第三幕 悠久の終焉
その日の夕飯時から、凪砂 は食卓に必ず酒を用意していた。海凪 はそれを不思議に思うも、凪砂の好意を無下には出来ず、酔いが回るまで飲まされた。
――何か企んでいるんですかね。
そうは思うも、断れない。これが海 からされていたら、要らないとはっきり言えるのに。海凪はそう思い、なんとなく海を睨んだ。何故か笑われる。それが、ひどく苛ついた。酔っていたからか、上手く表情を取り繕えない。なるべくゆっくり立ち上がった。
「……すみません、少し部屋で休みます」
「片付けはやっとくね、お兄ちゃん」
「ありがとうございます」
そう言うと、海凪は部屋へと戻っていく。そんな海凪を、二人は笑って見送った。
部屋へと着くと、海凪はすぐさま横になる。何か悪い予感がするも、上手く思考が巡らない。今日はもう眠ってしまおう。
――最近、ずっとこうですね。
おかしいとは思っていた。でも、今は何も考えたくない。海凪は目を閉じた。
翌朝、また寝坊をしてしまった。時計を見る。時刻はお昼時であった。海凪は急いで部屋から出る。ちょうど誰か来ていたのか、凪砂と海は片づけをしている最中だった。
――しまった……。
きっと海の神が来ていたのだ。土産がたんまりと置いてあった。
「あ、おはよう、お兄ちゃん。ゆっくり休めた?」
「……来ていたの、ですか?」
「うん。さっきまでここで海と三人でお話してたの」
「そう、ですか」
完全にしくじってしまった。顔に出ないよう、海凪は落胆する。次に来るのは、また一月後だろう。それまでに、なんとか凪砂からの酒攻撃を交わす術を編み出すしかない。
「ご飯食べる?」
「いえ、あまり調子が良くないので、やめておきます」
「……大丈夫?」
心配げに海凪を見上げてくる。そんな凪砂を安心させるために、頭を優しく撫でてやった。
「大丈夫です。一旦、部屋へ戻りますね」
「うん。……無理、しないでね」
「はい」
それだけ返すと、海凪は自室へと戻った。
ベッドへと腰掛け、考え始める。
「もしかして、今日私が起きないように毎晩飲ませていた……。というのは、考えすぎですよね」
凪砂がそんな事をする訳がない。した所で、なんのメリットもないのだ。だから、気のせいだと思うようにした。きっと、海が指示しているに決まっている。酔わせて痴態を晒してやろうとでも思っているのだろう。
乾いた笑いが漏れた。実に、浅はかな事だ。
――式を挙げた日は飲み過ぎましたが、恐らく大丈夫でしょう。
何も言ってこなかったのだ。だから、ぐっすり眠ってしまっただけだろう。しかし、これから一か月、海とも同じ空間で引き続き過ごさないといけない。それだけが、ひどく嫌だった。
――何か企んでいるんですかね。
そうは思うも、断れない。これが
「……すみません、少し部屋で休みます」
「片付けはやっとくね、お兄ちゃん」
「ありがとうございます」
そう言うと、海凪は部屋へと戻っていく。そんな海凪を、二人は笑って見送った。
部屋へと着くと、海凪はすぐさま横になる。何か悪い予感がするも、上手く思考が巡らない。今日はもう眠ってしまおう。
――最近、ずっとこうですね。
おかしいとは思っていた。でも、今は何も考えたくない。海凪は目を閉じた。
翌朝、また寝坊をしてしまった。時計を見る。時刻はお昼時であった。海凪は急いで部屋から出る。ちょうど誰か来ていたのか、凪砂と海は片づけをしている最中だった。
――しまった……。
きっと海の神が来ていたのだ。土産がたんまりと置いてあった。
「あ、おはよう、お兄ちゃん。ゆっくり休めた?」
「……来ていたの、ですか?」
「うん。さっきまでここで海と三人でお話してたの」
「そう、ですか」
完全にしくじってしまった。顔に出ないよう、海凪は落胆する。次に来るのは、また一月後だろう。それまでに、なんとか凪砂からの酒攻撃を交わす術を編み出すしかない。
「ご飯食べる?」
「いえ、あまり調子が良くないので、やめておきます」
「……大丈夫?」
心配げに海凪を見上げてくる。そんな凪砂を安心させるために、頭を優しく撫でてやった。
「大丈夫です。一旦、部屋へ戻りますね」
「うん。……無理、しないでね」
「はい」
それだけ返すと、海凪は自室へと戻った。
ベッドへと腰掛け、考え始める。
「もしかして、今日私が起きないように毎晩飲ませていた……。というのは、考えすぎですよね」
凪砂がそんな事をする訳がない。した所で、なんのメリットもないのだ。だから、気のせいだと思うようにした。きっと、海が指示しているに決まっている。酔わせて痴態を晒してやろうとでも思っているのだろう。
乾いた笑いが漏れた。実に、浅はかな事だ。
――式を挙げた日は飲み過ぎましたが、恐らく大丈夫でしょう。
何も言ってこなかったのだ。だから、ぐっすり眠ってしまっただけだろう。しかし、これから一か月、海とも同じ空間で引き続き過ごさないといけない。それだけが、ひどく嫌だった。
