第二幕 其の方へ行くのならば
翌朝、海凪 は早く起きた。今日は二人の式を挙げるのだ。よりによりをかけた料理を作らねばならない。海 の好物が分からないままだったので、凪砂 の好物だけを用意するつもりだ。ついでに、海が嫌そうな顔をして食べていたものも入れてやろう。お酒は、自分用に少しだけ用意する。凪砂は数百年ここにいるが、少女のまま時間が止まってしまったのだ。それに、海も凪砂と同じくらいの歳だ。飲ませる訳にはいかない。
婚儀をどう進めるのかいまいち分かっていなかった。それっぽ雰囲気を出せば良い。凪砂は勿論知らないだろうし、海はここでのやり方がこうなんだと思うだろう。だから、問題はない。
料理が出来たので、海凪は凪砂の所へ行った。既に起きているようであった。化粧は済ませている。
「おはようございます、凪砂」
「おはよう、お兄ちゃん。ねえ、これでおかしくない?」
「とても綺麗ですよ」
そう言うと、凪砂はどこか嬉しそうにしていた。その顔を見ただけで、海凪は幸せだった。事前に着る服を言っていたからか、着替えも完璧だ。白い着物が良く似合う。リボンも同じ色のものをつけていた。
「さあ、行きましょうか」
凪砂へ手を差し伸べる。式場の部屋まで、手を引いていこうと思っていた。凪砂は素直に手を取ると、二人仲良く手を繋いで歩く。
「こうやって手繋ぐの、久しぶりだね」
「ええ、そうですね。ここに来た頃は、よくこうしてましたね。一人になるのが怖いと言っていた頃が懐かしいです」
「それは、もう忘れて」
「ずっと、覚えていますよ」
大切な妹の事だ。全部覚えている。初めて名前を呼んでくれた日。初潮を迎え、着物を真っ赤に染めていた日。他にも、数えきれないほど、凪砂の事は記憶していた。本人に言ったら気味悪がられるかもしれない。だが、それだけ大切なのだ。だからこそ、今日という日を迎えられて嬉しかった。
曲がり角まで来たところで、海と会った。普段は十時を回らないと起きないのに、今日はちゃんと起きていた。着替えも済ませているようだ。凪砂を視界に入れた瞬間、海は声が出なかった。普段から美しいのに、今日は一段と綺麗なのだ。思った通りの反応に、海凪は笑った。
「おはようございます、海君。凪砂、綺麗ですよね」
「あ、ああ」
挨拶はせず、それだけを言う。完全に惚けていた。じっと見られているからか、凪砂はどこを見れば良いのかわからないようだった。初心な二人が可愛らしい。
「早く、行きましょうか」
二人は頷いた。ここからは自分の手ではなく、海と手を繋いでもらった方が良いだろう。そう思い、海凪は手を離した。
自然と二人は横に並んだ。手を繋ぐか迷っているようでもあった。だが、遠慮がちに凪砂は手に触れると、そのまま握った。海凪はそれを見て、また笑った。
婚儀をどう進めるのかいまいち分かっていなかった。それっぽ雰囲気を出せば良い。凪砂は勿論知らないだろうし、海はここでのやり方がこうなんだと思うだろう。だから、問題はない。
料理が出来たので、海凪は凪砂の所へ行った。既に起きているようであった。化粧は済ませている。
「おはようございます、凪砂」
「おはよう、お兄ちゃん。ねえ、これでおかしくない?」
「とても綺麗ですよ」
そう言うと、凪砂はどこか嬉しそうにしていた。その顔を見ただけで、海凪は幸せだった。事前に着る服を言っていたからか、着替えも完璧だ。白い着物が良く似合う。リボンも同じ色のものをつけていた。
「さあ、行きましょうか」
凪砂へ手を差し伸べる。式場の部屋まで、手を引いていこうと思っていた。凪砂は素直に手を取ると、二人仲良く手を繋いで歩く。
「こうやって手繋ぐの、久しぶりだね」
「ええ、そうですね。ここに来た頃は、よくこうしてましたね。一人になるのが怖いと言っていた頃が懐かしいです」
「それは、もう忘れて」
「ずっと、覚えていますよ」
大切な妹の事だ。全部覚えている。初めて名前を呼んでくれた日。初潮を迎え、着物を真っ赤に染めていた日。他にも、数えきれないほど、凪砂の事は記憶していた。本人に言ったら気味悪がられるかもしれない。だが、それだけ大切なのだ。だからこそ、今日という日を迎えられて嬉しかった。
曲がり角まで来たところで、海と会った。普段は十時を回らないと起きないのに、今日はちゃんと起きていた。着替えも済ませているようだ。凪砂を視界に入れた瞬間、海は声が出なかった。普段から美しいのに、今日は一段と綺麗なのだ。思った通りの反応に、海凪は笑った。
「おはようございます、海君。凪砂、綺麗ですよね」
「あ、ああ」
挨拶はせず、それだけを言う。完全に惚けていた。じっと見られているからか、凪砂はどこを見れば良いのかわからないようだった。初心な二人が可愛らしい。
「早く、行きましょうか」
二人は頷いた。ここからは自分の手ではなく、海と手を繋いでもらった方が良いだろう。そう思い、海凪は手を離した。
自然と二人は横に並んだ。手を繋ぐか迷っているようでもあった。だが、遠慮がちに凪砂は手に触れると、そのまま握った。海凪はそれを見て、また笑った。
