#06 誰も知らないあなたの顔
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<どうした。>
「また一人害者が出た。」
いつも通り不機嫌そうな顔が、自分の言葉によってさらにその色を濃くする。
「例のスプーキーブーギーだ。」
風呂場の排水溝に群がる小型ドローンを見やり、視線を戻す。
「常守監視官の同期生を、さらにアフィリエイト収入で絞り込んで突き止めた。――菅原昭子、20歳。現場の自宅は葉山の時と全く一緒だ…下水管から遺体の断片、なのにアバターだけがネットをうろつき回ってる。」
廊下の向こうに佇む、俯けられた横顔に目を細め、続ける。
「死亡推定時刻は今日未明。昨日のエグゾゼの出入りの後殺られたな。」
<……戻って唐之杜と捜査の方針を立て直す。このままじゃ、奴の掌で踊らされるだけだ。>
苦々しげな台詞に同意を示して通信を終え、ゴシック調に飾り立てられた部屋へと戻る。
鏡台の前の椅子に視線を固定した常守の目はしかし、何処をも見ていない。
「私のせいで、彼女を巻き込んでしまって…」
「お譲ちゃん。」
「私が悪いんです。私のせいで……」
言い切られた言葉に、鏡の中のその姿を見つめる。
「お前はスプーキーブーギーを、菅原昭子を囮にしたのか?」
「いえ。」
「協力を強制した?」
「いえ…。」
「彼女の情報を敵に漏らした?」
「…いいえ。」
どんどん小さくなっていく声と下げられていく視線に、息を吐いた。