#04 たまには色相の曇らない24時
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『はい?』
意味不明の謝罪に瞬くと、狡噛さんが気まずげにあらぬ方を向く。
片手をポケットに突っ込んだまま頭を掻くその表情がなんとなく年に似合わず幼く見えて、密かに笑いながらもう一度尋ねる。
『お砂糖とかミルクとかって、入れます?』
「いや、いい。」
端的過ぎる応答に思わず我慢できず、吹き出してしまう。
「…なんだ…?」
きょとんと不思議そうにこちらを見つめるのに、さらに、煽られる。
『いえ…』と目じりの水気を払いながら、カップを手に取る。
『短いなぁと思って、狡噛さんて。どうぞ。』
問いを含んだ眼差しに笑ってコーヒーを差し出し、自分の分に手を伸ばす。
『昼間の「ない」といい、今の「いい」といい…短いな、って。』
残りの勤務時間と仕事量を脳内で測りにかけながら、やりかけの報告書を横目に腰を下ろす。
「……………なかったな。」
『はい?』
顔を上げて見ると、さっきの位置から動いていない狡噛さんと目が合った。
「いや……「ない」ってのは、なかったな。」
「すまない」とやや下向き加減でまた謝られ、ほとんど無意識にカップを擦る。
『………いいえ。』
「…これも。」
生真面目にコーヒーを掲げて示すのに口元が緩むのを感じながら、仕事に取り掛かる。
『いいえ。』
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