水底の式
閉幕
「大丈夫ですか?」
人の声がし、
「……はい。あの、この島で一番偉い人の家は、どこですか?そこへ、行かないといけないんです」
陸に戻ってしまったのなら仕方ない。海凪は言われた事を思い出し、女性へ問いかけた。
「あー……。それって、私の家かも。立てますか?無理そうなら人を呼んできますけど」
「一人で立てます」
立ち上がってみせる。すると、女性はほっとしたようであった。
「案内しますね」
そう言われ、海凪は女性と共に歩き出した。
あれから、一年が経った。陸での生活は、ひどく退屈だった。もう一度、凪砂に会いたい。そう願いながら、毎日海辺へと足を運んだ。その度に、助けてくれた女性も一緒について来てくれる。
海凪には、作戦があった。きっと、海凪がやっていたように、
だが、海凪は知らなかったのだ。現代に贄を捧げる儀式がとうの昔に廃止された事を。
「凪砂……。そちらへ戻れたら、今度こそあなたを――」
一度、風が強く吹いた。それだけ残すと、海凪は女性と共に家へと戻っていった。
3/3ページ
