#05 誰も知らないあなたの仮面
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「表はギノ達が、裏はドローンが固めている。」
「後は奴が現れるのを待つだけだ。」という声を聞きながら店内を覗き込んで見て、唖然とする。
「しかしこいつぁ…当世風の仮面舞踏会って趣か?」
『これじゃ誰がいい男か、全然わかりませんねー。』
「おいおい、本当にこんなトコに出入りしてるのかあ?」
征陸さんにだけは誤解されたくないので、いい子に見える角度で見上げつつ笑いかける。
『まさか。』
その顔にほっとしたような笑みが浮かぶのを確認して顔を戻す。
嘘ではない。
"この店"に来たことはない。
「誰が誰だかわからない状況でこんな狭い場所に押し込められて…コイツらは不安じゃないのか。」
すぐ上から降ってきた掠れ気味の声と煙草の匂いに、顔を顰める。
「匿名性を怖がってたら、ソーシャルネットなんてできませんよ。」
「これはバーチャルじゃない。殴れば血が出るし、ナイフ一つで命を奪えるリアルな空間だ。なのに隣にいる奴の招待すら分からない。正気の沙汰とは思えんな。」
有害物質を毎日毎日ああも吸い続けるのも、正気の沙汰とは思えないけれど。
「そんな考え方してるから、サイコパスが濁るんですよぉー…あ、ごめんなさいそんなつもりじゃっ」
「いや、全くの正論だ。」
小さく笑った狡噛さんから離れながら、口を開く。
『お出ましみたいです。』