#05 誰も知らないあなたの仮面
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「佐々山っ」
暗闇を見つめるその背は、動かない。
駆け寄って、無理矢理に振り返らせた顔に浮かぶ表情に覚えた感情に
――佐々山
紛れも無い恐怖に堪らず、手を、伸ばした。
華奢な肩から伝わる確かな温度に息を吐き、こちらを見上げる大きな瞳を、見下ろす。
『狡噛さん』
そこに映る自分があまりに、苦しそうで
『大丈夫ですか……?』
見ていられなくて。
『……狡噛さん……?』
手の甲をくすぐる柔らかな髪に、顔を伏せる。
拒絶するように胸にあてられていた手からややあって力が抜け、落ちる。
それでもそこに在る隙間を埋めようとしなかったのが何故なのかは、分からない。
もしかしたらそこには、理由なんかなかったのかもしれない。
ただ確かなのは、行き交うお互いの吐息が聞こえること
それから
それから
自分の声にならない呼びかけに応える、微かな声が、聴こえたこと。
ただ、それだけだった。
――もしもあの時埋めなかった隙間に、もしも、俺が、触れていたなら。何かが、変わっていたのだろうか――
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