#05 誰も知らないあなたの仮面
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「狡噛のことが聞きたいのかい?」
その手の止まることがないのに肩の力を抜き、口元を緩める。
「わかりますか?」
「あんたぁ、アイツと妙に縁があるからなあ。」
「あの人にどう接していいのか未だに分からないんです。もっと理解しろって言う人もいますし、同じ人間だと思うなと言われたこともあります。」
公平に、言われたままに口にしてみたものの、やはり後者は少し、おかしいと思う。
「そっちは宜野座監視官の台詞だな、アイツらしい。」
嘲笑を含んでもどこまでも、静かな口調。
「犬は犬、飼い主は飼い主。その一線を踏み越えない関係、それがお譲ちゃんにとって一番だと思うねぇ。」
だからこそその言葉を、こんな風に待つ自分がいる。
「狡噛を理解するってのはな、狡噛のように物を見て、狡噛のように考えるってことだ。それができるようになったとしたら、その時あんたのサイコパスは狡噛と同じ数字を叩き出してることだろうよ。」
誰かを、理解する。
それは本当にそんなに、こんなに難しいことなんだろうか。
「深淵を覗く時、深淵も又こちらを覗いている。狡噛はな、闇を見つめすぎたんだ…そして今でもまだ、見つめ続けてる。アイツにとって世界でたった一つの正義ってやつぁ、その闇の奥底にしかないんだろう。」
初めて鈍った筆先の動きに、目を留める。
「もしそんなものを、お譲ちゃんも奴と一緒に探したいと思っているのなら、俺にはもう何も言えない。俺はあんたを止められないよ……コウの時もそうだった。」
「それって…」
呼び出し音が高い天井に響き、目を落とす。
「事件かい?」
悩むのはまた、後回しになりそうだ。