#06 誰も知らないあなたの顔
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つけている両足さえふらつきそうな感覚に襲われ、思わず動きが鈍る。
室内を駆けていく足音と抜けていった風に舌を打ち、体が動くのに任せる。
「コウ!」
構えたドミネーターの先に見えていた男の背が揺らぎ、またノイズ。
「――っ」
「どっ、どうすれば!?」
「コウ!!」
呼びかけに応えて、ポケットのライターを放る。
『ちょっ……!?』
「わあっ」
赤い炎が室内を乱暴に吹き荒れ、スプリンクラーが作動する。
時ならぬ雨に叩かれる頭をかばいながら堪えた数瞬の後、拓ける視界。
こちらを見て棒立ちのその姿に、狙点を定める。
<犯罪係数、335。リーサル・エリミネーター。>
その光の奔った先で飛んだ血飛沫に、目を細め、駆け出す。
「――っ」
押し開いた非常階段の下に目をやるが、すでにその姿はなく、夥しい血痕とその鉄臭さのみが残っている。
「痛覚遮断ドラッグか…」
「あの怪我なら逃げ切れない。後は宜野座達に任せよう。」
言いながら振り返ったそこには、それぞれ全く違う表情でこちらを見上げる二人の飼い主。
頭からつま先まで濡れ鼠なその様に思わず、口元が緩んだ。