#06 誰も知らないあなたの顔
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「……ちゃん………光ちゃん。」
漂っていた思考を引き戻され、隣を見やる。
『あ、ごめ……』
「タリスマンサルーンは相変わらず千客万来。葉山公彦の幽霊は今日ものうのうと人生相談に大忙し、と。」
映し出されたコミュフィールドの映像は何度見ても、感心してしまう。
作り込まれた世界は細部まで徹底されていて、わざわざ大仰なディスプレイをコネクトしてまでそこへ飛ぶ人達の気持ちもまあ、理解できなくはない。
「逃げも隠れもしないどころか…クラブ・エグゾゼの件、ネタにしてる有様ですよ。」
「そもそもコイツは何がしたいんだ?」
心底分からないといった感じの声を振り仰げば、元々色の白い顔に画面の光が反射してさらに顔色の悪く見える宜野座さん。
この人は多分、あまり運動神経が良くなさそうだなとまた、思考が流れがちになる。
「葉山公彦を生きているように見せかけるのが目的なのか?」
「だったら、銀行口座や外出記録を二ヶ月放っておくわけがないでしょう?」
『やっぱりアバターを乗っ取るのだけが目的なんですかね?』
「愉快犯と考えれば有り得るが…そのために殺人まで犯すか?」
『さあ……でもまあ、そういう人もいるんじゃないですか?』
『たまには』と付け加えると、また睨まれる。
ただ問いに応えて意見を言っただけなのに。
知らず同じように眉を寄せながら、ああ、と理解する。
この人は私の思考方そのものが、気に入らないのか。