#01 犯罪係数
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「…住民の退去は…」
「登録上は無人だが、おかげで浮浪者の巣窟だ。」
遠慮がちな質問に返し、手を伸ばす。
「覚悟しておけ。」
「わわ…っ」
放ったジャケットとホルスターを胸に抱いた新人が、僅かに眉を下げて隣を向く。
それを受けて唇の端だけで笑ってみせるその様が少しだけ、似ている。
『まあ、最初キツイのやっておけば後が楽…ってことは多分ないか。』
何の解決にもなっていない筈の一言で相手を、引っ掛けるようにするその、やり方も。
そんな感傷にも似た記憶との照合を止めた時、滲みながら近づいてくる赤色灯が目に入った。
「護送車…!」
巨大な装甲バンが停車し、鈍い音をたてて幾重にも施されたロックを解除し始める。
「これから会う連中を、同じ人間だと思うな。」
ジャケットに袖を通し、色素の薄い瞳とあえて目を合わせる。
「奴らはサイコパスの犯罪係数が規定値を超えた、人格破綻者だ。本来ならば潜在犯として隔離されるべき処を、唯一つ許可された社会活動として同じ犯罪者を駆り立てる役目を与えられた…」
言葉を切ると初めてその視線が逸れ、雨の向こうを見つめた。
「奴らは獣を狩るための獣、それが執行官。君達が預かる部下達だ。」
軽薄そうな色をした髪が跳ねるように、動く。
『似合うね、朱ちゃん。』
「え…あ、ありがとう。」