#05 誰も知らないあなたの仮面
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「で、一体何事だ。」
未だ頭の中で鳴り響くルパンを無視し、口を開く。
「ホームセキュリティの一斉点検で、この部屋のトイレが二ヶ月前から故障していたことがわかった…なのに住人からの苦情が一切無い。それで管理会社が不審に思い通報してきたんだそうだ。」
佐々山がリングを起動させながら、ソファの背に腰を預ける。
『葉山公彦、32歳独身。無職。……無職。』
「無職って、いるんだ今時そんな人?」
傍らからそれを覗き込んだ常守が、目を丸くする。
「口座を洗ってみたが、コイツはアフィリティサービスのプロバイダから多額の報酬を受け取っている。暮らしには何一つ不自由なかっただろう。」
「へええ。ネットの人気者ってだけでがっぽり稼げるんなら、そりゃ外に出て働くのも馬鹿らしくなるわなぁ。」
こちらを向いた縢が唇を歪めて笑い、またパソコンのチェック作業に戻っていく。
「どこかで長期の旅行中とか。」
「……ないな。部屋の外に出れば、街頭のスキャナに記録が残る。この街で何の痕跡も残さず遠出をするのは、至難の技だ。そもそも口座からの引き出しも、二ヶ月間途絶えている。」
『死んでんじゃないですか?』
あっさりとそう口にした佐々山を、見返す。
「だろうな。」
「だね。殺される方が消えるより簡単。」
「結論を出すのが早いぞ。」
『……すみません。』