#06 誰も知らないあなたの顔
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「じゃあお前の落ち度はどこにある。」
「それは……でも、現に彼女は……」
反論しかけたその声がまた、落ちていく。
「ああ。夕べの時点で犯人を捕まえていたら、菅原昭子は死なずに済んだ。俺達全員の落ち度だ。」
それを引き上げることはせず、止めるだけの言葉。
「今はただ責任を果たすことだけを考えろ。犯人を追うぞ。」
背を預けていた壁から身を起こし、光の射しこむ出口へと向かう。
腹ただしいほど、眩しい世界へ。
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「また一件妙なのがみつかったよ~。」
操作された画面に、学校の教室内を模したフィールドと、そこの主が映し出される。
「メランコリア・レイニーブルー、82歳のじーさんの物だったけど聞けば、孫に頼み込まれて名義だけ貸してたみたい。んでこの孫が、実は半年前に事故死してるんだって。」
表示された顔写真と、検視報告書。
「時任雄一君、14歳。ところが彼のメランコリアは彼の死後も活動を続けてる。祖父はソーシャルネットのアクセス方法すらわからず、アフィリエイトの入金も年金と勘違いしていた有様だった。」
「レイニーブルーもすごい大手です。」
「増える増える、幽霊アバター。」
「別々のアバターを、同時に幾つも操るなんて可能なのか?」
「ヘビーユーザーなら、珍しいことじゃないわよねえ?」
力ない笑みを浮かべて頷いた朱ちゃんが眉を下げて、口を開く。
「むしろ異常なのは、この犯人の演技力です。乗っ取られたアバター…どれも怪しまれるどころか、却って本物だった頃よりも人気者になってるんですよ。」
耳に蘇った征陸さんの言葉に、形にならない思考を、合わせた。