしょうね」と返す。
「そうでなきゃそんなに楽しそうな顔、してないものね」
「…そんなに楽しそうにしてます?自分は普通だと思ってるんですけど」
「ええ。浮かれてるわ」
浮かれてる。確かに普段よりもメイクや洋服に気を使ってきた。初デートだと思えば自然と気分も上がる。でも、浮かれてると指摘されるほどご機嫌な顔をしているんだろうか。私は思わず両手でほっぺを押さえた。
「やっぱり只の助手じゃなかったわね」
「えと……なんかすみませんでした」
「あら。貴女が謝る必要はないわ。素直じゃないあいつが悪いんだから」
ウンディーネさんとボルカノさん、二人は師弟関係だと聞いた。本人の口から聞いたわけではなく、ボルカノ君が話していた。もし、この事を本人にどうなのかと突っついたらどん底ばりの不機嫌になるのが目に見えている。だから絶対に聞けない。
「それで。素敵な殿方に何処へ連れて行ってもらうの?」
「まだそれは聞いてなくて…うっかり聞き忘れちゃったんです。でも、当日の楽しみだからいいかなーって」
「そう。あいつが気の利いた場所なんて知ってるのかしら……大方、図書館とか言い出しそうな気もするけど」
「図書館は在り得ますね。ボルカノさんもよく足を運んでるみたいだし、この間も行ってきました」
あれはデートのうちに含まれるんだろうか。でもそれを考えるとボルカノさんとふらっと出掛けることが全部デートになってしまう気がする。
ここで私はある話をしていたのを思い出した。「火術要塞をこの目で一度見てみたい」と朱鳥術士が言っていたことを。
四魔貴族の一人、アウナスがこの世界への出城としていた要塞。アケのジャングルを抜けた先に構えられているのは知っているけど、まさか。
私は顔からさっと血の気が引いた気がした。
「……どうかしたの?」
「…いえ、あの。……火術要塞に連れていかれたらどうしようと思って。前に一度はこの目で見てみたいって…言ってた」
「そう……そんな所をデート先に選ぶ男とはすぐに別れなさい」
ウンディーネさんは真顔でぴしゃりとそう言い放った。術士目線、というよりは女性目線でそれは有り得ないと。
雪の町やポドールイへ一緒に行ったことはある。少しの危険や大変な事はあったけど、ボルカノさんが居てくれたからなんとかなったというもの。でも、火術要塞は別物だ。危険の度合いも熱さも半端じゃない。
行き先が火術要塞。その可能性もなきにしもあらず。もしそうだったらどうしようかと狼狽えていると、ウンディーネさんが「大丈夫よ」と笑いを堪えながら話しかけてきた。
「あいつ、貴女の事を本当に大切に想っているようだし…。そんな場所へは流石に連れていかないとは思うわ」
「そう、ですかね」
「もし変な所へ連れて行かれそうになったら言いなさい。私が説教してあげる」
私の不安を拭うようにウンディーネさんは上品な笑みを浮かべ、ウィンクを見せてくれた。
彼女とこうしてまともに言葉を交わすのは初めてだった。初対面の時はとてもじゃないけど雑談できる雰囲気じゃなかったし。結局そのまま交流が無いままモウゼスを出てしまった。それから機会も訪れず、この世界でようやく顔を合わせる程度に。
話してみると意外と人が良さそうだった。魔王の盾が絡まなければ元々いい人なのかもしれない。
ボルカノさんのこともそんなに毛嫌いしているようには見えないし。
「ありがとうございます、ウンディーネさん。…ふふ」
「あら、どうかした?」
「ウンディーネさんと喋ったことなかったから…どんな人かちょっと不安だったんです。もしかしたら冷徹で恐い人なんじゃないか…って。でも、こうして言葉を交わしてみると普通にお喋りできそうだなーって」
「……そう。人から見られた私のイメージってそんな感じなのかしら」
「あっ、でもこれはあくまで私の…」
「人は第一印象だけじゃ決められない。それは貴女もよく分かってるんじゃない?」
見た目が堅物でも実は優しい。身近にそんな人がいる。
最初の十数秒でその人の何が分かるのか。たった数秒で決められたくない。それはきっとこの二人も同じだ。勿論私も。
「ウンディーネさん。今度、一緒にお茶でもしませんか?」
「いいわね。私も貴女とはゆっくり話してみたかったの。喜んで」
「ありがとうございます!美味しい紅茶とケーキのお店知ってるので、是非!」
「それは楽しみね」
茶飲み友達が増えそう。これを機に親睦を深められるといいな。
二人でにこやかに笑いあっている所に近づいてくる人影。いつもの赤いタキシードを身に纏ったボルカノさんだ。彼は私の隣にいたウンディーネさんを目にすると苦虫を噛み潰したように顔を歪めた。
「…ウンディーネ。何故ここにいる」
「偶然よ。それよりも貴方、可愛い恋人を待たせるなんてどういうつもりなのかしらね」
ふんと鼻を鳴らしたボルカノさんは「御前には関係ない」とその言葉を突っぱねた。
それぞれはいい人なのかもしれないけど、こうして顔を合わせるとそうもいかないようだ。
深い溜め息が私の隣から聞こえてきた。
「変な場所に連れて行かないようにしなさい。愛想尽かされるわよ。…それじゃあ私はこれで失礼するわ」
透かし宥める様な言い方。そこからも師弟関係だったことを微かに匂わせる。
玄武術士は絹のローブの裾を翻してヒールの音を鳴らしながら街角へ消えて行った。
彼女の姿が見えなくなるまで私達はお互いに黙っていた。「また邪魔をされるかと」不意にボルカノさんがぽつりと呟く。何の事かと聞くより先に声を掛けられ、向かう先へと歩き出した。
「ボルカノさん。何処に行くんですか」
「此処からそう遠くは無い。この時間から遠出は出来ん」
「…よかったあ。あ、ほら…行き先聞いてなかったじゃないですか。だから、火術要塞に行くとか言われたらどうしようかと思って」
「一般人の君をそこへ連れていく訳がないだろ。……まあ、確かに一度はこの目で見てみたい場所ではあるがな」
空の彼方を見つめる横顔に「いつか見られるといいですね」と笑みを返した。
バンガードから十分も歩かずに目的地へ到着した。長い坂を登り、息を弾ませながら見渡した世界は青い草原がずっと広がっていた。
この小高い丘の上から駆け抜けた風が白波を立てるように吹き抜けていく。草原のあちこちに花をつけた小さな群生地があった。
「すごい…こんな場所、バンガードの近くにあったんですね」
「遠征の際に見つけた場所だ。見晴らしも良く、魔物の活動も少ない。……ピクニックに最適な場所だと思ってな」
彼はそう言いながら手に提げていた小さなバスケットを持ち上げてみせた。
「急ごしらえではあるが、簡単に作ってきた」
「…サンドイッチだ!うわあ美味しそう」
白い布巾をよけて、そこから顔を覗かせたサンドイッチ。タマゴ、ポテトサラダにハム、レタスにスライストマト。朝御飯を食べてまだそんなに時間が経ってないのに、もうお腹が空いてきた。
「こんな素敵な場所でピクニックが出来るなんて思いもしませんでした。ボルカノさん、ありがとうございます。…実は今日、天気が良いし外でご飯食べたら気持ちいいだろうなーって考えてたんです。ピクニック日和だなあ……って」
そこまで口を動かして、ふっと沸くように思い出した。モウゼスを出る前、何を考えたのか彼は「天気が良いからピクニックでも行くか」と言い出したことがあった。その時ウンディーネさんが来訪したせいで、その話自体がなかったことに。それ以来、機会は訪れなかった。
「ああ。…半年、一年越しではあるがようやく果たせたな」
草原を見下ろしていた彼は穏やかな表情をしていた。