第二幕 其の方へ行くのならば
厳かな式が始まった。海凪 はそれっぽくなるよう、二人を上座に座らせ、清めのお祓いっぽい事をした。次に、神へ結婚報告をし、ずっと幸せでいられるように祈る。指輪は無かったので、小指で契りを交わしてもらった。
――早く終わらせたいですね。
こんな茶番を長い時間をかけてやらなければならない。酷くつまらなかった。だが、凪砂 が幸せそうな顔をしている。それだけで、やって良かったと海凪は思った。海 を見てみると、凪砂同様顔を緩ませていた。
一応全ての工程を終え、三人はいつもの机を囲んだ。二人にはジュースを与え、自分は酒を持つ。
静かに食事が始まった。凪砂と海は隣合って座り、凪砂の前に海凪は座っていた。二人は時折視線を交わすと、微笑みあっていた。
「……本当に、めでたいですね」
ぽつりと言う。その言葉に、二人は頷いた。
「ありがとう、お兄ちゃん」
「いえ、凪砂が幸せそうで、本当に嬉しいです」
優しく笑いかける。それに凪砂も笑い返してくれた。また一口、酒を含んだ。久しぶりに飲んだからか、既にふわふわとした気持ちになっていた。
「海君、凪砂の事を大事にしてくださいね……。ふふっ」
「海凪、酒もっと飲む?」
「ええ、そうしましょうか」
海に酒を注いでもらう。本当に、気分が良かった。ゆっくりと飲んでいると、二人は何かあるのか席を外した。一人になり、海凪は急に寂しくなる。
「凪砂……。ずっと一緒にいられたら、良いのに」
思わず涙ぐんでしまう。そんな時、用事が終わったのか二人が戻ってきた。空になったコップを見て、凪砂が酒を注いでくれる。それがとても嬉しく、海凪は一気に飲んだ。
「なあ、海凪。俺、あんたの事嫌いって言ったけど、今はそうでもねえ」
「それは嬉しいです」
にこりと笑う。今なら何でも言ってしまいそうだった。海凪は気をつけようと思いながら、二人と会話を楽しんだ。
それから数時間。海凪は酔いが回りすぎて今にも眠りそうだった。眠る間際、何か大事な事を言ったような気もしたが、それどころではない。ゆっくりと瞼を下ろし、海凪は机に突っ伏した。
二人は眠ってしまった海凪を冷たい目で見ていた。海凪を酔っ払わせ、色々と話してもらう作戦が見事成功した。何か企んでいるのは薄々と分かっていたのだ。しかし、二人をくっつけた後、それを引き裂こうとしていたとは思いもしなかった。凪砂はとてもショックを受けた様子だった。海はその場で怒りそうになるのを必死に堪えた。
「なあ、凪砂。俺、凪砂とならずっとここにいても良い。だから……」
「……うん。寂しいけど、お兄ちゃんとはお別れする。来週、ここにある人が来るの。その時、お兄ちゃんよりも先に話をつけにいこう」
「本当に、良いんだな?」
海は凪砂の目をじっと見た。凪砂も、海の目を見て頷いた。
きっと、この閉じた世界にいるからいけないのだ。海凪には外の世界へ行って自由になって欲しい。凪砂はそう思い、海と部屋から出て行った。
――早く終わらせたいですね。
こんな茶番を長い時間をかけてやらなければならない。酷くつまらなかった。だが、
一応全ての工程を終え、三人はいつもの机を囲んだ。二人にはジュースを与え、自分は酒を持つ。
静かに食事が始まった。凪砂と海は隣合って座り、凪砂の前に海凪は座っていた。二人は時折視線を交わすと、微笑みあっていた。
「……本当に、めでたいですね」
ぽつりと言う。その言葉に、二人は頷いた。
「ありがとう、お兄ちゃん」
「いえ、凪砂が幸せそうで、本当に嬉しいです」
優しく笑いかける。それに凪砂も笑い返してくれた。また一口、酒を含んだ。久しぶりに飲んだからか、既にふわふわとした気持ちになっていた。
「海君、凪砂の事を大事にしてくださいね……。ふふっ」
「海凪、酒もっと飲む?」
「ええ、そうしましょうか」
海に酒を注いでもらう。本当に、気分が良かった。ゆっくりと飲んでいると、二人は何かあるのか席を外した。一人になり、海凪は急に寂しくなる。
「凪砂……。ずっと一緒にいられたら、良いのに」
思わず涙ぐんでしまう。そんな時、用事が終わったのか二人が戻ってきた。空になったコップを見て、凪砂が酒を注いでくれる。それがとても嬉しく、海凪は一気に飲んだ。
「なあ、海凪。俺、あんたの事嫌いって言ったけど、今はそうでもねえ」
「それは嬉しいです」
にこりと笑う。今なら何でも言ってしまいそうだった。海凪は気をつけようと思いながら、二人と会話を楽しんだ。
それから数時間。海凪は酔いが回りすぎて今にも眠りそうだった。眠る間際、何か大事な事を言ったような気もしたが、それどころではない。ゆっくりと瞼を下ろし、海凪は机に突っ伏した。
二人は眠ってしまった海凪を冷たい目で見ていた。海凪を酔っ払わせ、色々と話してもらう作戦が見事成功した。何か企んでいるのは薄々と分かっていたのだ。しかし、二人をくっつけた後、それを引き裂こうとしていたとは思いもしなかった。凪砂はとてもショックを受けた様子だった。海はその場で怒りそうになるのを必死に堪えた。
「なあ、凪砂。俺、凪砂とならずっとここにいても良い。だから……」
「……うん。寂しいけど、お兄ちゃんとはお別れする。来週、ここにある人が来るの。その時、お兄ちゃんよりも先に話をつけにいこう」
「本当に、良いんだな?」
海は凪砂の目をじっと見た。凪砂も、海の目を見て頷いた。
きっと、この閉じた世界にいるからいけないのだ。海凪には外の世界へ行って自由になって欲しい。凪砂はそう思い、海と部屋から出て行った。
