第二章
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25.この想いは偽れない
手の平に乗せた六角錘の水晶石が輝きを放っていた。中央部分の核を覆う靄は鮮やかな橙色。あれ以来安定した色調を示している。
先の戦いで欠けた部位は軽く研磨して滑らかに。そしてこれ以上傷を負わないように強化術を施した。壊れた金具は取り換えて新しいチェーンに通し、今も肌身離さず身に着けるようにしている。
召喚石が欠けた事により彼女の容態が悪化する様な兆しは幸いにも見られなかった。あの時は別の要因で倒れかけたが。核さえ傷がつかなければ問題は無いのかもしれない。それでも慎重に扱うべき代物である事には変わりない。
手帖に状態を記していた際、ふと召喚石が一際鮮やかに発色。何か嬉しいことでもあったのだろう。彼女の表情同様にこの石も様々な色を見せてくれる。見ていて飽きないのも同じだ。惹き付ける何かがこれにはある。
ある程度の感情や体調はこれで読めるが、複雑な心理状態までは探れない。
以前、人の心が読めるのかと尋ねてきた。それが出来ればここまで頭を悩ませる必要が無いというもの。
手帖を閉じ、丸めていた羊皮紙をテーブルへ広げ直す。召喚石はそのまま左手の中に収め、ペンを右手に取った。時間がある時には研究途中の資料を纏めていかなければならない。提出期限も刻々と迫っている。
ヤーマスを出てさらに北東へ進み、北部地方へ足を踏み入れた。吐息が白く曇る程度の寒さではあるが、これから先は更に寒風が吹き荒れることになる。その前に町へ立ち寄れたのが幸運だ。防寒具を身に着けずに雪道を進むのは厳しい。モウゼスを出たままの恰好では寒さに耐えきれないだろう。
町の小さな洋品店で見繕った防寒用のコート。自分自身のコートは残念ながらも気に入りの色を選べず、チャコールグレイの膝丈まであるロングコートに袖を通した。幅広い襟で首元まで覆う事ができるので、風雪にも耐えられる。
その代わりに女性物で緋色のコートに目が留まった。これを[#dc=2#]に薦めた際に「ボルカノさんと被るじゃないですか」と不満そうに口を尖らせていた。色が被ることを気にする必要は無いとも話したが、それ以前に丁度良いサイズが他に無かったようだ。毛織のコートにはフードも付属しており、縁に白いボアが縫い付けられている。案外それが気に入った様子でもあった。
この町で一泊し、予定通りに進めれば明日の日暮れ前にランスへ到着できる。聖王家を訪ね、書物の閲覧許可を求め、目当ての文献を探し出す。契約印を消す方法、そして送還術に繋がる方法を。探究によって導かれる術は必ずある。だが、正直気が重い。
解き明かせば明かすほど、一歩ずつ彼女との別れの道を歩む事となる。そうであるべきだ。そう理解している筈が、己自信はそれを望んでいない。
ヤーマスで召喚の契約印が刻まれている事が発覚した時、魔が差した。彼女をこの世界に繋ぎ留める為の楔があると気づいてしまった。あの契約印がある限り、彼女はこの世界から離れられない。幸か不幸か彼女はこの世界の暮らしを気に入っているようだ。それなら、引き留めても構わないのでは。
モウゼスに居た時よりも彼女への想いは強くなっていた。放っておけばやがて鎮火するなど浅はかな考えに過ぎない。後先を考えずにこの想いを打ち明ける事が出来ればどれ程良いか。
いっそこの想い燃え尽きるまで。その方が諦めもつくと考えもした。
出口の見えない迷宮に迷い込んだようだった。
資料を纏めようにもペンの滑りが悪い。手の中でペンを二度回してみても、一向に書き綴る気は起きない。
テーブルに付いた頬杖は次第に形を崩し、自身の身体がテーブルと平行になる。伏せた腕に顔を預け入れ、左手に包み込んだ召喚石の靄の動きを眺めていた。ゆったりと不規則なその生命の鼓動を見つめているうちに瞼が重くなり、訪れた睡魔に意識を預けていた。
この僅かな合間に夢を見ていた。外の景色を映した中に彼女が後ろ姿で佇んでいた。木漏れ日に揺れる髪が金糸の様な輝きを見せる。眩しさに目を細め、彼女に呼び掛けた。こちらへ振り向いた彼女の表情はよく窺えない。唯、唇が描いた言葉に焦燥感を駆られ、咄嗟の拍子に叫んでいた。
己自身の声量に驚いたのだろう。顔を上げた先で現実の彼女と目がはたと合う。彼女はブランケットを広げようとした手をそのままにして、不思議そうにこちらを見ていた。丸い目が二度瞬く。
「……流石に戻ってきたばかりなんで、出掛けませんけど」
「あ、ああ。……戻って来た、のか」
「何か追加の用事ありました?」
つい先刻の事だ。宿のチェックインを済ませた後、知らない町だからと彼女は意気揚々に外出。散歩がてらで構わない、瓦版を見かけたら購入してくれと頼んでいた。その時あからさまに嫌そうな表情をしたので理由を問えば「物の平均価値がまだ掴めない」と答える。何を今更と返したが、どうも彼女の暮らしていた世界と物価が大幅に違うらしい。思い返せば「宿屋が一人一オーラムとか意味が分からない」とヤーマスで零していた。これは悪徳商法の格好のカモになりかねない。正規の場所で買えば瓦版の値段は変わらない、この値段よりも大幅に高ければぼったくりだと伝えておいた。
どのくらい眠っていたのか。身体が冷え切っていない所をみれば二、三十分程度か。オレは追加の用事は無いと首を振り、先程の夢を思考から振り払った。
「暖炉があると言っても、寒いしそのままじゃ風邪引くと思って…ブランケット持ってきましたけど」
「いや、折角だが不要だ。……夢見が悪かった」
「うたた寝すると夢見って大体悪いですよね。私はよく金縛りに遭うんですよ。頑張って起きようと思っても全然力が入らないし、声も出せなくて結構怖いんですよね。あ、瓦版売ってたので買ってきましたよ」
彼女はブランケットをもう一つの椅子の背に手放し、二つ折りの瓦版をオレの手元に置いた。それから嬉々とした声と笑顔を浮かべる。
「そうそう、瓦版買った時に焼き菓子をオマケして貰ったんです!今お茶淹れてきますね」
そう言ってモウゼスの餞別で貰った茶葉の缶をトランクから取り出す。特別にブレンドした物だとメモ書きにあった。格別な味わいのそれを彼女は大事にしている。恐らくはこの紅茶に合いそうな焼き菓子なのだろう。だから召喚石もあの変化を見せた。
彼女は聞いたことのない歌を軽く口ずさみながら部屋を出ていった。
茶を淹れにいっている間、二つ折りの瓦版を広げて目を通す。両面刷りの紙一枚に記された情報量は少ない。地域によって差の出る瓦版だが、貴重な情報源に変わりはない。
広げた瓦版を眺めるも、文字が右から左へと抜けていくようだった。中途半端な睡眠を取ったせいで頭が働いていない。特に大きな事件や気に留める社会の動きは無い。瓦版の隅に天気予報が載っていた。明日、明後日はちらつく程度の雪が降るそうだ。
「それ、御守りなんですか?」
茶を淹れて戻って来た彼女の一言に顔を上げた。小さなトレイに陶器のティーポットとティーカップが二つ。皿とフォークも借りてきたようだ。
あれからずっと握りしめていたせいか、少し手が汗ばんでいる。それとも望まない夢を見たせいか。
慌てて隠すのも怪しまれるだけだ。短くそうだと答えれば「やっぱり」と彼女が柔らかく微笑む。夢の中に居た彼女の表情とそれが似ている気がして、胸が締め付けられる様な感覚に陥る。
「いつも大事そうに扱ってたし、そうなのかなーって。不思議な水晶ですね。炎が中でくるくる渦を巻いてるみたいで」
「……ああ、そうだな。…オレには到底理解出来ないような感情ばかりを見せてくる。それでも、オレにとっては…自分の命同等に大切なもの、掛け替えの無い存在だ」
羊皮紙と瓦版をテーブルの隅へ片付け、置かれたティーカップに手を伸ばす。柔らかい茶葉の香りに胸が満たされるようだった。彼女が淹れるお茶は他で飲むものよりも一段と芳しい香りを漂わせる。深い味わいもある。これは茶葉の種類や淹れ方に影響されたものじゃない。モウゼスに居た時から薄々勘付いてはいた。自分にとって彼女が淹れただけで特別な紅茶になっている事に。
「……オレは[#dc=2#]が淹れてくれた紅茶が好きだ。何処で飲むものよりも美味いと感じられる」
嘘偽りの無い言葉を口にすると、召喚石の中央部分に変化が現れた。橙色を纏う靄が色素を薄め、一度白い物へと変わる。その次の瞬間には淡いピンク色を纏っていた。
「普通に作法を守って淹れてるだけですけど、そう言ってもらえて嬉しいです」
はにかんだ彼女の表情とそれは一致。本当に裏表の無い女性だ。そんな所を含めて、全てが愛しいと感じている。彼女に対する想いが伝わればいいのに。そう考えてしまう辺り、どう足掻こうと自分の感情に嘘を付けそうになかった。
今すぐに決断を迫られている訳ではない。先延ばしにしても問題のない案件だろう。この町で見聞きした事を楽しそうに口にする彼女の話を聞きながら、今はそう思いたかった。
手の平に乗せた六角錘の水晶石が輝きを放っていた。中央部分の核を覆う靄は鮮やかな橙色。あれ以来安定した色調を示している。
先の戦いで欠けた部位は軽く研磨して滑らかに。そしてこれ以上傷を負わないように強化術を施した。壊れた金具は取り換えて新しいチェーンに通し、今も肌身離さず身に着けるようにしている。
召喚石が欠けた事により彼女の容態が悪化する様な兆しは幸いにも見られなかった。あの時は別の要因で倒れかけたが。核さえ傷がつかなければ問題は無いのかもしれない。それでも慎重に扱うべき代物である事には変わりない。
手帖に状態を記していた際、ふと召喚石が一際鮮やかに発色。何か嬉しいことでもあったのだろう。彼女の表情同様にこの石も様々な色を見せてくれる。見ていて飽きないのも同じだ。惹き付ける何かがこれにはある。
ある程度の感情や体調はこれで読めるが、複雑な心理状態までは探れない。
以前、人の心が読めるのかと尋ねてきた。それが出来ればここまで頭を悩ませる必要が無いというもの。
手帖を閉じ、丸めていた羊皮紙をテーブルへ広げ直す。召喚石はそのまま左手の中に収め、ペンを右手に取った。時間がある時には研究途中の資料を纏めていかなければならない。提出期限も刻々と迫っている。
ヤーマスを出てさらに北東へ進み、北部地方へ足を踏み入れた。吐息が白く曇る程度の寒さではあるが、これから先は更に寒風が吹き荒れることになる。その前に町へ立ち寄れたのが幸運だ。防寒具を身に着けずに雪道を進むのは厳しい。モウゼスを出たままの恰好では寒さに耐えきれないだろう。
町の小さな洋品店で見繕った防寒用のコート。自分自身のコートは残念ながらも気に入りの色を選べず、チャコールグレイの膝丈まであるロングコートに袖を通した。幅広い襟で首元まで覆う事ができるので、風雪にも耐えられる。
その代わりに女性物で緋色のコートに目が留まった。これを[#dc=2#]に薦めた際に「ボルカノさんと被るじゃないですか」と不満そうに口を尖らせていた。色が被ることを気にする必要は無いとも話したが、それ以前に丁度良いサイズが他に無かったようだ。毛織のコートにはフードも付属しており、縁に白いボアが縫い付けられている。案外それが気に入った様子でもあった。
この町で一泊し、予定通りに進めれば明日の日暮れ前にランスへ到着できる。聖王家を訪ね、書物の閲覧許可を求め、目当ての文献を探し出す。契約印を消す方法、そして送還術に繋がる方法を。探究によって導かれる術は必ずある。だが、正直気が重い。
解き明かせば明かすほど、一歩ずつ彼女との別れの道を歩む事となる。そうであるべきだ。そう理解している筈が、己自信はそれを望んでいない。
ヤーマスで召喚の契約印が刻まれている事が発覚した時、魔が差した。彼女をこの世界に繋ぎ留める為の楔があると気づいてしまった。あの契約印がある限り、彼女はこの世界から離れられない。幸か不幸か彼女はこの世界の暮らしを気に入っているようだ。それなら、引き留めても構わないのでは。
モウゼスに居た時よりも彼女への想いは強くなっていた。放っておけばやがて鎮火するなど浅はかな考えに過ぎない。後先を考えずにこの想いを打ち明ける事が出来ればどれ程良いか。
いっそこの想い燃え尽きるまで。その方が諦めもつくと考えもした。
出口の見えない迷宮に迷い込んだようだった。
資料を纏めようにもペンの滑りが悪い。手の中でペンを二度回してみても、一向に書き綴る気は起きない。
テーブルに付いた頬杖は次第に形を崩し、自身の身体がテーブルと平行になる。伏せた腕に顔を預け入れ、左手に包み込んだ召喚石の靄の動きを眺めていた。ゆったりと不規則なその生命の鼓動を見つめているうちに瞼が重くなり、訪れた睡魔に意識を預けていた。
この僅かな合間に夢を見ていた。外の景色を映した中に彼女が後ろ姿で佇んでいた。木漏れ日に揺れる髪が金糸の様な輝きを見せる。眩しさに目を細め、彼女に呼び掛けた。こちらへ振り向いた彼女の表情はよく窺えない。唯、唇が描いた言葉に焦燥感を駆られ、咄嗟の拍子に叫んでいた。
己自身の声量に驚いたのだろう。顔を上げた先で現実の彼女と目がはたと合う。彼女はブランケットを広げようとした手をそのままにして、不思議そうにこちらを見ていた。丸い目が二度瞬く。
「……流石に戻ってきたばかりなんで、出掛けませんけど」
「あ、ああ。……戻って来た、のか」
「何か追加の用事ありました?」
つい先刻の事だ。宿のチェックインを済ませた後、知らない町だからと彼女は意気揚々に外出。散歩がてらで構わない、瓦版を見かけたら購入してくれと頼んでいた。その時あからさまに嫌そうな表情をしたので理由を問えば「物の平均価値がまだ掴めない」と答える。何を今更と返したが、どうも彼女の暮らしていた世界と物価が大幅に違うらしい。思い返せば「宿屋が一人一オーラムとか意味が分からない」とヤーマスで零していた。これは悪徳商法の格好のカモになりかねない。正規の場所で買えば瓦版の値段は変わらない、この値段よりも大幅に高ければぼったくりだと伝えておいた。
どのくらい眠っていたのか。身体が冷え切っていない所をみれば二、三十分程度か。オレは追加の用事は無いと首を振り、先程の夢を思考から振り払った。
「暖炉があると言っても、寒いしそのままじゃ風邪引くと思って…ブランケット持ってきましたけど」
「いや、折角だが不要だ。……夢見が悪かった」
「うたた寝すると夢見って大体悪いですよね。私はよく金縛りに遭うんですよ。頑張って起きようと思っても全然力が入らないし、声も出せなくて結構怖いんですよね。あ、瓦版売ってたので買ってきましたよ」
彼女はブランケットをもう一つの椅子の背に手放し、二つ折りの瓦版をオレの手元に置いた。それから嬉々とした声と笑顔を浮かべる。
「そうそう、瓦版買った時に焼き菓子をオマケして貰ったんです!今お茶淹れてきますね」
そう言ってモウゼスの餞別で貰った茶葉の缶をトランクから取り出す。特別にブレンドした物だとメモ書きにあった。格別な味わいのそれを彼女は大事にしている。恐らくはこの紅茶に合いそうな焼き菓子なのだろう。だから召喚石もあの変化を見せた。
彼女は聞いたことのない歌を軽く口ずさみながら部屋を出ていった。
茶を淹れにいっている間、二つ折りの瓦版を広げて目を通す。両面刷りの紙一枚に記された情報量は少ない。地域によって差の出る瓦版だが、貴重な情報源に変わりはない。
広げた瓦版を眺めるも、文字が右から左へと抜けていくようだった。中途半端な睡眠を取ったせいで頭が働いていない。特に大きな事件や気に留める社会の動きは無い。瓦版の隅に天気予報が載っていた。明日、明後日はちらつく程度の雪が降るそうだ。
「それ、御守りなんですか?」
茶を淹れて戻って来た彼女の一言に顔を上げた。小さなトレイに陶器のティーポットとティーカップが二つ。皿とフォークも借りてきたようだ。
あれからずっと握りしめていたせいか、少し手が汗ばんでいる。それとも望まない夢を見たせいか。
慌てて隠すのも怪しまれるだけだ。短くそうだと答えれば「やっぱり」と彼女が柔らかく微笑む。夢の中に居た彼女の表情とそれが似ている気がして、胸が締め付けられる様な感覚に陥る。
「いつも大事そうに扱ってたし、そうなのかなーって。不思議な水晶ですね。炎が中でくるくる渦を巻いてるみたいで」
「……ああ、そうだな。…オレには到底理解出来ないような感情ばかりを見せてくる。それでも、オレにとっては…自分の命同等に大切なもの、掛け替えの無い存在だ」
羊皮紙と瓦版をテーブルの隅へ片付け、置かれたティーカップに手を伸ばす。柔らかい茶葉の香りに胸が満たされるようだった。彼女が淹れるお茶は他で飲むものよりも一段と芳しい香りを漂わせる。深い味わいもある。これは茶葉の種類や淹れ方に影響されたものじゃない。モウゼスに居た時から薄々勘付いてはいた。自分にとって彼女が淹れただけで特別な紅茶になっている事に。
「……オレは[#dc=2#]が淹れてくれた紅茶が好きだ。何処で飲むものよりも美味いと感じられる」
嘘偽りの無い言葉を口にすると、召喚石の中央部分に変化が現れた。橙色を纏う靄が色素を薄め、一度白い物へと変わる。その次の瞬間には淡いピンク色を纏っていた。
「普通に作法を守って淹れてるだけですけど、そう言ってもらえて嬉しいです」
はにかんだ彼女の表情とそれは一致。本当に裏表の無い女性だ。そんな所を含めて、全てが愛しいと感じている。彼女に対する想いが伝わればいいのに。そう考えてしまう辺り、どう足掻こうと自分の感情に嘘を付けそうになかった。
今すぐに決断を迫られている訳ではない。先延ばしにしても問題のない案件だろう。この町で見聞きした事を楽しそうに口にする彼女の話を聞きながら、今はそう思いたかった。