第二幕 其の方へ行くのならば
翌日から、海凪 は忙しかった。海 がここを気に入るよう、あれこれとやってやる。そして、凪砂 の事を好きになるよう、色々とセッティングするのだ。その間に、雑事をこなす。数百年振りに朝から晩まで動き続けていた。けれど、全ては凪砂の為なのだ。だからこそ、頑張れた。
まだまだ海の事は分からなかった。何が好きなのかすら、海凪は知らない。それとなく聞いてみるも、答えてはくれなかった。どうやら警戒されているようなのだ。だが、ここは凪砂との仲を深めてくれれば、それだけで良い。
朝十時。海はこの時間を過ぎなければ起きなかった。一体、陸でどんな生活を送っていたのだろう。
「おはようございます、海君」
顔を合わせるなり、海は嫌そうな顔をした。最初の印象が良くなかったのだろうなと、海凪は考える。凪砂とは今の所良好な関係を築けているらしい。態度が全く違った。この男は何もかも顔に出る。きっと、嘘がつけないタイプなのだろう。挨拶をするも、返してはくれなかった。軽く会釈をされるだけだ。
「朝食はどうします?一応、用意はしてありますが」
一応の部分を強調し、厭味ったらしく言ってみる。ここまで来たら、とことん嫌われよう。昨晩、そう決めていた。すると、やはり海は不愉快そうな表情へとなった。
「……一応、食ってやる」
同じように、返してきた。思わず笑ってしまいそうになる。だが、ここは堪えなくては。海凪はにこやかに笑った。
「では、いつもの場所で待っていてください。今、味噌汁を温め直してきます」
海の言葉は微塵も気にしていない。そんな態度で海凪は返すと、背を向け台所へと向かった。
味噌汁を温めながら海凪はぶつくさと考えていた。
――初対面でいきなりため口をきいてきて、こちらは目を瞑ってやったというのに。一つ気に入らない事があっただけで、あんな態度にまで出すなんて。まるで子供ですね。
あんな美少女と結婚できるのだ。普通なら喜んで受けるだろう。なのに、海ときたら一体なんなのだろう。だが、ここにいる限りは、凪砂と結婚するしか選択肢はないのだ。
――あの男の為に色々してやっているというのに、何が気に入らないんでしょうか。
何がいけないのか、海凪には全く分からなかった。考えても分からないのだ。なら、余計な事は考えない方がいい。
味噌汁をわざと熱々に温める。これで舌でも火傷してしまえば良いのだ。これ位の意地悪、許されるだろう。お盆に朝食を乗せ、初日に宴会場として使った部屋へと持っていく。
「なんか遅かったな」
開口一番そう言われる。腹は立ったが、決して表に出してはいけない。
「海君は熱々な方が好きかと思いまして。さあ、どうぞ食べてください」
目の前へと置いてやる。普段ならここで凪砂の所へ行くのだが、気が変わった。椅子を引くと、海凪は海の目の前へと座った。
まだまだ海の事は分からなかった。何が好きなのかすら、海凪は知らない。それとなく聞いてみるも、答えてはくれなかった。どうやら警戒されているようなのだ。だが、ここは凪砂との仲を深めてくれれば、それだけで良い。
朝十時。海はこの時間を過ぎなければ起きなかった。一体、陸でどんな生活を送っていたのだろう。
「おはようございます、海君」
顔を合わせるなり、海は嫌そうな顔をした。最初の印象が良くなかったのだろうなと、海凪は考える。凪砂とは今の所良好な関係を築けているらしい。態度が全く違った。この男は何もかも顔に出る。きっと、嘘がつけないタイプなのだろう。挨拶をするも、返してはくれなかった。軽く会釈をされるだけだ。
「朝食はどうします?一応、用意はしてありますが」
一応の部分を強調し、厭味ったらしく言ってみる。ここまで来たら、とことん嫌われよう。昨晩、そう決めていた。すると、やはり海は不愉快そうな表情へとなった。
「……一応、食ってやる」
同じように、返してきた。思わず笑ってしまいそうになる。だが、ここは堪えなくては。海凪はにこやかに笑った。
「では、いつもの場所で待っていてください。今、味噌汁を温め直してきます」
海の言葉は微塵も気にしていない。そんな態度で海凪は返すと、背を向け台所へと向かった。
味噌汁を温めながら海凪はぶつくさと考えていた。
――初対面でいきなりため口をきいてきて、こちらは目を瞑ってやったというのに。一つ気に入らない事があっただけで、あんな態度にまで出すなんて。まるで子供ですね。
あんな美少女と結婚できるのだ。普通なら喜んで受けるだろう。なのに、海ときたら一体なんなのだろう。だが、ここにいる限りは、凪砂と結婚するしか選択肢はないのだ。
――あの男の為に色々してやっているというのに、何が気に入らないんでしょうか。
何がいけないのか、海凪には全く分からなかった。考えても分からないのだ。なら、余計な事は考えない方がいい。
味噌汁をわざと熱々に温める。これで舌でも火傷してしまえば良いのだ。これ位の意地悪、許されるだろう。お盆に朝食を乗せ、初日に宴会場として使った部屋へと持っていく。
「なんか遅かったな」
開口一番そう言われる。腹は立ったが、決して表に出してはいけない。
「海君は熱々な方が好きかと思いまして。さあ、どうぞ食べてください」
目の前へと置いてやる。普段ならここで凪砂の所へ行くのだが、気が変わった。椅子を引くと、海凪は海の目の前へと座った。
