#01 犯罪係数
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遠ざかっていく背中をしばし見送り、我に返る。
「ええっとあのう…どうすれば?」
「アンタが待機を命令してくれれば、それで何の問題もないんだが?」
あまりに自然な物言いに呆然と、そして唖然として、自分より遥かに年上の男性の顔を、見返す。
「給料泥棒は止めときな、とっつあん。」
装備運搬ドローンの前まで歩いてきたもう一人の人が、無造作とも言える手つきでそこに収められていたものを取り出す。
「まあそう緊張しなさんな、お嬢さん。ドミネーターの扱いは分かるよな?」
「いっ、一応研修は…!」
言い訳のように応え、見るからに暴力的な形状をした仕事道具を、見下ろした。
「こいつぁ、狙った相手のサイコパスを読み取る銃だ。相手が潜在犯だった場合のみセーフティが解除される。全部ドミネーターの言いなりになって、撃てと言われた相手を撃ちゃあいい。」
「う、撃てばいいって…「基本モードならパラライザーだ。撃たれても動けなくなるだけだから、それで身柄確保して一件落着。なぁに、難しく考えるこたぁない。」
ちっとも落着の描けない説明に戸惑いつつ、両手を伸ばす。
<携帯型心理診断鎮圧執行システムドミネーター、起動しました。ユーザー認証……>
投影される自分の情報と、流れるような音声に瞬きもできず、見つめる。
「ああ、それな。指向性音声だから握ってるアンタにしか聞こえんよ。気にするな、最初は小煩いだろうがその内慣れる。」
「ブリーフィングは…段取りの打ち合わせとか……しないんでしょうか…?」
極めて常識的な疑問を口にしているつもりなのだが、こちらを見下ろす二人の視線に語尾が小さくなる。
「俺達が獲物を狩り、アンタが見届ける…それだけのことだ。」
「い、いや…もうちょっと具体的に……」
「まあ任せとけってことだ。俺達もこう見えて専門家だからな。」
「俺達には俺達の流儀がある。だがその責任を負うのは、監視官であるアンタだ。だから俺のやり口が気に入らない時は」
途切れた低音に、知らず眉根が寄った。
「そいつで俺を撃て。」