#06 誰も知らないあなたの顔
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「ギノ、犯罪者の心理を理解しようとするな。飲み込まれるぞ。」
僅かの沈黙の後、鼻で笑う音が響く。
「それは貴様自身に対する戒めか、狡噛?」
嘲笑に、同じように唇を歪める。
「おい…」
「奴は愉快犯だとしても馬鹿じゃない。自分に嫌疑がかかると予測していた。会場全員のホロコスをクラッキングするなんて、事前の準備がなけりゃ無理な相談だ。」
それにあのタイミング。
こちらがいざ仕掛けようという時を読んだかのようだった。
こちらの要員かもしくはドローンを確認していたのか。
しかしだとすれば何故そんな処に馬鹿正直に出てきた?
余程律儀なのか、逃げ切る絶対の自信があったのか。
何の物理的援護も期待できない、自身のクラッキング技術と予想される現場の混乱だけを頼りに?
「こちらを舐めてかかっているなら、思い知らせてやるまでだ。唐之杜、タリスマンのアクセスルートを追跡しろ。今度こそ身元を突き止めて抑える。」
その言葉に彷徨いかけていた思考を引き戻して口を開きかけた時、『はーい』と間延びした声と共に手があがる。
『向こうは逆探知対策にめちゃくちゃ自信あるみたいじゃないですかー、あんなことあったのにこんな普通に通常営業してるしー。』
佐々山を見たギノの顔に苛立ちと、ほんの僅かな困惑を滲ませた表情が、覗く。
「…かと言ってここで手を拱いて何になる?」
『別のやり方で向こうの仮面に手がかけられるかもしれません。』
視線を向けられた常守が、きょとんと瞳を、瞬いた。